また今日という日がやってくる
翌日・・・・
僕らは昨日と同じように狩りをするため獲物を探してるわけなんだけど中々見つからない。森、森、森の中をひたすら歩く。前後、左右をくまなく見るが獲物になりそうな物がいない…はぁー…と溜め息をついた僕に
「大丈夫!今日はまだこれからこれから!」と並んで歩いている相棒に励まされた。ルナは本当に諦めない。僕も諦めない方だとは思うんだけどルナには負ける。
今、僕らの目は狙ったら捉えて離さないギラリとした
怖い目つきをしてると思う。でもこれは本能だ。
今日を生きるための僕らオオカミの本能なんだ。
だから恐がらないでほしいなんて誰に向けてなのか
自分にすらも分からないそんなことを僕は思った。
「あっ、何かいる!あそこ!」とルナの言葉で僕は
視線で促された先に集中する。
遠くの方から影が近付いてくる。それも一つではない。目で数えていくと十の影が見えた。二頭は今日は大量収穫だと胸を弾ませていると近くなるにつれ
十の影の姿がはっきりとしてきた。しっかりと目でその姿を確認した二頭の胸のドキドキはワクワクから緊張した物へと変わっていく。こちらに近付いてきたのは彼らと同じ十頭の群れのオオカミだった。
ソルとルナは後退り、逃げる体勢をとるがあっという間に囲まれてしまった。
「お前らここで何してる?」群れの一頭から発された
言葉に返そうとするも恐怖で言葉が出てこない。
ソルとルナより体格も大きくこの二頭より強いのは
明らかだった。狩りをしているんだとその言葉を
言おうと口を開こうとするも恐怖の方が勝っているソルに対し先に口を開いたのはルナだった。
「狩りをしてるの!」ルナも本当は恐い。でも恐さに負けたくなかったルナは絞り出すように言った。
若干その声は震えていたかもしれない。
「狩りだと?誰に許可取った?ここは俺達の縄張りだ。
とっととこの森から出ていけ」ドスの効いた低い声に
息をするのも忘れそうになる。
ルナだって恐いはずだ。なのに、僕は…
男だろ…それに兄貴だ…そう自分に言い聞かせ
「この森は皆の森だろ!」と声を上げたソル。
そう言った瞬間、ソルの体が吹っ飛んだ。ある一頭のオオカミに体当たりされたのだ。
「このガキがー!俺達に逆らう気か!」
起き上がろうとするも痛みで起き上がれない彼に
守るようにルナが覆い被さる。十頭の群れに目だけは
向けたままソルの名を呼ぶ。「ソル、大丈夫?ソル!」
大丈夫と言わなきゃと思うものの痛みのあまり
「ウッ…」と情けない声しか出てこない。