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第四十一話 特級会合

登場人物紹介

◇アリエラ

主人公。魔王軍四天王最強の怪力と頭脳を持つ紅一点。

『殲滅女帝』の二つ名を持つ。

褐色肌にボブカットの黒髪、猫のような紅い瞳、獅子の耳と尻尾が特徴の獣人。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

元『火の女神の器(無理矢理)』


◇ピチカ

蒼い髪と瞳にギザ歯が特徴のアクセサリー付けすぎなギャルっぽいハーピィ。

異世界転生者。チートスキル『楽々御粧し』の使い手。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』の一応リーダー。

一級冒険者。

元『風の聖女』

二つ名は『隙間風のガブリエラ』


◇レイメイ

魔王直属暗殺部隊『五毒姫』の末妹。

白い長髪と肌に鬼灯のように赤い瞳と愛嬌紅が特徴。

魔王特製の最上級キョンシー(札は丹田に貼っている)。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

現『闇の女神の器』に外見が似ている。


◇カメリア

中性的な顔立ちで金髪ポニーテールに緑基調の騎士装束のデュラハン(エルフ)の特級冒険者。享年224歳。

二つ名は『首愛でるカメリア』

自らのスタイルに絶対の自信があり、様々な美女や美少女の顔写真との合成写真を作成するのが趣味。

元『樹の女神エンニル』の器候補。



 ◇



「おっ、見えてきたね……! あれが総本部だよ」


 特級魔窟(ダンジョン)『ティルイルの昇天宮』を攻略・完全崩壊させたチーム『パリピ☆愚連隊』とカメリアは、その夜の内に最寄りの無人島に避難していた組合(ギルド)職員たちとチーム『幻獣騎士自由連合』の三名を伴い、冒険者組合(ギルド)総本部のある島『ユーブノー島』近くまで〈白毒雲〉に乗ってやって来ていた。


「わーお……でっか……」  

 ポカンと口を開けたピチカが見上げるその先には、海面から顔を出した岩盤から直接生えてきたかのように継ぎ目無く美しく彫刻された石造りの外壁に覆われた大小様々な塔が乱立していた。


「中央大陸にあった頃の総本部とそっくりそのままの塔ですね……!」

 レイメイは魔王国建国から間もない頃の、中央大陸から撤退する前に見たギルド総本部の記憶と比べてほぼ変わり無い巨大な塔が建っている事に少し驚く。


「冒険者ベルトと同様にあの塔も神器(チートアイテム)で創られて管理されているからね。

 あの中央にある一番大きな塔が冒険者組合(ギルド)総本部だよ」

「へぇ〜……じゃあ周りの小さいのは?」


「他は鍛治師ギルドや魔術師ギルド……商会ギルドとかの塔だね。

 冒険者ギルドが中心になってるってだけで他にも色々ギルドがあるんだよ。一定以上の人数や資金があれば設立できるのさ。

 確かピチカくんとアリエラくんは芸能ギルドにも所属してたんだっけ? ついでに顔見せしてきたらいいんじゃないかな」


「うん! 最近全然踊ってないけど(笑)」

「ワタクシは半強制的に加入させられたからあまり良い印象が無いわ……」

「ンフフ……さては勝手に大道芸を披露したね?

