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第三十九話 完全詠唱

登場人物紹介

◇アリエラ

主人公。魔王軍四天王最強の怪力と頭脳を持つ紅一点。

『殲滅女帝』の二つ名を持つ。

褐色肌にボブカットの黒髪、猫のような紅い瞳、獅子の耳と尻尾が特徴の獣人。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

立体的な絵を描くのが苦手。


◇ピチカ

蒼い髪と瞳にギザ歯が特徴のアクセサリー付けすぎなギャルっぽいハーピィ。

異世界転生者。チートスキル『楽々御粧し』の使い手。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』の一応リーダー。

一級冒険者。

種族的に手先が不器用なので絵を描くのは苦手。



◇レイメイ

魔王直属暗殺部隊『五毒姫』の末妹。

白い長髪と肌に鬼灯のように赤い瞳と愛嬌紅が特徴。

魔王特製の最上級キョンシー(札は丹田に貼っている)。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

上手いとも下手とも言い切れない微妙な画力の持ち主。


◇カメリア

中性的な顔立ちで金髪ポニーテールに緑基調の騎士装束のデュラハン(エルフ)の特級冒険者。享年224歳。

二つ名は『首愛でるカメリア』

自らのスタイルに絶対の自信があり、様々な美女や美少女の顔写真との合成写真を作成するのが趣味。

絵は上手いが、どこか古臭い画風になりがち。


◇ダチュラ

カメリアの愛馬で白い首無し馬。メス。

周囲の会話内容は結構理解している。

たまに木の枝を加えて地面に絵のようなものを描く事がある。


「──ふッ!! 硬いな……直に斬らなきゃ厳しそうだね……」

 

 ピチカと協力して色欲の(ラスト)大公(グランデューク)と戦っているカメリアは、処刑剣から魔力によって拡張された斬撃をぶつけてみたものの、その飛ぶ斬撃はグランデュークの両腕に阻まれ首には至らなかった。


「メ゛ェエ゛穢゛ええ゛ぇエ!!」

 致命傷ではないが痛痒を与えられた事に怒ったグランデュークは、陽動するピチカを無視してダチュラ諸共カメリアを殴り付けたが──……


「おやぁ? 拳に魔力が込められてないね? 

 〈時間停止(タイムストップ)〉を維持するので精一杯かな?」

 単なる拳の乱打では霊体化したダチュラとカメリアを殴り付ける事は叶わず、すり抜けた拳は壁や柱を虚しく叩いた。


「メエ゛ぇエェエ──……ッ!!」

 煩わしくなったグランデュークはいっその事〈時間停止(タイムストップ)〉を解除して普通に戦おうかと考えたが、奥の通路で公爵(デューク)級と大立ち回りをしている女剣闘士(アリエラ)を見てそれはマズいと直感した。

 

 耐性があるだけの他の連中とは違い、あの女剣闘士からは時間操作魔法を使用する者特有の気配を感じたのだ。

 グランデュークは現在アリエラが発動している〈天導帝(ホルス)〉の効果は知らないが、〈時間停止(タイムストップ)〉を解除すれば自分たちはなす術無く斬り刻まれるであろう事を予見し、カメリアの時間停止耐性の魔道具が魔力切れになるまで防御に徹する構えに入った。

  

「無視すんなーッ!!」

 陽動のために舞って挑発していたピチカは自分を無視してカメリアばかり攻撃するグランデュークに腹を立て、右大腿目がけて蹴りを放つ。


「めェエ獲゛エえ゛──……(ザグッ)!?

 ア゛ぁアア゛アあぁ婀゛アァあア!!!」

 そのピチカの蹴りは脅威にならないと高を括って無視しようとしたグランデュークの右大腿に鋭い痛みが走り、真一文字に開いた傷口から鮮血が飛び散った。


「っしゃ! ザマ見ろ! 大ダメージだー!!」

 舐め腐った態度をとったグランデュークに痛い目を見せてやったピチカの鳥脚には先日取り戻した大曲剣が握られていた。

 

