初陣の終わり
その後、俺は次のオークとの戦闘に突入。
オークの斧を確実に盾で弾く。
ミスをすればオークの攻撃でも怪我をしてしまう。
斧を避け、振り下ろされたのを確認してから、剣をオークの首に目掛けて振る。
オークだって生き物だ、避けられたり体当たりしてきたり、いろんな攻撃をしてくる。
下がって避けたらすぐ突入して斬りつける。
また一匹、オークを倒せた。
数体のオークを倒して戦闘は終了した。
『各騎士! 戦闘終了。鎧を収納して良し!』
耳のイヤホンに、命令がきた。
剣を盾の内側に納めると、展開されていた鎧が、スルスルと盾に戻っていく。
オーガに吹き飛ばされた騎士は重傷だ。
あれほどの重傷となると、俺のヒールでは治せない。医療チームが酸素マスクを付けてタンカで運んで軍車両に乗せる。
治療院まで息が保てれば望みは有る。
俺は怪我をした騎士達にヒールをかけながら、あちこち歩き回る。
「バーツ! こっちにも1人負傷者だ!」
隊長が叫ぶので、
「今行きます!」
と、駆け寄った。
その後、簡易基地に戻ると、騎士達は各自、割り当てられた個室に戻る。
[魔装鎧]の展開は、魔力体力を消耗するので、全員クタクタなのだ。
それは[量産型魔装鎧]も同じである。
俺に至っては、戦闘後に治療魔法まで使っているので、部屋に戻ると倒れるように眠った。
翌日、簡易基地から拠点に戻る。
騎士用の駆動二輪車。
荒地でも走れるオフロード用に開発された物である。
各自が運転して帰路につく。
拠点は広大な土地に、多くの車輌があり、多くの建物が立ち並ぶ。
一際大きい建物は、騎士団本部。
その隣に軍本部。
騎士は魔族と戦うが、軍は住民の犯罪を取り締まったり、はぐれの魔族を魔装銃で足止めしたりする。
そして、騎士や兵士の宿舎もある。
[魔装鎧]保持者は、豪華マンション。
[量産型魔装鎧]保持者は、普通マンション。
兵士はアパートメントだ。
普通マンションは独身者なら、1LDK。
俺の部屋には何も無い。
ベッドとソファがあるだけだ。
両親はすでに他界しており兄弟はなし。
平民なので、家名もなし。
騎士になれただけ上出来だ。