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第二十九話 特級案件『イース島 巨人牛駆除』

登場人物紹介

◇アリエラ

主人公。魔王軍四天王最強の怪力と頭脳を持つ紅一点。

『殲滅女帝』の二つ名を持つ。

褐色肌にボブカットの黒髪、猫のような紅い瞳、獅子の耳と尻尾が特徴の獣人。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

本名はもう少し長い。


◇ピチカ

蒼い髪と瞳にギザ歯が特徴のアクセサリー付けすぎなギャルっぽいハーピィ。

異世界転生者。チートスキル『楽々御粧し』の使い手。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』の一応リーダー。

二級冒険者。

本名は『ガブリエラ』

ハーピィに姓は無い。


◇レイメイ

魔王直属暗殺部隊『五毒姫』の末妹。

白い長髪と肌に鬼灯のように赤い瞳と愛嬌紅が特徴。

魔王特製の最上級キョンシー(札は丹田に貼っている)。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

孤児で邪仙郷育ちのため姓は無い。


◇カメリア

中性的な顔立ちで金髪ポニーテールに緑基調の騎士装束のデュラハン(エルフ)の特級冒険者。享年224歳。

二つ名は『首愛でるカメリア』

自らのスタイルに絶対の自信があり、様々な美女や美少女の顔写真との合成写真を作成するのが趣味。

本名は『椿爵家の二輪目・カメリア』


◇ダチュラ

カメリアの愛馬で白い首無し馬。メス。

周囲の会話内容は結構理解している。

正式名称『カロッテラッシュ号産駒ダチュラ号』



 ◇



 アクンダク島を後にし、特級案件の解決に向かった一行は昼過ぎに目的地である海峡で東西に分断された『イース島』の東側……『東イース島』海峡付近に到着した。

 

 特級案件に挑むという事もあって全員勝負服に着替えている。


 イース島──……

 かつて宝擬き(ミミック)の養殖で成功したヤティグ島を真似て幻獣を飼育しようとした結果、見るも無惨に失敗した島である。

 この事業が失敗したのはミミックを根気よく手懐け環境作りを怠らなかったヤティグ島のミミック養殖と違い、イース島の業者は集めた幻獣を石造りの巨大な迷宮に閉じ込めて交配させて増やし、時折出入り口を開放すると逃げ出そうとした幻獣を屠殺・食肉加工して売り出すという手法が原因であった。


 閉じ込めるという行為が『風の女神』の逆鱗に触れ、強烈な嵐がイース島を襲い迷宮を破壊してしまったのだ。

 そして脱走した幻獣たちの怒りが頂点に達し暴れた結果、一つだったイース島を東西に分断する亀裂が走り、幻獣たちの飼育場のあった『西イース島』と現在は冒険者組合(ギルド)の拠点となっている『東イース島』の二つの島となっている。


 その西イース島を闊歩する無理矢理に集められた幻獣というのが……


「モォオオ゛オ゛ぉオ!!」「ブオッ……ブオッ……!」

「ム゛ゥウ……!」「ブモォー……」


二足で歩き、人間のような五本指の両腕を持つ身長約4m程の牛の幻獣──巨人牛(ミノタウロス)である。


 女神の不興を買って崩壊したというのも大きいが、単純にミノタウロスを食用とする事に対して「人種認定される程ではないが賢い生物なので食べない」・「肉が堅くてマズい」・「なんかキモい」等の意見が多く、そもそも売り上げは芳しくなかったため崩壊を機に業者は島を放棄してしまった。

 その後西イース島には解放されたミノタウロスたちが犇き、続々と交配を重ねて増え続け魔物化するミノタウロスも現れ、一級冒険者チームでも手に余る強大な群れと化したため特級案件入りする運びとなった。



「──という事でボクたちで向かいの西イース島のミノタウロスを駆除したいと思いまーす。何か質問あるかな?」

 事のあらましを語ったカメリアは『パリピ☆愚連隊』の三人に向き直って尋ねる。


「「毒は?」」

 アリエラとレイメイは同時かつ簡潔に質問した。


「ミノタウロスに直接打ち込んだりするのはいいけど毒ガスを散布したりするのはダメだよ。駆除が終わったら島を別の事業に活用したいんだってさ……」  

 カメリアは呆れた様な表情をして溜め息を吐く。


「その業者から処したほうがいいんじゃない?」

「ワタクシもそう思うわ」

「ロクな事にならなさそうですね……」

 つられて他三人もげんなりした表情で溜め息を吐いた。


「まあ気持ちは分かるけどダメだよ? 賞金首でも無い人間殺しちゃ……」


「じゃあ次あーしから質問!