「ヴェエええ゛エ゛ェ……!」

 神業(チートスキル)楽々御粧し(ドレスアッパー)】で瞬間装備され、前触れ無く現れた刃渡り2メートル程の大曲剣によって伸びた攻撃範囲にはグランデュークも反応できず、切断には至らなかったが切創は大腿骨にまで達し体勢を大きく崩した。


「──隙ありッ!!」

 カメリアもすかさず追撃、今度は魔力の刃を飛ばすのではなく、咄嗟に身体を庇った左手首に処刑剣を直に当てて斬り飛ばす。

 

「あ゛ァア゛アァ──……(ジュッ……)ヴァあァア゛!?」

 激痛により注意が左手首に集中した一瞬、アリエラの右眼から放たれた白銀の熱線(ビーム)がグランデュークの左膝を貫き、一拍間を置いて膝から赤い蒸気が爆ぜる。

 両脚に致命的な損傷を負ったグランデュークはその場に倒れ込み、丁度首を差し出すような体勢で伏せた。


「貰ったッ!!」

 すかさずカメリアはダチュラから飛び降り、魔力と落下の勢いを処刑剣に載せてグランデュークの首に振り下ろす。


「ガッ……!!」

 頭と分たれたグランデュークの身体は滝のような出血と共に力無く崩れ落ち、同時に〈時間停止(タイムストップ)〉は強制解除され凍り付いた周囲の時間が再び動き出した。


(でかしたわ……!)

 その瞬間アリエラは〈時間停止(タイムストップ)〉に抵抗するために発動していた〈天導帝(ホルス)〉の二つの魔力球を高速回転させ、自己時間を加速して公爵(デューク)級の悪魔たちを切り裂き・殴り潰し・蹴り飛ばして殲滅した。


「ぎャ……!?」「んヴェっ……」

「カッ……ハっ……」「ゴボっ……!?」

 レイメイが抑えていた左右の通路の悪魔たちも同様に何をされたか理解する間も無く、加速したアリエラによって打ち砕かれた。



 この時をもって第六階層『万魔殿(パンデモニウム)色欲(ラスト)』の脅威は全排除……初の攻略達成となった。



「フゥ……なんとか凌げましたね……」

「お陰でグランデュークに集中できて助かったよ。ピチカくんの剣の斬れ味も凄かったね」

でしょ〜(フフーン)☆ メイメイは感度3000倍にされてない? 大丈夫?」


「されてるワケ無いでしょ……」

「ならよかった! アーちゃんは〜?」


 ピチカが冗談混じりにアリエラにも無事を確認すると──……


「……? ◎△$♪¥●%#!(キュルキュルキュル)

 アリエラは異様に甲高く聴き取れない程の超早口で何か返事をした。


「ギャヒヒっ……」「ヘヒヒッ……」

「ンフフっ……アリエラくん。時間が加速したままになってるよ」


 カメリアが頭上で高速回転し光輪を成している魔力球を指差すと、アリエラは何を言いたいのか理解したらしく、魔力球の回転を通常の速度に戻し自己時間加速を中止した。


¥¿#‰⁑∞(キュルキュル)……久々に使ったから忘れていたわ…………扉の先に進みましょう?」

 時間加速中に何か格好つけたセリフでも言っていたのか、アリエラはバツが悪そうに一行を急かした。



 ◇


 

 グランデュークの守っていた扉の先には今までの階層間と同様に階段が伸びており、折り返し部分の広大な踊り場には結界が施された安全圏が用意されていたため、一行は一時休息を取る事にした。


