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第六十九話 緊急出動!

登場人物紹介

◇アリエラ

主人公。魔王軍四天王最強の怪力と頭脳を持つ紅一点。

『殲滅女帝』の二つ名を持つ。

褐色肌にボブカットの黒髪、猫のような紅い瞳、獅子の耳と尻尾が特徴の獣人。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者としての二つ名は『爆心地のアリエラ』

現在、第二形態に変異している。

いるだけで気温が少し上昇する。


◇ピチカ

蒼い髪と瞳にギザ歯が特徴のアクセサリー付けすぎなギャルっぽいハーピィ。

異世界転生者。チートスキル【楽々御粧し】の使い手。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』の一応リーダー。

一級冒険者。

いるだけで僅かに風が吹く。


◇レイメイ

魔王直属暗殺部隊『五毒姫』の末妹。

白い長髪と肌に鬼灯のように赤い瞳と愛嬌紅が特徴。

魔王特製の最上級キョンシー(札は丹田に貼っている)。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者としての二つ名は『毒蛇姫レイメイ』

今回は出番無し。

いるだけで蛇が寄って来る。


◇マキア

魔王軍先進開発局員兼上級戦闘員。

常になんらかの機械に搭乗しているピクシーの女で『蝶の血族』の吸血鬼。

アリエラに似たロボットに搭乗して助っ人に来た。

いるだけで機械の駆動音がやかましい。


◇『三巨頭』

魔王軍最強の怪力を持つ王種妖巨人。

三つの頭全てが狂戦士化した結果、正気に戻れず魔王軍に拘束されていたが、オヴォル卿によって解き放たれた。


「マキア……」「その義体(ロボット)は……!?」

 アリエラは明らかに自分を模しているであろう義体に気を取られ隙を見せてしまった。


「ヴゥヴヴゥ……」

 ……が、『三巨頭』も次々に脅威が押し寄せたからか、新たな脅威に気を取られアリエラへの追撃の手を止め、マキアの義体を三つの頭で睨み付けていた。


『まだ試作段階だから隠しておきたかったが……状況が状況だからな……出さねばなるまい! この──……

『 メ カ ア リ エ ラ 』をなァ!!(ゴォッ!)


 マキアの言葉と共にメカアリエラからアリエラと類似した赫い魔力が噴き上がる。


「詳細は後で訊くとして……ワタクシを模しているからにはそれなりの戦力はあるのでしょうね?」「これ以上手間取るようなら気の毒だけれど『三巨頭』を消してしまわなくては──」

『愚問! 下層の実験区画に迎撃準備ができてる! 一先ず『三巨頭』を引き摺り落とすぞ!

 〈大地帝(ゲブ)〉の黄金髑髏を寄越せッ!!』


「……ッ? 〈大地帝(ゲブ)〉を?」「丁重に扱って頂戴……ねッ(ビュッ)!」 

 一瞬困惑したアリエラだったが、『三巨頭』が動き出す前にサイ獣人の黄金髑髏をマキアに投げ渡した。


 第二形態のアリエラの頭から外れた黄金髑髏は本来の大きさに戻りながらマキアの操るメカアリエラの手に掴まれる。


……(パシッ)それで良し! さて──……

大地帝(ゲブ)〉……起動……(バチチッ)!』


 マキアが術名を唱えると、メカアリエラから放たれる魔力は炎のように揺らめく赫から黄金の稲妻のように変質した。


「……ッ!?」「ワタクシの術を!?」

『驚くのは早いぞォ! こっちへ来い『三巨頭』!

 ずっと拘束されていて退屈だったろう! たっぷりと遊んで……やるッ!!(バチチッ)


 マキアはメカアリエラの右手から発した黄金の稲妻と『三巨頭』を繋ぐとエレベーターの行き交う亜空間へ飛び降り、『三巨頭』を下層へと引っ張りながら落ちて行く。


「「「オ オ゛ オ ッ ! ! !」」」

 引力に吸い寄せられるまでもなく『三巨頭』は大声を出したマキアを攻撃するために下層へ落ちて行った。


「ワタクシも行かなくては……!」「マスクド・フェンリル! 安静にしてなさい!」

 アリエラも袈裟懸けに斬られた傷を押さえつつ、マキアたちを追いかけた。


「クッソォ……『三巨頭』があんなに器用だとは……オレとしたことが油断したぜ」


 〈大巨狼(フェンリル)〉の効果が切れ元の大きさに戻ったマスクド・フェンリルが壁に体重を預けながら立ち上がろうとすると、十字路が静かになったのを察知したのかピチカが頭上を旋回していた。