 まあ冒険者の需要が低い地域では芸能ギルドの世話になる事もあるだろうから最低限挨拶くらいはしておきなよ。

 あ、レイメイくん! 真ん中の塔上部に特級冒険者用の出入り口があるから、そこに着陸しておくれ」


「わかりました」

 喋っている間にギルド総本部の塔は目前に迫っており、レイメイはカメリアの指差す方向に〈白毒雲〉を上昇させ、塔の側面から出っ張った広い足場に着陸させた。


「ようこそおいで下さいました。皆様こちらへ──」

 飛んでくる姿を見ていたのか、事前に到着すると連絡が入っていたのか、総本部のギルド職員たちが迎え出て来る。


「あ、ちょっと『パリピ☆愚連隊』の三人と話があるからギルド職員諸君とヨハンくんたちは先に行っててくれるかな? ごめんねー」

 カメリアは案内しようとするギルド職員の言葉を遮り、共に旅をした面子以外を屋内に半ば押し込むように先に行かせた。



「…………で話って何なのかしら。魔王軍に入る事にでもした?」

「いやいやそれはまだ保留っていうか……ボクが入ったら魔王軍は冒険者ギルドを取り潰したりはせずにいてくれるのかな?」


 場がアリエラたちが魔王軍であると知る者のみになると、カメリアはおずおずと自分と冒険者ギルドの進退に関わる質問を投げかけた。


「どうなのかしらね……制度を利用している身で言うのも何だけれど、そもそも冒険者ギルド自体神器(チートアイテム)で無理矢理成立している組織でしょう? 本来マトモな国なら国に所属しない武力なんて排斥して然るべきではなくて?」

「今はまだ良いでしょうけど……魔王軍が世界制覇を進めればいずれは解散か傘下に加わるかを迫られる時が来るでしょうね……」


「まあそりゃそうだよね〜時代の流れかぁ〜……ギルド創設メンバーの一人としてはどうにか存続させたいんだけどね……」

「冒険者ギルドって確か五百年くらいは活動してませんでしたっけ……」

「マジ? カメリー何歳なの?」


「おいおい、淑女(レディ)にそんな事聞くもんじゃないよ。……首無し妖精(デュラハン)になってなかったら森妖精(エルフ)基準でもお婆ちゃんだね。

 ……まあ少なくともキミたちが冒険者やってる間は取り潰される心配はしなくてもいいって事かな?」


 カメリアは安堵とも諦めともつかない表情を一行に向ける。


「そうね。旅をする上でかなり便利だし、しばらくは利用させて頂くわ。もし魔王軍と事を構える時はワタクシが仲裁してあげるけれど……まあ……あまり期待はしないで頂戴ね?」

「ンフっ……じゃあいざとなったら頼もうかな。

 ──さて! これにてボクの依頼は完遂だね!

 魔王軍としてではなく、冒険者としてのキミたちの活躍を楽しみにしてるよ。

 あ、そうだ……最後に一枚写真いいかな?」


 アリエラたちをギルド総本部まで案内するという依頼の完遂を宣言したカメリアは、黒檀の棺から写真機(カメラ)を取り出し構えた。


「構わなくてよ」

「最後と言わずにいっぱい撮って☆」 

「ンフフ……じゃあ撮るよー!」


 後に現像したこの集合写真はピチカの目が半開きになっていた。



 ◇



 翌日昼過ぎ──……。

 ギルド総本部に与えられた特級冒険者とそのチームメンバー用の部屋で一夜を明かしたアリエラたちは、ギルド職員に特級冒険者用の会議室に案内された。


 特級冒険者として召集されているためか、アリエラとレイメイはそれぞれ勝負服である女剣闘士服と白い長袍を着用する一方、ピチカは普段着のカラフルなツギハギの服を着用し髪には大量の装飾品が突き刺さっている。


「お待たせしたかしら?

 (『黄金のフィアラル』の特徴と一致する人物が居ない……?)」

 会議室の中央に設置された巨大な長机には既に特級冒険者たちが着席していたが、現在アリエラの探している『黄金のフィアラル』らしき人物は見当たらない。


「あー……まだ全員揃っていないから気にしなくて構わんよ。

 今日は君たちの紹介のための会合だからね……出来るだけ上座の席に掛けてくれ給え。

 私は冒険者ギルドの現組合長(ギルドマスター)にして特級冒険者『大叫竜(だいきょうりゅう)イベアス』だ。よろしく」


 特注の議長席に鎮座するのは大柄な巨人の更に倍もある巨体を誇るティラノサウルスの蜥蜴人(リザードマン)のギルドマスター・イベアスだ。

 自ら狩った魔物の毛皮や羽毛で出来た派手な服を着て、今回の会合の主役であるアリエラとレイメイを手招きして着席を促し、自己紹介をした。


「ピチカ様。どうぞこちらへ……」

「ピチカさんで合ってますわよね……?」

「合ってるよ〜普段は大体こんなカンジだよ☆」


 アリエラとレイメイは既に見知った顔の特級冒険者たちに目礼をしながらイベアスの近くの席に着き、特級でないピチカは部屋の端に幾つか置いてあるティーテーブルで時間を潰すエメラとアンバーに合流した。

