聖女は嘆く、こんな青春したかったよチクショー!
文化放送「下野紘、巽悠衣子の小説家になろうラジオ」の
第二回「小説家になろうラジオ大賞」に参加するために
再投稿させてもらいました。
主人公の《牧野司朗》は、幼なじみの《大堂真理愛》に密かに好意を寄せていた。
二人は都内にあるミッション系の高校《聖メリノール学園》に入学した。
聖メリノール学園は元々は数年前に男女共学となった、元お嬢様学校だ。
入学後のレクリエーションで校内を見学することになり、司朗は真理愛と同じ班となり回ることに。気が付くと二人は校内に建てられた聖堂に迷い込んでいた。
真理愛が一冊のノートを発見し、それを開いた瞬間に真理愛は意識を失ってしまう。
「大丈夫か、真理愛」
「……司朗ちゃん」
真理愛は保健室のベッドで目を覚ます。司朗が胸をなでおろした――、その時だった。
「やっと……見つけてもらえた」
「うお!?」
「ええ、なにこれ?」
目の前に神々しい光を放つシスターの格好をした女性の幽霊が現れた。
その幽霊の名は《シスター・ソフィア》。聖メリノール学園の創設者で、この聖堂で聖女として祀られていたのだ。
ソフィアの生きていた頃の日本はとても厳しい環境だった。戦後間もない頃ゆえに人々の生活もままならず自由な生き方を選ぶのが難しかった。そんな時代に日本で人々の学びの場を作るために尽力した。
自分が成し遂げたことは誇りに思っている。
しかし自分の若くしてこの世を去り、聖女として学園の生徒達を見守っていくうちに、ソフィアには疑問が生まれた「もっと自分のために生きてもよかったんじゃないか」「自分もあんな青春がしたかった」と強い後悔の念を抱くようになってしまった。
真理愛は時々、ソフィアと人格が入れ替わってしまい、そのまま放置するとソフィアもろとも真理愛の魂が消滅してしまう。
それを避けるためにはノートに書かれた理想の青春のシチュエーションを実行しソフィアの現世への心残りを解消させなければならない。
放課後に寄り道をする。
クラスメイトと海水浴に行く。
文化祭で本気で模擬店をやる。
運動会、クリスマス、修学旅行、バレンタイン、等々……。
それをきっかけに司朗と真理愛の関係にも変化が……。
少年少女、そして聖女の三人が今日も青春を謳歌していく。