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光を背負う少年は、世界を守れない  作者: ゆうなるな


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第14話 再確認

本作は毎週水曜・土曜の21時に、2話ずつ更新予定です。

「――一件、再確認したい観測対象がいる」


とおるは、

私室でコーヒーを淹れながら言った。


会議で使う声ではない。

独り言に近い、低い調子だった。


「対象番号は?」


部下が、端末を構えたまま尋ねる。


「不要だ」


徹は、カップに湯を注ぐ。


「十代。男。

 川沿いで未制御の反応を示した個体だ」


部下の指が、止まる。


「……既に観測済みの件ですね」


「ああ」


徹は、静かにうなずいた。


「数値上は、突出していない」


「危険度も、現時点では低と判断されています」


「だろうな」


徹は、カップを置いた。


「だが」


一拍。


「昨日、駅前ですれ違った」


部下が顔を上げる。


「偶然、ですか?」


「偶然だ」


即答だった。


「だからこそ、気になった」


窓の外では、

何事もないように街が動いている。


「データと、違って見えた」


「どういう点が?」


徹は、少し考える。


「怯えていない。

 浮ついてもいない」


「力を持った自覚も、薄い」


淡々と、事実を並べる。


「ただ、生きていた」


部下は、黙って聞いている。


「確認したいのは三点だ」


徹は、指を一本ずつ立てる。


「学校」


「家庭環境」


「そして――」


一瞬、言葉を切る。


「何を守ろうとしているのか」


部下は、短くうなずいた。


「深追いは?」


「するな」


即答だった。


「観測対象のままでいい」


「介入は、まだ早い」


「了解しました」


部下が退出する。


ドアが閉まり、

部屋に静寂が戻る。


徹は、コーヒーに口をつけた。


苦い。


「……同じ匂いだな」


誰に向けた言葉でもない。


過去に、

同じ匂いを知っている。


だからこそ、わかる。


――放っておけば、壊れる。


それでも。


「確認するだけだ」


徹は、自分に言い聞かせるように呟いた。


「俺は、正しい側にいる」


そうでなければ、

この世界は回らない。

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