日常
次の日、休暇のはずなに訓練所走る俺。
なんか納得いかない。
走り終えてくたくたな俺に隊長が一言。
「生きてて良かったが、戦闘中に気を抜くと本当に死ぬからな。そんな奴を何人も見てきた。お前は生きろよ!」
と、声をかけてくれた。
本物の騎士が、量産の騎士を気にかけてくれて嬉しく思った。
鎧を纏うのに必要な魔力量は、魔族を倒すと何故か増える。
魔族の魔力が倒した者に移るからだと言われている。
その時、魔力の波長が変化する事もあると言う。
量産型の騎士が、本物の鎧を纏えるようになった例もある。
あの銀色に憧れる俺としては、努力あるのみ!
俺の両親が魔族に殺された時、俺を助けてくれた銀色の騎士には感謝しかない。
まだ再会出来ていないが、銀色に紅い縁取りの竜型の騎士だった。
竜型とか、めちゃくちゃカッコいい。
俺の量産型とは大違いだ。
部屋に戻ると、着ていた服を籠に放り込んでシャワーを浴びて、食堂に行く。
俺の部屋は二階。
食堂は一階。
「おばちゃん、とんかつ定食1つ!」
「あいよー!」
食堂のおばちゃんが愛想の良い声で返事してくれる。
「はい、いつものご飯大盛りね!」
「ありがとう!腹減って仕方ないんだよ」
「しかしあんた、毎日ここで食べてるけど、飽きないかい?メニューは多いほうだけどさぁ」
「ん?ここで充分満足だけど?量もあるし、味も良いし、おばちゃんの愛想も良いしさ」
「騎士様なんだから、高級な所で食べるのも良いと思うんだけどねぇ」
「俺は量産型だからさぁ。あと、高級とか堅苦しそうで嫌だなぁ」
「まあ良いけどさ。じゃ、たんとお食べ」
「うん、ありがとう」
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「あの子くらいだよねぇ?騎士様なのにうちに食べに来る人。他は兵士だもんね」
「いい子なんだよねぇ、ついつい大盛りにしてあげたくなるし」
「量産型でも、騎士様は騎士様だよね。鎧着れる人なんか、千人に1人いるかいないでしょ?」
「あんた狙ってみたら?」
「私なんかダメだよ。相手にされないよぉ」
「素朴な子が良いって言うかもしれないじゃないか!」
「それ、私が平凡だって言ってるのよね! どうせ私は平凡ですよ! もう!」
「ありゃ、かこちゃん怒らないでぇ〜」
食堂の女達は賑やかである。