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1 クモのつぶやき

1 クモのつぶやき 


 クモ・・・です。良く昆虫と言われますが、節足動物門鋏角亜門クモ目にぞくしていて、節足動物門六脚亜門に属する昆虫とは別の生き物です。大きな違いは脚が8本あることです。ほとんどが肉食性で昆虫などを捕らえてます。そんな肉食なところや容姿からでしょうか不気味な印象を持たれ人には結構嫌われています。それほど酷いことをしているのでしょうか、人間は鳥や牛などを飼育して殺して食べています。鯨業は野蛮で残酷だと言っている人間もいるらしいけれど、その人たちは他の魚や動物は食べないのでしょうか。菜食主義だからと言っている人もいるけれど、植物も生き物ではないですか。生き物で他の生き物の命をいただかなくて生きている生き物はいるのでしょうか。多かれ少なかれ何らかの形で他の命いただいて生きていると思うのですが。私は闇雲に狩りもしないし食べるだけのために飼育して殺しもしません、ひたすら待っていただける命をいただいて生きています。

 いやいや無駄なことを考えてしまいました。人間の倫理観などと一緒に考えるなんて馬鹿なことをしました。地球上で一番勝手な生き物の考え方なんて、話を元に戻しましょう。

 体から出す細い糸で網を張り虫などを捕まえる造網性のものと、網を張らずに徘徊して虫などを捕まえる徘徊性のものがいます。私は造網性の種で目立たずヒッソリと網を張って獲物を待ちます。中にはジョロウグモのようにチョット綺麗な色合いの柄を持ち、それを見せつけるように大きな巣を張り真ん中に堂々と居座るものいます。虫も寄り付かないし天敵にも目立つと思うのですが自己顕示欲が強いのかやめません。

 私はある人の家の軒下に巣を張っています。ここの住人はのべつ80年代の音楽グループあみんの「待つわ」かけています。多分レコード盤だと思います。何となくその曲の振動がすきです。私たちは聴覚がありませんが、音を識別できる毛があります、それで音を振動として感じています。歌詞は人間の言葉で「私待つわいつまでも待つわ」と歌っているそうですね、何か私たちの生活を歌っているようで何となく気にっています。そのこともあってここに巣を作っています。どうでもよいことですが、この家の住人はいまだに待ち続けているみたいです。

 ここでもそこそこ獲物はかかります。クモは待つだけでほとんど虫など捕れないように思われていますが、ある研究データによると、地球上には約2500トンのクモが生息していて、そのクモが食べている虫の量は年間4~8億トンに及んでいるとのことです。人間の魚と肉の年間消費量は約4億トンと言われているので、それに匹敵するか上回る量の虫などを食べています。すごい量でしょう、逆に考えると我々が虫など食べなければ地球上は虫だらけになってしまうのではないかと思います。地球環境の維持に役立っていると自負しています。それなのに近ごろでは不快害虫などと言われ駆除用の殺虫剤まで売られています。本来我々は農業害虫の天敵である益虫です。それに蚊や蜂などのように人を刺すこともありません。ただひたすら待ち続け無限とも思われる虫たちを捕り続けているだけです。多少巣の網が人には迷惑なのかも知れませんが。

 オッツ何か網にかかったようです。自分の生活に戻ります。



 

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