言い争いから
「なんだゴロルカ中尉様じゃないですか。わざわざ前線にも立たないのに訓練ですか? ああ、今から運動しておかないと、中年太りになったらイケメンが台無しですもんね。なるほどなるほど」
と、バーツが煽る。
「きききっ、貴様っ! 誰に言っているのだ! 私はスーン伯爵跡取りだぞ!」
ゴロルカが顔を真っ赤にして叫ぶ。
「ええ、存じてますよ。跡取り‘予定’のゴロルカ様。今の御当主様が引退されるまで、生きておられたらの話ですよね? 前線に立たないから生き延びる可能性は高いですけど、戦闘に絶対は無いんですよ?」
と、更に煽ると、
「相続権の無い騎士爵の癖に偉そうに!」
と言ってきたので、
「自分で何も成して無いのに、貴族と威張る御子息様とは話が合いませんので、お暇します〜」
と、帰ろうとすると、
「貴様! その言葉にはもう我慢ならん! 侮辱以外のなにものでもない! 決闘だ! 決闘を申し込む!」
と叫ぶゴロルカ。
「本気で言ってるのか?」
バーツの言葉に、
「負けた方は勝った方の言う事を1つ聞くこと! 俺が勝ったら土下座で謝罪させるからな!」
と息巻くゴロルカ。
「ルールは?」
バーツが聞くと、
「1対1で生身で武器は木刀、戦闘不能にするか気絶させた方が勝ち。ただ殺すと懲罰房行き最悪懲役だから、殺すのは無し」
と言い放つ。
(つまり鎧無しだって事ね。鎧が無ければ勝てるとでも思っているんだろうなぁ)
と思いながらバーツは、
「乗った」
と、ニヤリと笑う。