「さぁて……ここから先は本当に情報が無いからねぇ……宝物庫みたいな階層ならありがたいんだけど。魔王軍的にはどう思う?」

 時間停止耐性の首飾りに魔力を込め直しながらカメリアはアリエラとレイメイに意見を求めた。


「前にも言ったけれど大公(グランデューク)級の守る扉の先なら玉座があると思うわ」

「おそらく副王(ヴァイスロイ)級が控えてるでしょうね」

「ナニソレ?」


「魔王一柱につき一体存在する最上級の悪魔の事よ。

 魔王軍にも魔王陛下と王妹殿下付きのヴァイスロイが二人……ピチカは魔王軍幹部の『双璧』って聞いた事ないかしら」

「あー……ね。知っ──……てるよ?」

「……ピチカさんにとっては上司なんですから覚えておいた方がいいですよ」


「強さはどんなもんなんだい?」

「魔王に準ずる力を持った悪魔だもの……強敵よ。さっきのグランデュークとは比べ物にならない程度にはね」

「魅了・変身・氷属性魔術・〈時間停止(タイムストップ)〉あたりは当然のように使ってくるでしょうね」


「う〜む……恐ろしいな……キッチリ準備して行こうね。ピチカくん 首飾りに魔力込め直してあげよう。貸してごらん?」 

「おっ、ありがと!」


「どういたしまして──……んん?」

 ピチカから首飾りを受け取り、魔力を込め直そうとしたその時、カメリアは首飾りに違和感を覚えた。


「カメリア? どうかしたの?」

「首飾りの魔力が全然減ってない……」

「うぇっ? 不良品てコト?」


 カメリアが手にした首飾りに付いた砂時計は、一粒も砂が落ちておらず、それは時間停止空間の中で砂が落ちるはずの砂時計にかけられた魔術が先程は作動していなかったという事を意味していた。


「そんなはずは……仮にそうだったとしてもピチカくん自身に時間停止耐性が有るって事に──いや、ピチカくんの素性を考えれば不思議ではないか……」

「まあ……そうですね」


 そう言うとカメリアとレイメイはピチカに対して目配せした。


(バレてる……!)

 冒険者になる前の経歴についてはなんとか誤魔化せているつもりであったピチカは普通に看破されていた事に衝撃を受ける。


「ピチカの素性……? ……異世界転生者に時間停止耐性が有るなんて聞いた事が無いけれど……」

 唯一気付いていないアリエラは首を傾げている。


「あ゛〜そのへんの事情はあとで話すね……あーしも時止め耐性あるみたいだし、首飾りはカメリーとダチュラで使うってコトでいい?」  

「そうだね……そうしようか。それと話したくないなら無理に話さなくてもいいからね?」

「魔王軍としては少し詳しく聴いておきたいですけどね……」

「……? まあ話してくれるというのなら後で聴きましょ。

 そうだわ、カメリア 今度はワタクシに時間停止耐性の首飾りを貸してもらえる?」


 ピチカについての深掘りは後回しとなり、おそらく玉座に控えているであろう色欲の(ラスト)副王(ヴァイスロイ)戦の準備を一行が始めた時、アリエラは被っていたハヤブサ鳥人の黄金髑髏を外しながらカメリアに話しかける。


「いいけど……ドクロはもう使わないのかい?」

「ヴァイスロイを相手するのに〈天導帝(ホルス)〉では少し火力不足だから魔道具が使える内はワタクシの素の力でゴリ押すわ。 大技を使う可能性が高いからいつでも退避できるように準備しておいて頂戴」

「お、オッケー! んじゃそろそろ行こっか☆」


 魔道具に魔力を込め直し終えた一行は階段を上り、前人未到の第七階層へと向かった。



 ◇



「グフッ……初の来訪者だな……歓迎しよう。

 外の世界はどうなった? ティルイル陛下は未だ御健在か?」


 第七階層は長く広大な通路が伸びており、その最奥の大階段上には扇情的な体勢をとった『色欲の魔王ティルイル』の飾りが付いた背もたれが特徴の巨大な玉座に踏ん反り返る、これまた巨大な悪魔(デーモン)──色欲の(ラスト)副王(ヴァイスロイ)が居た。


 冠が付いた双角を持つ山羊の頭と蹄の付いた両脚に筋骨隆々の上半身の背には三対の蝙蝠羽が生え、禍々しい蠍の尾を玩びながら一行を品定めするような目付きで睨む。


 今までのデーモンと異なり、対話が成立しそうな知性を感じさせる話し方で──特にアリエラに注目しながら質問をぶつけてきた。


「……『色欲の魔王ティルイル』含む七柱の魔王たちは陛下──……『傲慢の魔王』に敗れて吸収されてしまったわ。残る『虚飾の魔王』は魔王の座を辞して現在(いま)は王妹殿下と呼ばれているわ」