 踊り子衣装を着た状態のピチカしか見た事が無いためか、エメラとアンバーは装飾過多なピチカの普段着に面食らっているようだ。



「──では早速二つ名の授与から始めようか。

 先に断っておくが、二つ名は私やギルド職員が考えたものではなく、ギルドの運営を司っている神器(チートアイテム)組合(ギルド)設立手形】が君たちの活躍や評判を元に名付けるものだから、気に入らない二つ名が付いても自分の行いが返ってきたと思って受け止めてくれ。いいね?」


 イベアスは特にアリエラに向けて前置きをして二人の二つ名が記された羊皮紙を懐から取り出す。


「不名誉な二つ名を与えられるような真似をした覚えは無いので問題ありませんことよ」

「(本気で言ってるのか……!?) ……了解しました」


 胸を張って二つ名の授与を待つアリエラと、そのアリエラに驚きを隠せないレイメイの返事を聞き、イベアスは軽く頷き口を開く。


「よぅし……それでは二つ名を発表するッ!

 まずはアリエラ君の二つ名は──

『 爆 心 地 のアリエラ』だ!!」


「ヘヒヒッ……」「ギャヒヒッ……」「ンフフっ」

「グヘヘッ!」「ガハハ!」「ふっ……」

「ククク……」「ブフフっ……」「ふふ……」


 部屋にいるアリエラの事を知っている者たちはあまりにもピッタリな二つ名に失笑した。


「…………まあいいわ。レイメイの二つ名は?」

 アリエラはレイメイを軽く睨め付けながらも、特に感想も無くイベアスに続きを促す。


「う、うむ! レイメイ君の二つ名は──……

 『毒蛇姫(どくじゃひめ)レイメイ』だ!!」


「無難ね……」

「もっと凝った名前が良かったんですが……まあこんなもんでしょう。皆さんよろしくお願いします」


 二つ名の紹介もそこそこにレイメイは議長席のイベアスから他の席に座る特級冒険者たち──特に初対面の者たち──に視線を遣り挨拶をした。


「では……近くの席かつ初対面の者から順に自己紹介をしてくれ給え」


 イベアスが促すとレイメイの隣の席に座っていた全身を黒い鎧で覆い隠した女が自己紹介を始めた。


「ククク……我は『神竜剣のクリーム』

 竜狩りの依頼があったら気軽に声をかけてくれ……我が剣の糧としてくれる……」


 その不適な含み笑いをする女剣士『神竜剣のクリーム』は、『竜斬りアクオグ』が剣の意匠の参考にした竜翼の鍔飾り・竜頭の柄飾り・剣身に刻まれた竜のレリーフが印象的な血のように赤い宝剣を掲げて見せた。



(おみやげのキーホルダーの剣みたい……)

 ……と思ったが、ピチカは口には出さなかった。


(この喋り方に全身鎧の剣士……どこかで……) 

 アリエラは『神竜剣のクリーム』の特徴に既視感を覚えた。



「じゃあ次はワタシが自己紹介しますゾ❤︎

 二つ名は『付け火のベル』だけどぉ〜……可愛くないし放火魔みたいだから『魔法少女❤︎付け火の(ティンダー)ベル』って呼んで欲しいですゾ❤︎」


 次にアリエラの隣、長机の上に置かれた小さな椅子に座っていた小さな翅妖精(ピクシー)の少女が宙を舞い、可愛らしいポーズをとってアピールを始めた。

 各所にフリルやリボンの付いた薄桃色の可愛らしいロリータファッションも目を惹くが、最も特徴的なのは背中から生えた眼窩がハートマークになっている髑髏模様の蝶の翅であろう。


(あの翅の模様……まさか──)