「あのォ〜……もう終わったカンジですか?」

「あ? 新入りか……むしろこっからが本番だろーな……」


 マスクド・フェンリルは青黒く変色した腹部を摩りながらエレベーターの方向を見遣る。


「ギャヒィ〜……痛そ〜……あ! 回復しましょっか!?」

 ピチカは青痣を見てアリエラから預かっている生命十字(アンク)の短杖を取り出した。


「いやいい、それよりアリエラに装備を届けに下層に行ってくれ。アリエラの奴【全能鍵】でブッタ斬られてたから素手じゃヤバいかもしれねーぞ」

「マジ!? あーしも行ってきまーす!!」


 

 ◇



「「「ゴ ォ ォ オ オ゛(ドグシャアッ!)ッ!!!」」」 


 亜空間を下ったその先──……魔王城下層実験区画の白く無機質な床に『三巨頭』は叩きつけられ、普通の生物ならば致命傷であろう損傷を負ったが、王種妖巨人(キングトロール)の再生力ですぐに立ち上がれる程に肉体を再生させる。


 その目線の先には一足先に実験区画に降りていたメカアリエラに搭乗したマキアが控えており、周囲には様々な武器・兵器・重機・配管・電線・その他多種多様な機械部品が乱雑に積み上げられていた。


『タフな奴だな……だが、その再生力も無限ではないだろう? 削り切って拘束し直して私が魔王陛下に褒めて貰うぞぉっ(ガシャガチャガシャ)!!

 安全装置(セーフティー)解除! 制御装置(リミッター)解除!

御都合主義の機械神(デウスエクスマキナ)〉──起動……!!』


 マキアは〈大地帝(ゲブ)〉の引力で周囲の機械類を引き寄せ、巨大なスクラップの球体を形成していく。

 球体を構成する機械類はマキアの術の起動と共に『三巨頭』に匹敵する巨大な頭部と腕部らしき形に変化し、下半身は蜘蛛のような八脚である異形の機械神へと変形した。

 様々な機械部品を継ぎ接ぎされた装甲からは所々余った重機や配管が飛び出ている。


「うゥヴヴゥ……!」

 短時間に二度も自分に並ぶ巨体と接敵した『三巨頭』は警戒心を露わにし、身体に染み着いたワンツーパンチの構えを取る。


『悪いが接近戦には付き合ってやらないぞ! 粉々にしてやるッ……!(ガチャガシャッ)


 マキアが機械神の右手を前に突き出すと、内部から幾本もの長大な戦車砲が円筒状に組み上げられ、高速回転を始めた。


「ブ ギィ──……(ドッ! グチャ)…!」

 突撃した『三巨頭』の猪頭が戦車砲によって弾き飛ばされる。


ワハハハハハハハハ(ドドドドドドドドド)ッ!!』

  

 マキアの高笑いと共に回転する戦車砲の束から次々と砲弾が放たれ、命中する毎に『三巨頭』の身体は大きく削られ、特に頭を三つ共欠損してからは再生力を大きく落とした。


 しかし、右手にしっかりと握ったままの【全能鍵】が『三巨頭』の生存を示していた。


「「「──……(ボゴコッ)ブオォッ──(ヴンッ)ガッ!?」」」

 なんとか頭を再生させて反撃を試みようとした『三巨頭』であったが、上から降ってきた空色の魔力が発する斥力によって叩きつけられ、身体の一部を潰されながら床に伏せた。


「マキア! やり過ぎよ!」「『三巨頭』を殺すつもり!?」

 アリエラは潰れた『三巨頭』の背後に着地し、生け捕りにする気概の感じられないマキアの攻撃を咎める。


『仮にも上級幹部、殺すつもりで丁度いいくらいだろう! 実際死んではいないしな!

 それより今の調子で床に磔にしておいてくれ! 今度は灼き尽くしてやる(ガシャガチャッ)ッ!!』


 右手に束ねた戦車砲を分離させて『三巨頭』に投げつけると、マキアが操る機械神の左手は無数のポンプとバルブに覆われ、手の平だった部分には大きなノズルスカートが展開された。


『燃料充填! 

    安全確認省略!!

            点 火 (イグニッション) ! !』


 マキアの掛け声の一瞬後、ノズルから火竜の息吹すら霞む程のジェット噴流が吹き出し『三巨頭』を襲う。

 

「「「がギャア゛ァアアあぁ(シュゴォオオォオオオ)!!!」」」

 単純な熱はもちろんのこと、まだ燃焼し切っていない猛毒の燃料を大量に浴びせられた『三巨頭』は堪らず後退しようとしたが──……


「おとなしく……」「してなさいッ!(ヴンッ)

 頭上で控えていたアリエラの放つ斥力によって床に押し付けられ、身体を灼かれ続けた。


『(よし! 取り込む機械さえ豊富なら上級幹部にも私の力は通用する!)──……(メキッ……パキ……)ん? 何の音だ?』

 マキアが己の力に対する自信を取り戻していると、噴射される炎の中から発せられる異音を聴覚センサーが捉えた。

 

