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雨の日

雨の日。学校へ向かう僕らは社会の雨を浴びていた。とってもきれいな色をしているけれどそれは水滴の底だけで、水滴の上部は暗い色をしている。小さい子は底しか見えない。背の高い人はそこだけでなく上部も見下ろせる。だから雨を避ける。僕らはよく見えない。きれいだし汚くもある。だから一応傘を使う。みんな歩きながら当たり前のように傘を差している。でも僕は差さない。差したことがない。僕は傘をささなくてもなぜか水滴は僕に振らない。僕の上だけは雨は降らない。僕は選ばれしもの。僕はみんなと違う。でもそんな完全無欠な僕にも嫌なことがある。僕の歩く横を直ぐ側でくっついてる歩く乞食。毎日乞食は僕の横でついてくる。汚いし気持ち悪い。だけど乞食は必死だ。僕は傘をさしていない。だから歩いても疲れない。でも乞食は無駄に広い傘を差している。邪魔だ。僕に当たる。本当に嫌いだ。だから乞食が嫌いだから、乞食は要らないものだから、僕は乞食がいなければもっと輝けるから。だから要らない。さようなら。歩道を歩くいつもの時間帯。僕は勢いよく乞食を押し飛ばした。軽くて小さな乞食は乞食が持っている大きな傘とともに打ち上げられて車道に飛んでいく。いつも通りの日常。だからいつも遠る忙しく走る自動車に轢かれる。乞食は死んだ。死んだ骸は雨にさらされる。すると体がくちていく。哀れなやつだ。小さい子は傘を差していない。でも何ともない。乞食は傘を差さないだけで朽ちるのか。こっけいだ。僕の周りを歩く同級生は朽ちていきながらうめき声を上げる乞食をスマホで撮る。本当に滑稽だ。俺がやったと胸張って言ってやろうか。みんな俺をスター扱いするだろう。ただでさえ傘がいらないし雨も降らないのだから。俺は天才だ神に選ばれし子供だ。だから叫んだ。親を呼ぶひなのように叫んだ。俺がこいつを転ばしたんだ。すごいだろ、と。今度は俺を撮る始める。さあ俺の時代だ。乞食を注目しているやつはもういない。俺の時代が始まった。右拳を空に掲げる。俺の勝利だ俺の時代だ、と。でもなんだろうか。右拳から汁がたれている。なんだろうこれは。皮膚が溶けていた。痛い熱い辛い。掲げたはずの右拳を見ようと顔を上げる。するとどうだろう。拳は既に溶けていた。もうなかった。俺の顔に水滴が落ちる。顔が溶けていく。あれ、なんで。なんで俺は。口が溶ける。もう話せない。耳が溶ける。もう聞こえない。足が消える。もう歩けない。腕はもうない。体は崩れる。崩れた。目だけが残る。やめてくれ。もう捕らないでくれ。なんで俺を撮るんだ。俺はスターじゃない。だから撮らないでくれ。なんでいやだやめろ。どうして。乞食を殺しただけ。いつも邪魔だったから。でもなんで、あぁ。痛い。辛い。なんで俺だけ。完全に解けた後、彼ら同級生も大人も子供も何事もなかったように歩き出した。その様子だけが残っていた。

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