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わたし、ゆうれいなんです。

わたし、“ゆうれい”なんですよ?

作者: 宛 幸

 茜色の夕暮れが照らす教室の中、わたしは一人の男の子と出逢ってしまった。

 それは、奇跡、ミラクルの奇跡だと思えた。

 だって、死んでから初めてわたしのことが“視える”人に出逢えたんだから。


「実はわたし……ゆうれいなんですよ」

「それ、本当?」

「マジだよ」


 教室の一角、男の子の席でわたしは真剣な顔で答える。

 が、


「まぁ、そうゆうこともあるよね。所で、君はどこのクラスなの?ぼくと同じってことはないよね?やっぱり君のこと知らないし」


 全然信じてもらえなかった。泣ける。


「わたしはここのクラスです」

「え?でも……君、名前は?」

「名前…」


 はて困った。名前なんぞ忘れてしまってる。

 ゆうれいとして生活(あれ……今思えば、生きてなくね?)し始めた頃から自分の名前は覚えてないのだ。

 だけど、彼は、男の子は純粋にも痛い所を突く。


「君こそ、名前はなんて言うの?」


 これで話を反らそう。


田村総一(たむらそういち)だけど」

「……」

「……」

「……」

「で、君は?」


 ダメだったー!失敗だよorz

 こうなれば名前をでっち上げる……!


「えっと……ゆ、ゆうだよ。」

「そっか。ゆうって言うんだ」

「うん」

「……」

「……」


 話が進まない…っ。名乗ったはいいが、まったく話が進まない。

 てかゆうってなんだ。ゆうれいだからゆうなんですか。安直だよ!

 思った通り彼の反応が薄くてさらに泣けるんですけど。


「ぼくは忘れ物取りに来たんだけど、ゆうはどうして僕の席に?」


 からの本題きた…っ。


「特に意味はないかな。ただここでボケッとしてただけだし」

「……そうなんだ。じゃあ一緒に帰る?」

「え?」

「だって一人なんでしょ?だったら一緒に帰ろうよ。ね?」


 その言葉はすごく嬉しかった。

 生きていた頃から言われたことのない優しい言葉。純粋に嬉しかった。

 死んでからずっとしたかったこと。

 好きな相手との下校。

 でも、ダメ……わたしは学校から出れない。

 そう思うと、自然と目から雫が一滴流れた。


「あれ、なんで泣いてるの?ぼく、なんか変なこと言ったかな?」

「うぅん……違う、違うの……嬉しかったから。……一緒に帰ろうって、誘ってくれて…」

「そっか」


 彼の声は優しかった。まるで木漏れ日の光のように。日溜まりで、ぽかぽかして、ほんのり暖かった。


「ぼくでよければ、一緒に帰ろうよ。ゆう」

「……うん」

「他愛のない話とかして、ゆっくりさ」

「……うんっ」

「きっと楽しいよ?」

「……うん…うん……!」


 けどわたし、ゆうれいなんですよ?

 一緒に帰ることはできないし、学校から離れることはできない。

 だって、わたしはそういう存在だから。

 彼の言葉はわたしの心の隙間に入って来て、温かな気持ちで満たされた。

 そして、体は光の粒子となって天に昇った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 強いて言うなら、感情表現 [一言] 短かすぎぃ~。 "わたし"って、男の子?女の子? 一人の男の子ってのは、好きな相手なの?違うよね。 辛口でごめん。がんばってぇ~。
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