 生命力の権化である妖巨人(トロール)──……その中でも特に優れた一握りにしか到達できない王種妖巨人(キングトロール)である『三巨頭』の身体は噴き付けられる火炎と猛毒に耐えるために体表に急速に岩のような瘡蓋(かさぶた)を生成、アリエラの斥力にも徐々に慣れ立ち上がり始めた。

 

「ブ ギ ョ オ オ オ オ(ダンッ!)!!」

 陥没するほど力強く床を蹴りマキアの機械神に向かって突進する『三巨頭』は【全能鍵】を握ったままの右手を大きく振りかぶる。


「マキアッ!」「退避なさいッ!」

まだだーッ(バシュッ)! まだやれる(ガキィン!)!! 削り切ってやる(ギャルルルル!!)!』


 退避を拒否したマキアの機械神は胸部を開放、巨大な円柱状の機械──地盤掘削機(シールドマシン)を展開し、両側に急造したハンドルを握って殴りかかって来る『三巨頭』を迎え討った。


 しかし……本来は安全に地盤を掘削するための機械であるシールドマシンと一撃で地盤を叩き割る『三巨頭』の拳──……どちらが強力かは語るに及ばない。


「フ ォ オ゛オ゛ ォ オ オ ッ(バキャアッ!!)! !」


 『三巨頭』の熊の右頭の咆哮と共に【全能鍵】を握ったままの岩石のような右拳が叩き込まれ、シールドマシンはあっけなく粉砕、機械神自体も背後の隔壁諸共に崩壊し内部から損傷したメカアリエラが弾き出された。


『クソォ! もう一度〈大地帝(ゲブ)〉を──

“機体耐久値危険域(レッドゾーン)……緊急脱出(ベイルアウト)”──お、おい! 待て──(バシュッ!)


 まだ戦おうとしていたマキアの声を無視してメカアリエラの脱出装置が起動、サイ獣人の黄金髑髏と大量のスクラップを残してマキアは戦線離脱した。


「「──! ガ る ァ  ア ア゛  ッ !!」」

 アリエラは咄嗟に咆哮して『三巨頭』が穴の空いた隔壁の向こうに行かないよう気を引く。


「オ ぉ オ オ゛ オ゛ ッ ! ! !」

 瞬時に反応した『三巨頭』は左腕でジャブを連打し、右腕で【全能鍵】を振り回しながらアリエラに襲いかかる。


「ぐっ……!」「厄介な──……(パキャッ)あッ」


 一度斬られて警戒していた【全能鍵】による攻撃をつい大きく避けてしまったアリエラは、空振った【全能鍵】が床叩きつけられ軽い破砕音を奏でた事で自らの失策を悟った。


 完全に理性を失い野獣と化した『三巨頭』は建造物そのものを自由を侵害する檻と判断、床にも【全能鍵】の効果が適用され、積層構造の分厚い床はあっさりと断砕されて抜け落ちる。


「「「ア ァ ア゛ ア ア(ガラガラガラガラ)! ! ?」」」

 飛行能力を持たない『三巨頭』は瓦礫と共に床下に広がっていた奈落の闇へ落ちてしまった。


「マズいわ……!」「最下層に……!」

 自身の立ち入り禁止を命じられている階層に落ちた『三巨頭』を追うか逡巡し、少し空中に留まる。


「アーちゃ〜ん!! 今どんなカンジー!?」

 そんな中、ピチカが上部の亜空間を抜けてアリエラに合流した。


「ピチカ! 丁度良いところに来てくれたわね。

 ワタクシの全力戦闘用の装備一式を出して頂戴」

「ぅえ? まだ終わってないの……?」


「ええ……生け捕りにしたかったのだけれどね……これ以上被害が出る前に殺す気で『三巨頭』を止めるわ。

 後でワタクシは色々と制裁を受ける事になるかもしれないけれど……まあその時は……弁護して頂戴ね」


 アリエラは自嘲気味に笑った。 

◇メカアリエラ

魔王軍先進開発局で秘密裏に行われている『幹部量産計画』の一端として製造されたアリエラを模した義体。

アリエラの魔力を再現する事で術の触媒である黄金髑髏を騙して無理矢理に術を発動する事が可能。

アリエラのデータを大量に入力した結果、猫の保護を全ての命令を無視してまで断行するという致命的な欠陥があり、実用には至っていない。


◇ 〈御都合主義の機械神(デウスエクスマキナ)

マキアの奥の手である魔術。

マキア自身かマキアの支配下にあるに触れた機械を取り込み、分解・再構成する機械神を顕現させる。

機械が豊富な環境なら上級幹部に匹敵する力を発揮できるが、そんな環境は魔王城か北西大陸くらいしか無く、なかなか全力で発動できない。

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