 アリエラ自身は伝え聞いただけの情報だが、まるで自分の手柄かのように自慢気に魔王の現在を語った。


「そうか崩御なさったか……グフフッ」

 ヴァイスロイは主君の死を告げられ、怒りや嘆きを見せるどころか笑って見せた。


「あまり忠誠心は高くないようね……」

 主君の死を軽んじるような態度にアリエラは不快感を示す。


「ああ。やはり魔王と言えど所詮は雌だったという事だ……大人しく我に魔王の座を譲位しておけば良かったものを……」

 ヴァイスロイは吐き捨てるようにいうと、玉座からゆっくりと腰を上げ、大階段を下り始める。


 ヴァイスロイの発言に一行は顔を顰めた。


「なるほど……役立たずだからこのダンジョンに置いていかれたのね。

 魔王軍(こちら側)に勧誘してみようかと思っていたのだけれど……ナシの中のナシね」

「アレはさすがにいらないですね……」

「マジ最低〜……」

「あんなのが加入するんだったらボクは魔王軍入りは断るかなァ……」


 総スカンを食らったヴァイスロイだったが、全く意に介さずアリエラを指差し、アリエラに言ってはならないセリフを吐いた。


「獣人の雌よ。お前は新たなる『色欲の魔王』たる我の妃にしてやろう」


「──ッフフ……ア ハ ハ ハ ハ ! !」

 魔王を自称した上に自分を妃にしてやろう等と言うヴァイスロイの言葉にアリエラは思わず吹き出し、笑い声を上げた。


「「「「──……!!!」」」」

 アリエラが楽しくて笑っているワケではないという事を察知した他三人と一頭は、言葉を交わすまでもなく『ティルイルの昇天宮』からの退避を選択し、脱兎の如く逃げ出した。ヴァイスロイからではなく、アリエラからである。

 

 ピチカは去り際に【楽々御粧し(ドレスアッパー)】でアリエラに時間停止耐性の首飾りを追加で二つと、〈天導帝(ホルス)〉の触媒たる黄金髑髏を装備させて行った。


「……臆したか? まあよい……連中は後で四肢を捥いで飼ってやる。

 で? 返事を聞こう。妃になるか?」

 

「まずは魔王を自称した事……そして身の程を弁えずワタクシに求婚した事……万死に値してよ……」

 アリエラはヴァイスロイに鋭い眼差しを向けながら赫い魔力を放ち、殺意を表明した。


「決裂か……だが我は無理矢理屈服させる方が好みだぞ──ところでお前……なかなか良い趣味をしているな。どれ……()()()()()()()()


 そう言うとヴァイスロイの身体はメキメキと不快な音を鳴らし、アリエラにとって特別な姿に変身した。

 『向こう傷のある二つの獅子の頭に背中からは七色の翼が生え、鱗に覆われた四本の剛腕には剣・槍・槌・斧を持ち、悍ましい蠍のような尾が生えた化け物』の姿──アリエラの理想の相手の姿である。

 四本の剛腕に握られている武器は魔術で生成した氷で出来ている。


「気に入ったぞ……」「新たな魔王に相応しい威容ではないか……」

 ヴァイスロイは二つの獅子頭で変身した自分の身体の出来栄えに満足気な様子を見せた。


「見た目だけは及第点になれたわね。

 でも肝心なのはワタクシより強いかどうかよ。

 ──“緋色の亜麻布”……」


 変身した姿を品定めするアリエラが東方大陸で『中指のシィシア』に対して使用した詠唱を開始すると、周囲の気温が跳ね上がり、ヴァイスロイが手にした氷の武器から水滴が滴り落ちる。


「「(詠唱……! これはマズそうだな……)

 ゴォオオオオオ゛オオオオオオッ!!」」

 詠唱を中断させるべく四本の氷武器を乱雑に振るって攻撃をしかけるヴァイスロイだったが、最低限の動きで躱され、あまつさえ氷の斧と剣を叩き折られた。


「──“繋がる絞縄(こうじょう)”……」


 二節目を唱えると、熱で周囲の空気が歪み始め、氷武器の創造・維持が困難になったと判断したヴァイスロイは全身に霜を纏って出来る限り熱を遮断して焼け死なないように努める。