 またしても既視感のある特徴にアリエラはベルの翅を凝視したが、ベルの自己紹介が終わり再び着席すると、ベルの隣に座っていた機械的な外見の冒険者の自己紹介が始まった。



ウフ……アタシは(シュコー……)『異端のアンジェラ』よ。

 どうぞよろしくね(シュコー……)『爆心地』サンに『毒蛇姫』サン」


 3メートルはあろうかという人型の黒い強化(パワード)機械鎧(アーマー)には両肩に大砲・右腕には杭打機(パイルバンカー)・左腕には魔道式塔盾(タワーシールド)が装備されており、そのイカつい外見とは裏腹に、アーマーの中からは艶っぽい女性の声が聞こえてくる。

 

「『異端』ね……何かの教義に反する事でもしたの?」

そんな事は全く……(シュコー……)ただ一介の女夢魔(サキュバス)として、殿方の好きそうな(シュコー……)格好や戦い方を追求していたらこんな不名誉な二つ名を(シュコー……)付けられてしまって……」


 表情こそ見えないが、アンジェラはおそらくパワードアーマーの中で肩を落としたらしく、大砲がやや下を向いた。


(そりゃ男子はそういうの好きだろうけどさ……)

(サキュバスとしては確かに異端ね……)



「そんじゃ次はオレだな。

 オレは『千里(せんり)穿(うが)ちのイルネス』だ。

 アンタ『栄誉の壁画』で親父たちの記録を抜いたんだってな? やるねェ」


 急所を守る最低限の革鎧と布の服、そして腰に下げる大小長短様々な矢の収まった矢筒以外は特に何も──弓すらも──身に付けていないタカの鳥人『千里穿ちのイルネス』はアリエラに興味深そうな視線を送った。


「ああ……あの壁画に描かれていた鳥人の縁者なのね。まあ相性が良かっただけよ」

「そう謙遜しなさんなって……ところでアンタのチームのリーダーってもしやガブ──」


「──今はただのピチカよ」

「……野暮な事聞いちまったな。すまん次いってくれ」


 イルネスが進行を促すと、先ほどのアンジェラとはまた別に全身を装備で覆い隠した特級冒険者が関節など無いかのように滑らかに右腕を上げて挨拶をした。



「ン゛ー……! ンンンン゛……!」

 何か喋っているようだが、顔を覆う鉄仮面に口を塞がれているのか呻き声しか上げる事のできないその男は、全身を余す事無く黒革の拘束衣のような服で封じられていた。

 幸い手足は自由に動かせるようだが、その両腕は明らかに体格に見合わない程に太く長い蛇のようにうねっている。


「あー彼は装備や身体に呪いをかけられていて喋る事ができないんだ。紹介は私が代理でやろう。

 『闇篭(やみごも)りのウォトゥオス』君だ。筆談ならできるから後で親睦を深めてくれ給え」

「ンン゛〜ン……」


「大変そうね……よろしく。

 (【全能鍵】なら身体の拘束は解除できそうね……後で恩を売っておこうかしら)」



 ギルドマスター・イベアスが代理で紹介をし、現在着席している中でアリエラたちと初対面の特級冒険者の紹介が済むと、手元あった木槌(ガベル)をカンカンと鳴らして注目を集め次なる話題を切り出す。


「では『超角力士(ちょうかくりきし)リッキー』君と『黄金のフィアラル』君の紹介は後回しにして……特級案件の解決状況の確認を始めようか」



 ◇



「『お菓子の島』はベル君とアンジェラ君によって崩壊──依頼達成と……【飛び出過ぎる絵本】はクリーム君が破壊──依頼達成……『イース島 巨人牛(ミノタウロス)駆除』は……失敗!? 特級五人が参加したのに!?」


