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第二十五話 特級フィーバー

登場人物紹介

◇アリエラ

主人公。魔王軍四天王最強の怪力と頭脳を持つ紅一点。

褐色肌にボブカットの黒髪、猫のような紅い瞳の獅子獣人。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

特級冒険者。

決闘した強敵の頭蓋骨をコレクションしている。


◇ピチカ

蒼い髪と瞳にギザ歯が特徴のアクセサリー付けすぎなギャルっぽいハーピィ。

異世界転生者。チートスキル『楽々御粧し』の使い手。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』の一応リーダー。

二級冒険者。

アクセサリーをコレクションしている。


◇レイメイ

魔王直属暗殺部隊『五毒姫』の末妹。

白い長髪と肌に鬼灯のように赤い瞳と愛嬌紅が特徴。

魔王特製の最上級キョンシー(札は丹田に貼っている)。

冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』所属。

四級冒険者。

蛇の抜け殻をコレクションしている。


◇カメリア

中性的な顔立ちで金髪ポニーテールに緑基調の騎士装束のデュラハン(エルフ)の特級冒険者。享年224歳。

二つ名は『首愛でるカメリア』

自らのスタイルに絶対の自信があり、様々な美女や美少女の顔写真との合成写真を作成するのが趣味。

顔が好みの賞金首の生首をコレクションしている。


◇ダチュラ

カメリアの愛馬で白い首無し馬。メス。

周囲の会話内容は結構理解している。

小さな馬のぬいぐるみをコレクションしている。



 ◇



 勝負服の白い長袍(チャンパオ)に着替えてアリエラたちと別行動をとっていたレイメイは四級以上の冒険者に向けて広く募集されている「養殖宝擬き(ミミック)の体内で生成された宝の採取」の依頼のため、他数十名の冒険者と共に依頼主のミミック養殖業者たちに付いて行き、多くの倉庫が建ち並ぶ埠頭のような場所に来ていた。


 埠頭のようではあるが荷下ろしをする船は一隻も無く、それでいて忙しなく人々が動き回っている……というヤティグ島のこの一帯が『ミミック養殖場』という事を知らなければ不自然な光景が広がっている。


 その中でも多種多様な形の箱が積まれた一際大きな倉庫に集められた冒険者たちに養殖業者の代表の男が気怠げに説明を始める。


「えー……ご存知の方もいらっしゃるとは思いますがぁ……ミミックというのは真珠貝のような幻獣でしてぇ……外側の箱部分が貝殻、今回皆さんに採取して頂く宝が真珠にあたる部分というワケですね。

 ただしミミックは真珠貝と違って非常に強い力で鋭い牙と触手を使って攻撃してくるわけですが……皆さんにはできる限りミミックを傷付けずに採取をしていただきます。

 ミミックは生きている限り何度も宝を生成できるのでね……傷付けたり殺してしまった場合は報酬減額あるいは罰金を支払っていただきますのでご注意を……」


(アリエラさんと一緒じゃなくて良かった……)

 レイメイはアリエラがこの依頼を受けていたら十中八九なにかやらかしていただろうと思いホッとした。


「えー……こちらもご存知かとは思いますがぁ……ミミックは体内に溜め込んだ宝の量に比例して大きさが、宝の質に比例して強さが増すのでぇ……四級冒険者の方々は小さな箱に擬態している小型ミミックから採取をお願いします。

 階級の高い冒険者さんは通路の奥に居る、より大型で強いミミックの相手をしていただくという事で……採取した宝と、宝を抜き取られて退化したミミックは我々が回収します。

 ──それでは 採 取 開 始 ィ ッ ! !」


 突然声を張り上げた業者の男に他の冒険者が面食らった一瞬の間にレイメイは矢のように駆け出して両腕を伸ばし、近くの棚で木箱や小物入れに擬態していた小型のミミックの殻を他の冒険者や養殖業者には視認できない程の速さでこじ開けて中の宝を抜き取って行く。

 一瞬の後、体内の宝を失った小型ミミック計二十体は擬態していた箱や小物入れの姿を保てなくなり、少しだけ大きなナメクジやウミウシのような姿の幼体へと退化してしまった。


「……近くの小型ミミックの宝は取り尽くしちゃったみたいですね……中型や大型の採取にも参加していいですか?」

 両手に大量の宝を持ったレイメイは平然とした様子で業者に宝を渡しながら尋ねる。


「なっ……あ、貴女は一体……!?」

「名乗るほどの者ではありませんよ……レイメイです」


(((名乗った……!!)))