「ガァあ゛アアアアア──……(ズンッ)〜ッ!?」

 霜を纏った四つの拳を乱暴に振り下ろして注意を引き股下から蠍の尾を突如伸ばして不意打ちを狙ったヴァイスロイだったが、アリエラには読まれていたらしく、〈麒麟震天脚〉仕込みの強力な踏み付けで尾を床に押さえ付けられ、高熱を放つアリエラから離れられなくなってしまった。


「──“身喰らう獅子”……!」


 三節目を唱えアリエラの全身が火球に包まれ烈しく発光すると、ヴァイスロイの纏った霜の鎧は呆気なく蒸発し表皮や毛皮が灼き尽くされ、その神々しい輝きとは裏腹に『ティルイルの昇天宮』は呼吸をしただけで臓腑を灼かれる灼熱地獄と化す。


「ギャ……! カッ……あ゛……!? 〜……ッ!

 たッ……〈時間停止(タイムストップ)〉……! グソ゛ぉッ……!!」 

 死に物狂いで詠唱の中断を試みようとしたヴァイスロイだったが、時間停止魔法も魔道具に阻まれ通用せず、内心無駄だとは分かっていながらも尻尾を引き千切り床を転がるようにして逃げ出した。


「……──“其は烈日の申し子”

 ──〈太陽帝(ラー)〉……!」

 魔王を自称しながら無様な逃走を選択したヴァイスロイに軽蔑の視線を送りながら完全詠唱に至ったアリエラはより一層輝き、一切合切を灼き払う。


 内部に発生した小さな太陽の放つ熱によって『ティルイルの昇天宮』は不気味な音を上げて軋み始め、熱によって膨張し続ける空気に押し出され天井が融解しながら吹き飛び、途方も無い熱と光が外部の上空に向かって解き放たれた。

 

「やはりこの術は叔父上の触媒無しだと制御が難しいわ……『黄金のフィアラル』が素直に返してくれるといいのだけれど……」 

 アリエラは消し炭になったヴァイスロイの事は最早気にも留めず〈太陽帝(ラー)〉を解除。


 ──したのだが……想定外の超高熱に曝された『ティルイルの昇天宮』の崩壊は止まらず、内部に圧縮された広大な空間が解き放たれる衝撃と共に大量の熔岩や熔鉄が周囲に撒き散らされ、煮えたぎる周囲の海を眺めながらアリエラは浮遊する岩塊の上でピチカたちが戻って来るのを待つのだった。


 ──特級魔窟(ダンジョン)『ティルイルの昇天宮』攻略・完全崩壊。

◇〈太陽帝(ラー)

アリエラの一族相伝魔術の一つ。

触媒を使用すれば魔力は純白に変質し、強烈な光を放つ。

触媒となるハヤブサ鳥人の黄金髑髏はアリエラの叔父のものであり、兄であるアリエラの父に反逆した結果、アリエラに処刑されて蒐集に加わった。

蒐集の中でもアリエラの一族生まれの者は特別に頭頂部に飾りが追加されており、アリエラの叔父の髑髏には生前の趣味であったボートが付いている。


◇〈天導帝(ホルス)

アリエラの一族相伝魔術の一つ。

魔力を白銀に変質させ、二つ魔力球の回転で自己時間を操作できるようになる。

触媒となる黄金髑髏はアリエラの従弟であり、父の仇としてアリエラに決闘を挑み敗北、蒐集に加わった。

生前は天体観測が趣味だったので、太陽を司るハヤブサ・月を司るコブラ・天体の動きを司るスカラベが大地を表す円盤を囲んでいる飾りが頭頂部に施されている。


◇『色欲の魔王ティルイル』

身を引き裂いた『混沌の女神』の血肉から顕現した魔王の一角。

別名『氷の魔王』

誇張的な山羊の仮面を付けた蠍の尾を持つサキュバスの姿をしていたとされる。

現在でも夢魔たちに創造主として崇められており、歓楽街などでよく偶像が飾られている。

『傲慢の魔王』を籠絡しようと様々な姿に変身したが、『傲慢の魔王』の注文が多すぎて最終的に自爆したという逸話が有名。

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