 特級案件の状況を確認していたイベアスはイース島の依頼の失敗に驚愕した。


「アリエラ嬢が島を破壊したんじゃよ。駆除自体は成功したから安心じゃぞい」 

「……………………」


 『竜斬りアクオグ』の言葉をアリエラは否定も肯定もせず、口を噤んで目を逸らした。


「そ、そうかね……次は……おお! ヨハン君を無事救出できた上に『ティルイルの昇天宮』は完全崩壊か! 快挙だなぁ!!」

「フフ……大した事では──」 


 失敗の案件については押し黙っていたアリエラだったが、上手くいった案件の事を聞かれて得意気に話そうとした時、会議室に二人の巨漢が入って来た。


「おい兄弟(ブラザー)! やっぱ皆もう集まってるぞ!! 遅れてすまんな!」

「マジか……呑み過ぎたな〜悪いな皆の衆!」


「おお来たかね。二人共『爆心地のアリエラ』君と『毒蛇姫レイメイ』君に自己紹介し給え」

 

 

「俺が『超角力士リッキー』だ。

 『栄誉の壁画』で俺の記録を抜いたんだってな? アンタ、スモウに興味は無いか? きっといい力士になれるぜぇ〜?」

 

 蜂蜜色の浴衣を着たその男は、大柄な巨人に匹敵する体躯に、全身を鎧のように覆う黒光りする甲殻・頭部には長大な角・巨木のような二本の腕とその倍ほどもある立派な両脚のヘラクレスオオカブトの蟲人(むしびと)だった。

 本来なら蟲人に生えているはずの甲殻に覆われた尻尾は断尾してしまったのか見当たらない。


「遠慮しておくわ。それより──」

 リッキーの勧誘をあしらうアリエラの興味はヤティグ島以来探していた巨人の男に注がれていた。



「『黄金のフィアラル』だ。俺に興味があるのかい?」


 その男は“稀代の芸術家の最高傑作が命を得て動き出した存在”──そう言われたらウッカリ信じてしまいそうな程の美丈夫であった。

 その二つ名の通り黄金の長髪と瞳に約4mの巨躯は肉体美の極地と言って差し支えない逞しい筋肉を惜しげもなく曝け出しており、簡素な革の長ズボンしか服を着ていないが、本人が派手なのでかえってサマになっているように見えた。


 そしてその首には、甲虫(スカラベ)・ハヤブサ・ヒツジの乗った短艇(ボート)の飾りが頭頂部に付いているハヤブサ鳥人の黄金髑髏が眼窩に革紐を通されて首飾りとしてぶら下がっている。



「(間違い無い……! 叔父上の頭蓋骨だわ!)

 アナタというより……その首に下げている髑髏に興味があるわ。是非譲って欲しいのだけれど。お金に糸目はつけないから……言い値で買い取るわ」

 目的の物を目の当たりにして居ても立っても居られなくなったアリエラはフィアラルの元へ歩み寄りながら交渉を始める。


「オイオイ落ち着けよ。このドクロ買ってから飯も酒もやたら美味くってよぉ……なあ? リッキーの旦那ァ。

 店主は曰く付きなんていってたが、結構気に入ってんだよな〜……」

「それはその髑髏に盗難防止のためにかけてある〈渇きの呪い〉が発動しているからよ。

 悪いけれどワタクシに引く気は無いから、どうあっても譲って頂くわ」


 渋るフィアラルに焦れたアリエラは僅かながら殺気を放ち始めた。


「そんなキレんなよ……金には別に困ってねえし……──そうだ! 俺と一対一(タイマン)で勝てたら譲ってやるよ! どうだ?」


「気に入ったわ。すぐに始めましょう」

 苛立ちから一転、アリエラは獰猛に微笑んだ。

◇特級案件『お菓子の島』

神器【おかしな冠】の能力で生物・無生物問わずお菓子に変えられてしまった島。

神器の元の持ち主が能力を発動したまま死亡しており、効果範囲内に入ったモノは全て徐々にお菓子に変えられてしまう。

特級冒険者『付け火のベル』と『異端のアンジェラ』によって神器ごと破壊された。


◇神器【飛び出過ぎる絵本】

白紙のページに描かれた絵が実体化する絵本。

元の持ち主は巨大な竜を描いている途中で実体化させてしまい、上半身だけで飛び出してきた竜に喰い殺されている。

以後、南東海域を上半身だけで荒らしながら泳いでいた竜は、特級冒険者『神竜剣のクリーム』に本体の絵本ごと叩き斬られた。

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