波間の出会い
気分転換の為海面に上がると月が海を照らしていた。
僕の暮らすこの国では必ず15歳を迎えるまで海面から出てはいけないという決まりがある。
かくいう僕は今年15歳を迎えたばかりだ。
未だ見慣れぬ燦然と輝く月と数多の星々に見惚れていると一艘の船が遠くに見えた。
近づいてみるとその船から徐々に陽気な音楽とたくさんの人の声が聞こえてきた。
「人間が宴会してるのか?」
「「国王の誕生に乾杯!!」」
船の様子に聞き耳を立ててみるとどうやら人間の王様の誕生日会をしているらしいことがわかった。
「お父様、お誕生日おめでとうございます。本日のパーティーはわたくしとお兄様からのプレゼントです。」
「おお!親孝行な姫と王子で我はとても嬉しい…長生きはするものであるな…」
「お父様ったら大袈裟ですわ。お兄様も来られればよかったのですが執務があったようで悔しがっておりました。」
「そうであったか。王子には色々任せてしまっておるからな…悪いことをしたようである…」
「帰ったら改めて家族3人でお祝い致しましょうね、お父様。」
〜〜〜〜〜
「なんて素敵な声だろう…」
鈴のように透き通った声とは彼女の声を指す言葉だろう。
それに家族思いの優しい方だというのが言葉の端々に読み取れる。
しばらく盗み聞きして鈴の音の声に聞き惚れたり、聞こえてくる音楽を堪能した後そろそろ海底に帰ろうかとヒレを帰しかけた
その時だった
舟の上からどーん!!!という爆発音が轟いた。
一瞬花火でも上げたのかと思ったが上から続けざまに悲鳴が聞こえてきて違うのだと悟った。
海面は爆発と船の残骸で荒れている。
数多の悲鳴の中に一瞬先程の彼女の声が聞こえた
声の方へ視線を向けるとちょうど彼女が水中へ沈んでいく
慌ててその人を抱えて水面に顔が出るようにするも呼吸が聞こえてこない。
僕は浜辺を目指して出来うる限り急いで泳いだ。