 その後もレイメイは目にも止まらぬ早業で倉庫中のミミック総計五十体から一人で抜き出して見せ、報酬を独り占めする事となり他の冒険者から顰蹙を買ったが気にも留めず、養殖場中の倉庫という倉庫からミミックの生成した宝を採取し尽くした。


(……昇級査定を受けに一旦戻るとしますか)

  


 ◇



「うぇーい☆ メイメイ調子どう? あーしはいっぱいアクセ買えて元気だよ☆」

 冒険者組合(ギルド)に戻ったレイメイが受付に向かおうとすると、ピチカが話しかけてきた。


 いつもは大量のアクセサリーを付けているとは言っても左側頭部にまとめた髪の房に収まっているのだが、高品質のアクセサリーを安く大量に買えたのが嬉しいのか本日は頭や服も埋め尽くさんばかりに装着している。


「そ、そうですか……私も中々うまくいきましたよ。

 二級くらいは堅いんじゃないですかね」

そマ(それマジ)? あーしもう追いつかれちゃうじゃーん!

 アーちゃんには爆速で追い抜かれちゃったし……」


「噂をすれば……アリエラさんも来ましたよ。……カメリアさんも一緒ですか… 」

 レイメイは視界の端に捉えたカメリアの姿を見て溜め息を呑み込んだ。


「ンフフっ……そう邪険にしないでおくれよ。もう無理に誘わないからさっ。

 それより聞いておくれよ。ボクが見つけた金ピカドクロがまさかの本物だったみたいでね……」


「えっ超ラッキーじゃん!」

「そんな事あるんですね……買えたんですか?」

「それがもう買われた後でね……『黄金のフィアラル』って新参の特級冒険者が買って行ったらしいから問い合わせるために来たんだよ。

 それでここの支部には猫妖精(ケットシー)の受付嬢が居るって教えたらアリエラくんが一目散に──」



はわわわわわわわわわ(♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡)

 可愛(んぎゃ)わいィイん♡ ちっちゃいベスト着てるのォ♡」

 カメリアが経緯を説明していたその時……冒険者組合(ギルド)ヤティグ島支部の建物内に奇声が響き渡った。


「あちゃー……」「あ〜あ……」

「えぇ……アリエラくんっていつもあんな感じなのかい?」


 声の発信源であるアリエラは受付嬢のケットシー(茶虎毛)を抱き抱え、深呼吸をしながらケットシーの腹に顔を埋め擦り付けている。


「フシャーッ!!! ンミ゛ャアアァア゛ォオオオ゛!!」

 受付嬢のケットシーは怒声とも悲鳴とも取れる叫び声を上げながら爪で攻撃するが、その攻撃にすらアリエラは悦びを見出しているのか、恍惚とした表情で受けている。


「お仕事(ちごと)がんばっててえらいわね〜♡

 ワタクシにやって欲しい依頼はあるかしら♡なんでもやってあげまちゅからねェ〜♡

 んちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ♡♡♡」

「寄るなー!! 触るなーッ!!! アァアァアア゛!!」


「ピチカさんチームリーダーなんですからアリエラさん(アレ)止めてくださいよ……」

 猫口調もできなくなる程に怒り狂ったケットシーを見かねたレイメイはピチカに耳打ちした。


「え゛っ!? う、うーん……メイメイも手伝ってよ〜……」

「私は昇級査定があるので……」


「じゃあカメリーは……?」

「あー……そうだ! ボクは『黄金のフィアラル』について問い合わせしなくちゃ!!」 


 レイメイとカメリアは今のアリエラとは他人のフリをしたいため、そそくさと受付カウンターに向かって行ってしまった。


「薄情者ー!!」



 ◇



「ごめんなさいね……制御が効かなくて……」

「まだ口元がニヤけてるんですケド〜? マジで反省してんのォ〜?」


 冒険者組合(ギルド)ヤティグ島支部から出入り禁止を食らったアリエラと、チームリーダーとしての監督不行届で厳重注意を受けたピチカは目抜通りで買い物をした後、大きな噴水の淵に腰掛けてレイメイとカメリアを待っていた。


