考えてることなんかお見通し
ソルの言葉にあたしはいつもと同じように返した。
途端、ソルの顔が不安!って顔丸出しになる。
それを敵には見せないところがさすがソル!って感じなんだけどあたしにはばればれなの、今あたしの横で一緒に走っている君は気付いてるのかな。きっとこの方法で大丈夫なのか不安なんだろうけど、大丈夫だと思うから…ソルのこと信じてるから…あたしも任せる!って返してるのに。信頼してる証拠だよって分かってほしい。分かってほしいくせに口では言わない。だってなんか恥ずかしいんだもん。兄妹だよ?直接そんなこと言えない。それに負けた気がして嫌だから。
二頭がそれぞれ今考えていることは、お互いに伝わっている。
あと一歩…と獲物に追いついたソルはそのまま相手の横を通り過ぎ前に回る。追いつかれ、後ろを見るも
後ろにはルナが。どこにも逃げ場がないと観念したのか、降参とでもいうように走る足を止めた。
「はぁー…今日もやったな、ルナ!」
二頭は収穫した獲物にかぶりつきながら明日はどんな狩りをするか話している。
「疲れたよー…明日は狩りやめない?」ルナは食べるのを止め、ぐでーっとだらける。そんなルナに一瞬目を向けたソルだったがいつものことだと気にも留めない。疲れたと言いながらも明日になればいつもと同じように狩りに行く。獲物を仕留めるまであきらめない、それがルナなのだ。彼女の疲れたという言葉は、けして嘘ではなく本当に疲れてるんだろう。でも明日の「よーし、やるぞ!」と気合いの入ったルナの表情が頭に浮かんだソルは食べながら笑みが溢れた。
それを見たルナは「何笑ってんの?気持ち悪い」とからかい水を飲みに奥へと行く。
その後ろ姿に向かって「うるせー」と声を掛けたけど
ルナに届いたどうか分からない。この石で造られた洞窟は結構声が響くから届いたと思うけど。
こっちは結構本気で怒ってんだぞ…というより、
ちょっと悲しい…ただ、にやけてたわけじゃねぇーんだ…気持ち悪いなんてそんなこと言うなよ!ばーか!
ぷはぁー!水が喉に染み渡るー!…
水を飲んだルナは天井を眺める。
狩りやめない?ってあたしが話しかけてるのに
無視かよ…まぁ、どうせ明日もあたしが行くこと分かってるから何も言わなかったのかもしれないけどさ…
疲れたのは本当に疲れたんだからね…
男と女とじゃ体力だって違うんだから…分かってんのかなソルの奴!あぁー、、もう!
天井を眺めているといつの間にか睡魔に襲われ眠ってしまったルナに対し、ソルはというと、、、
明日はルナに負担がないような方法で狩りをしなくちゃな…体力だって俺とあいつとじゃ違うもんな…と
外で水浴びをしながら考えていた。
ほら………考えていることは、お互いお見通し。