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光を背負う少年は、世界を守れない  作者: ゆうなるな


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9/10

第9話 観測される存在

本作は毎週水曜・土曜の21時に更新予定です。

その報告は、夜に上がってきた。


「――川沿いで、再び反応を確認」


静かな会議室。


照明は落とされ、

中央のモニターだけが淡く光っている。


「規模は?」


低い声で尋ねたのは、**とおる**だった。


スーツの男が答える。


「小規模です。

 ですが、制御されていません」


「制御されていない?」


徹は、わずかに口角を上げた。


「つまり――」


「“野生”です」


沈黙が落ちる。


「例の事故との関連は?」


「可能性は高いかと」


モニターに、数値と波形が映し出される。


一般人には、意味のない線。


だが、徹には違った。


「……綺麗じゃない」


ぽつりと言う。


「雑音が多すぎる」


「訓練を受けていない個体だと思われます」


「年齢は?」


「推定、十代」


その瞬間、徹の指が止まった。


「十代……」


椅子に深く腰掛ける。


「それは、まずいな」


部下が息を呑む。


「放置しますか?」


「いや」


徹は首を振った。


「“放っておけば壊れる”タイプだ」


「……回収を?」


「急がなくていい」


徹は、モニターから目を離さない。


「自分で気づくかどうか、見たい」


「何に、ですか」


「――力は、選ばれた証じゃない」


静かに言う。


「選ばれなかった人間を、

 簡単に踏み潰すものだってことに」



同じ頃。


透は、ベッドに仰向けになっていた。


天井を見つめても、眠れない。


川に落ちた、あの子の顔が浮かぶ。


泣き声。


水音。


――俺が、やった。


胸の奥が、重い。


「……守れなかったかもしれない」


小さく呟く。


その時。


スマホが震えた。


知らない番号。


一瞬、迷ってから出る。


「……はい」


『今日は、よく耐えた』


聞き覚えのない声。


低く、落ち着いている。


「……誰ですか」


『君を、観測している者だ』


背筋が冷たくなる。


「……何の話ですか」


『安心しろ』


声は、どこか愉快そうだった。


『まだ、敵ではない』


「……じゃあ何なんだよ」


『忠告だ』


一拍。


『君は、思っているより目立っている』


通話が切れた。


画面には、通話終了の文字。


透は、しばらく動けなかった。


――見られている。


それだけが、はっきりとわかった。


夜は、まだ深い。

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