「ただ待つのもヒマね……一旦ダチュラを船から降ろしてその辺を走らせてあげておこうかしら」

「走らせるの自体はいいと思うけど……カメリーに無断で移動させて大丈夫かな?」


「──ダチュラは賢いから大丈夫だよ。

 はぐれた時はいつもダチュラがボクを見つけてくれるくらいだからね。

 同行してる間はヒマだったら走らせてやっておくれよ」


「あっ薄情者コンビだ!」

「根に持ってますね……」

「まあまあ……色々と情報を仕入れたから勘弁しておくれよ」


「それで……『黄金のフィアラル』について何かわかったの?」

「ああ。予想通り新参で特級冒険者になった実力者で……二つ名の通りに黄金の髪と瞳が特徴で、すごくハンサムな巨人なんだってさ。

 アリエラくんの少し後に特級になったらしいよ」


「そんなに目立つ風貌なら足跡を追うのは簡単そうね。

 ……じゃあそのフィアラルを追いながら冒険者組合(ギルド)総本部に向かうという事で──」


 アリエラが今後の方針について提案しようとしたその時、カメリアが言葉を遮った。


「──あ〜……アリエラくん待って待って。

 まだ続きがあるんだよ。アリエラくんの少し後に特級になった冒険者がまだいるんだ」

「……特級ってそんなに簡単になれるのね」

「パワーインフレやば……」


「いやいや、なかなか無いよ。こんな立て続けには……。

 まずフィアラルくんの次に『神竜剣のクリーム』……竜の力が宿った魔剣を持った全身鎧の女剣士だってさ」

(クリーム……名前かわいい……)

「“まず“……?という事は……」


「そう。お察しの通り。

 その次に『付け火のベル』……翅妖精(ピクシー)の女魔術師で火属性の魔術が得意らしいよ」

「ワタクシ含めてそんなに──……」


「そしてさらに……!」

「──まだいるの?」


「最後だから! ()()()()()特級冒険者に昇級したのが何を隠そう……!!」

 カメリアはそう言いながら頭をレイメイの方へ向けた。


「この私、レイメイというワケです……!」

 レイメイはここぞとばかりに片足を上げ両手を頭の前後に構え大見得を切って見せた。


「あらっ……まあレイメイなら不思議な話ではないけれど……」

「おっ……そのドヤ顔いいねぇレイメイくん……写真撮りたいから後でもう一回やってくれるかい?」

「嫌です……」

「えっ、あーしメイメイにも追い抜かれちゃったの!? メイメイちょっと冒険者ベルト確認させて!!」


「何を疑ってるんですか……ほら」

 レイメイは長袍(チャンパオ)の裾を少しめくって右太腿に巻き付けられた紫のベルトをピチカに見せた。


(エッッッッッ……じゃない!! アクセ買い漁ってる場合じゃなかったー!!)

 

 こうして冒険者チーム『パリピ☆愚連隊』は二級冒険者のリーダーに特級冒険者のメンバー二人という異例の構成となった。

◇ミミック

幻獣の一種で貝の仲間。肉食。

幼体はナメクジやウミウシのような姿だが、成長すると体内で宝を生成し、人工的な箱に擬態して獲物(主に知的生物)を誘き寄せて捕食する。

体内の宝の量に比例して大きく、宝の質に比例して強くなる。

体内の宝を失うと幼体まで退化する。

根気よく餌やりをすると人に懐くが、宝を採取しようとすると反射的に攻撃してくるため、採取は主に冒険者が行う。

北東大陸には『黄金卿(エルドラド)』と呼ばれる巨大な黄金都市に擬態した世界最大のミミックが生息している。

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