 話聞いてたらさあ……ミノタウロスたちがけっこう気の毒になってきたんだけどさあ……保護団体とかが反対したりはしてないの?」

「あー……してたけどねぇ……特に()()()()()をこの島に招待してしばらく暮らして貰ったら何も言わなくなったそうだよ……おっ、丁度飛んできたね」


 質問に答えたカメリアが西側の空を見上げると巨大な何かが風を切って回転しながら飛来し、大きな音と土煙を上げて一行の目の前に落ちて来た。


「ギャッヒィ!? なに!?」

 他三人と一頭とは違い修羅場慣れしていないピチカは驚いてひっくり返ってしまった。


「粗末な作りだけれど……斧ね? まあミノタウロスといえば斧ですものね」

 アリエラは特に驚いた様子も無く、地面に刺さったミノタウロスの大きさからすれば片手斧サイズであろう巨大な磨製石斧を品定めする。


「でも普通ミノタウロスの使う斧って近隣の巨人から盗んだ物が殆どですよね……この斧はもしや──」


 カメリアは向かいの西イース島に居る石斧を投擲したであろうミノタウロスを睨め付けながら説明を続ける。


「そう、西イース島に棲息するミノタウロスの手作りさ。

 最初は打製の石斧だったのに今では磨製に進歩した上に投擲も正確になってきているそうだよ……このまま知恵をつけて他の島に進出したら大変だろう? だから早めに駆除したいんだけど数が多すぎて特級冒険者が三人は欲しかったんだよね」


「なるほどね……魔人化したミノタウロスが居るかもしれないというワケね?」 

()()……? ってナニ? つよそう」 

「ピチカさん知らないんですか?」


「まあ珍しいからね……要は魔物化した時に一定以上の知能を手に入れた魔物の事だよ。または知能がある種族が魔物化して知能を保っている場合も魔人と呼ばれるね」 

「へぇ〜……それがあっちの島にいるかもなんだ? ヤバいじゃん……」

「だからボクらで早いとこ駆除しようって話さっ。

 どうする? もう始めようか?」


 カメリアが『パリピ☆愚連隊』の三人に向かって尋ねるとレイメイが挙手をして意見を述べる。


「あの……夜からにしませんか?」

「ボクは構わないけど……なんで?」


「アリエラさんが徹夜でお酒呑んだ後なので少し仮眠をとってもらってお酒を抜いてから始めたいですし……」

「う……羽目を外しすぎたのは反省するわ……」


 レイメイが一瞥しながら意見を述べるとアリエラは気まずそうに目を逸らした。


「それに私も陽光が差している場所では全力が出せないので……夜までは細かい段取りの確認なんかどうですか?」


「レイメイくんの全力っていうのはもしや……」

「……もうバレてるから隠しませんけどカメリアさんがしつこく見たがってる……首を身体から切り離して飛ばす〈飛頭降(ひとうこう)〉という術も含まれます」


 同行するようになってからというもの度々絡まれているレイメイはカメリアを軽く睨め付ける。


「いやいやボクが見たいからってワケじゃなくてさぁ……特級案件なんだから使える手段は使わなくっちゃね! そうだろう?」


「それはその通りね……口が過ぎてよレイメイ」

「うっ……すみませんでした……」


「あっ でもそれはそれとして首が分離した状態の写真は撮らせて貰っていいかな? ピチカくんもフェイスベールしてると雰囲気変わるねぇ……」

「結局写真目当てじゃないですか……」

「いいよ〜カメリー! 撮って☆ 撮って☆」


 ピチカはおどけて様々なポーズをしながら、その場で踊り出した。


「いつもの明るい感じもいいけど今は神秘的で且つ官能的に!」

 いつの間にか写真機(カメラ)を取り出していたカメリアはピチカに要望を出す。


「かんのう〜? こう?

 “ハッフゥ────ん♡”……ブフっ……ギャヒヒヒヒヒヒャハハハヒヒィ!!!」

「ンフフっ……んもォ〜真面目に──おっと、また来たね」


 ピチカがふざけていると再び西イース島から大きな石斧が飛来したが、今度はアリエラが石斧の刃の部分に指をめり込ませて片手で受け止めたので地面には激突しなかった。


「こんな場所では落ち着けそうに無い事だし……別の場所で待機しましょ?」

「そうだね。 東イース島(こっち側)の中心辺りに冒険者組合(ギルド)が用意した野営地があるからそこで休もうか」



 ◇



 カメリアの案内で辿り着いた野営地は焚き火用の魔術円を中心に、巨人が使う事を想定されているのか大きなテントや調理台らしき物等が設営されていたが、「冒険者ギルドの拠点」というにはひどく簡素なものだった。

 

「誰もいないねー……あーし昇級査定して欲しいんだけど……」

 特級案件なので他の冒険者が居ないのは不思議ではないが、野営地にはギルド職員すら一人も居らず静寂に包まれている。


「危険地帯だからね……職員はここの物資を補給したらすぐに帰っちゃうんだよ」

「ブルルルッ……」

 カメリアは手慣れた様子で魔法円を起動して火を起こして近くの木箱に腰掛け、ダチュラも身体を近くに伏せてくつろぎ出した。


「ちぇ〜……じゃあ夜まで交代で休もっか」

「そうですね……じゃあアリエラさんはさっさと寝てください」

「言われなくても……──誰か来るわ」


 アリエラが掴んでいた石斧を放り投げ、休むためにテントに入ろうとしたその時、何者かが草を踏み倒しながら歩いて来る音が聞こえ始めた。


 全員が警戒して音のする方向に注目していると、4m近い巨体に長大な角が生え、武骨な大斧をかついでいるような二足歩行の影が現れた。 

巨人牛(ミノタウロス)

幻獣の一種で哺乳類。

巨人のような骨格を持つウシの仲間だが、食性は肉食寄りの雑食である。

簡単な道具を扱う程度には高い知能を持ち、特に斧に強い興味を示す。

一部の研究者によると、もう数十世代後には女面鷲(ハーピィ)人馬(ケンタウロス)のように人語を解する個体が現れるのではないかと予測されている。

肉は筋張っていて堅く、母乳はクセがある。

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