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1-2-3 魔族の武闘家ノーパン!今日限りでお前はこのチャンネルから追放する!ー地下48階層ー

 〜シンジュクダンジョン地下48階層〜



「──ッな!なんて固い敵なんだ!?──」


 ダンジョンの地下で、俺たちはバリアシールドゴーレムと対峙していた。

 バリアシールドゴーレムは危険なレアモンスターだ。

 そのサイズは五メートル強もある。


◇あれはバリアシールドゴーレムなのだ

◇知っているのかコメだもん

◇魔法が効かない特性のせいで、ほぼ全ての魔法攻撃が反射されてしまうのだ。体内の核が弱点で、動きが鈍いのは他のゴーレムと同じだが、桁違いに硬いのだ

◇詳しい

◇賢い

◇解説助かる


 つか硬すぎるだろ。デカいし。

 倒させる気あるのか。


◇魔法が効かないならシーフとユリがなんとかするしかないな

◇ノーパン先生居ないし

◇なんで先生居ないの?

◇アーカイブ見てもろて


「ッ私は負けない!騎士の誇りとこの剣にかけて!たあああああ!!」


◇あっ折れた


「ッ馬鹿女騎士!こういう敵は関節を狙うんだよ!おらあああああああ!!」


◇あっ折れた


「ッ馬鹿リーダー!!!!!」

「ッ返す言葉もない!!!!!」


 俺とユリの武器が無くなった今、近接攻撃の手段はほぼない。俺の格闘術は、こんな巨大で堅牢な相手を想定したものではない。


◇がんばえ〜

◇いや撤退してもろて

◇俺なら5秒で倒せる

◇嘘乙

◇詰んだもんなのだ


「ッ心配すんなリスナーども!ここからなんとかすっから!」

「いやもう持ちませんわ!?」

「マジかよ!?!?」


 普段の俺達ならこんな失態はあり得ないだろう。

 バリアシールドゴーレムの対処もそうだが、ノーパン無しでここまで降りてきたために剣の耐久値もかなり落ちていた。

 ひとりの穴を軽視し過ぎた。


 リーダーである俺のミスだ。


「ッく──こんなハズじゃあ──!」

「冥土の土産に味噌飲みます同志?」

「助かる!どんな味か気になってた!!!」


 俺たちは、こんなところで全滅するのか。

 ──そう覚悟を決めたときだった。


「ッみ、みんなあああっ!!」

「「「「!!!!」」」」


 洞窟内に俺達を呼ぶ声が反響する。

 苦戦する俺たちの前に、服を翻し、全裸の変態サイクロプスが現れる。


◇きたあああああああああ!!

◇きちゃああああああああああああ

◇ノーパン先生!?

◇流れ変わったな

◇AI邪魔ああああああああああ!!

◇モザイク邪魔ァアアアアアアア

◇モザイク消えたら動画も消えるんですがそれは

◇や  ら  せ  確  定


 ノーパンの姿に気づいたゴーレムは、標的を彼女に変え、重い拳を振り上げる!!


「ノーパンッ!!」

「このゴーレムは……ッボクが倒すっ!!」


 ────リーダースキル【超新星】発動!!

 仲間になったノーパンの潜在能力が極限まで引き出される!!


 ノーパンはゴーレムの腕による連撃をヒラリとかわす。ゴーレムの脚や腕を踏み台にして、まるで舞うように頭上に登る。


「みんな!耳を塞いでッ!!」


 警告から数秒後、ノーパンの左脚に付いた口が咆哮する。


『──ギャァアアアアアアアアアア!!!──』


 ────スキル発動!【ハウリング・ソール】!!

 爆音によりゴーレムの動きが停止する!


◇ぎゃああああああ!!

◇びっくりした

◇鼓膜ないなった

◇おしっこもれちゃった



「破ぁああぁぁあっ!!!」



 ────スキル発動!【発勁鎧通し】!!

 瓦割りの如く、真下への正拳突き!衝撃はゴーレムの体内を伝導し、核を粉々に吹っ飛ばした!!


 決着だ。


 ──ずしぃ……ん。

 俺達は、ノーパンのもとに駆け寄る。


「ノーパン、どうしてここに──!?」

「み、みんなを探してて、ダンジョンにいるかなって思ったから──そ、そしたら、ゴーレムに襲われてて……」

「ッそうじゃないっ!俺達は、お前を追放した、それなのに──」


 それなのにどうして、助けに来てくれたんだ?

 服を着る間も惜しんで。

 わからない。

 俺には、わからなかった。


「あ、えっと!そ、それはね……」


 女武闘家ノーパンは、モジモジと恥ずかしそうにしている。服着ろ。


「ボク……シーフのことが……【聖雀の騎士(サイレント・ナイト)】のみんなのことが好きだからっ!」

「ノーパン……!」

「だからボク、たとえ追放されたって離れないよっ!」


 ノーパンは俺の腰のあたりにぎゅっとしがみついてくる。いつもなら振り払うところだが、俺はノーパンの頭をポンポンと撫でてやる。


「──わかったよ。ついてきたいなら好きにしろ」

「────うんっ!」


◇8888888

◇8888888888

◇てぇてぇ…

◇てぇてぇだな……

◇てぇてぇかこれ?

◇みんな洗脳されてるのだ


 これからはなるべくこのチャンネルから追放者なんて出さない。ゴーレムの破片と脱ぎ散らかされた服を見ながら、俺はそう胸に誓った。


「それじゃあみんな、キリもいいし今日の配信はここまでだ!ハッピーニューイヤー!」


◇ハッピーニューイヤー!

◇ハピニュ

◇ハピニュ

◇オッパイニューイヤー!

◇は??

◇やめなー


 チャンネル登録と高評価、よろしくな!

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