日常2日目
やっと歩けるようにがなった俺、“ヨルアオラ・ミロワール”です。
動けるって、いいね!!
なんか解放された感じ?…マジでいい!!
「あ、ヨル! 勝手にどっか行かないの!!」
俺が何処かに移動しようとすると、母のクレーエが俺を抱き上げる。
「あー…(えー…)」
「駄々こねないの!
ほぅら、うさぎさんでちゅよ〜」
彼女は俺にうさぎのぬいぐるみを出してきた。毎回そうだ。もう飽きた。
「おあおいーお、おあおい…
(他のにしろ、他のに…)」
「あらら〜、ヨルは本当にうさぎさんが好きでちゅね〜♡」
…早く言葉を喋れるようになろう。
しばらくすると、彼女は俺を寝かせて洗濯をたたみに行った。
すると窓をすり抜け、光の玉が2個入ってきた。
よくよく見ると、人の形をしている。
緑色の髪と目を持っていた。
〈あなた、私達の姿が見えるの?〉
「あー(嗚呼)」
俺は声を出し頷くと、2人とも驚いていた。
〈言葉も分かるのね〜!〉
「おあえあ、あえ?(お前ら、誰?)」
彼女達は〈ふふん♪〉と得意げに話し出す。
〈私達はあなた達人間から『精霊』って呼ばれているわ〉
〈あたしら2人はその中の『風の精霊』の者よ〜!〉
「おえ、“おうあーい・いおあーう”
(俺、“ヨルアオラ・ミロワール”)」
〈ヨルちゃんね?〉と聞かれたので、俺は頷く。詳しく聞くと、彼女達は精霊の長の命令で俺を見に来たらしい。
〈あなたが『転生者』ってことは聞いているわ〜!〉
〈私達は、長にヨルちゃんの手伝いを頼まれたの〉
〈私達にできることはあるかしら?〉と言われた。できること…ね。
「おーえあいおぉー、おいえーうえお
(この世界のこと、教えてくれよ)」
『力を借りる』とか、そんな大層なもんはいい。
だって…最強とかになりたくないし!
普通に暮らしていきたいもん!!
彼女達はキョトンとしたが、すぐに〈いいわよ〜!〉と話してくれた。
この世界は『魔法世界・ディアブレリー』、魔法が存在する世界らしい。
“一般人”と呼ばれる魔力を持たない者と、“魔導師”と呼ばれる魔力を持つ者が生活している。
使える魔法の種類は10つ…『火、水、木、風、雷、毒、光、土、闇、回復』だと言う。
〈あなたの魔法の種類を見れるけど、どうする〜?!〉
「…あー、いー(まだ、いい)」
〈そぉ? 分かったわ。私達はもう行くけど、覚えておいてね〉
〈あたしらは、あなたの味方〜!〉
〈何があってもね〉と言い残し、家を出て行った。
彼女達が帰った後すぐ、母が部屋に入って来た。
「あらあら、今日はご機嫌でちゅね〜♡」
彼女は俺を抱き上げる。魔法世界か…。
頼むから、俺が“魔導師”でありませんように!!!
ヨルアオラ・ミロワール、1歳。
精霊と言葉を交わせる能力『精霊幻語能力』
…能力開花
《追加紹介》
精霊族…
全精霊の長“ツヨセ”を中心に存在する。
魔法の種類によって、髪と目の色が違う。
風の精霊…
風を操る精霊族。緑の髪と瞳が特徴。
風の精霊の長は“アレイ”。
魔法世界・ディアブレリー…
その名の通り、魔法が存在する世界。
主に“一般人”と呼ばれる魔力を持たない者と、“魔導師”と呼ばれる魔力を持つ者が生活している。
(他にも世界はあるが、それは後々…)
『精霊幻語能力』…
精霊と言葉を交わせる能力。
生まれ持つ能力で、能力持ちが生まれると精霊長だけ場所を察知できる。