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2-4 俺は自称勇者シーフ!今日限りでこのチャンネルは解散する!ーハラジュク・スタンピードー

 〜ヤマノケ線、車外〜


「ッどういう事だよ、これはッ──」


 ヤマノケ線の非常扉から飛び出し、空を見上げる。おびただしい数のモンスターが、ハラジュクの上空を旋回していた。

 ドラゴンが火を吹き、ワイバーンがビルに爪を立てる。


 ダンジョンならば日常の光景で済まされる。

 しかしこれはまるで──世界の終わりのような光景だ。


「まさかどっかのダンジョンが【スタンピード】しやがったのか!?」


 スタンピード。

 攻略期限までにコアを破壊できなかったダンジョンは消滅し、外にモンスターが溢れ出てしまう。


「ッで、でも……このあたりのダンジョンの攻略期限はまだの筈じゃ……?」


 もしかしたら、未発見のダンジョンがあったのかもしれない。いてもたってもいられず、ハラジュクまで駆けつける。


『────ドォン────ドォンッ────!!』

『────ガラガラ─────ズドン────!!』

『────ギャァアアアアアアアアス────!!』


 まるで戦争だ。

 戦車や戦闘ヘリが出動し、ワイバーンやハーピーを駆逐している。この国の軍隊もなかなかやるじゃねえか。


 だが────


『────グヮギャァアアアアアアアア────!!』


 小物ならアレでも戦えるだろうが、ドラゴンの鋼の鎧にはたいした効果はない。恐らく、あのドラゴンどもの強さはSランク以上だ。


「──【鑑定】ッ!!」


 analyzeanalyzeanalyzeanalyzeanalyze

  アルティメットバーサーカードラゴン

  レベル・・・666

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 レベル666……!?

 それにアルティメットバーサーカードラゴンって──数体いれば国が滅ぶっていうあのドラゴンか──!?


 あんなの高レベルの探索者じゃあないと、太刀打ちできない!しかも数が多すぎる!少なく見積もっても50体は居るぞ!?


「シーフ!!あれッ!!」


 ノーパンの指差す方を見ると、3匹のドラゴンが逃げ遅れたヤマノケ線車両を襲っていた。ひっくり返った車両の中にはまだ、乗客達が取り残されている。


「ッひいい〜っ!撮れ高ッ!撮れ高ッ!バズッバズッバズッ!!同接ヤバババババ〜!!」


「邪魔だザコ!!」

「ひぎゃん!?」

「おどきなさい!!」

「ぴぎぃ!?」

「ご、ごめんねぇ……!」

「ふぎゃん!?」


 俺達三人は通り道に居た底辺配信者を蹴り飛ばし、車両に飛び乗る。


「装備!オン!!」


 緊急事態だ、ダンジョン探索用の装備に切り替える。


「【回転流れ斬り】ッ!!!」

「【天空脚】ッ!!!

「【ウインドカノン】ッ!!!」


 ────スキル発動!【回転流れ斬り】【天空脚】【ウインドカノン】!!

 三体のドラゴンは消し飛んだ!!


「おい!さっさと逃げろッ!!」


 電車内の乗客に声をかける。

 だが、扉が壊れているのか出てくる様子はない。


 俺やノーパンなら車体を壊せるかもしれないか?

 いや、中の状態がわからないのに手を出せば乗客を巻き込んでしまう……!!

 このままじゃいつ空からドラゴンのおかわりが来るか──。


「みっ、見たぞぉお〜っ!クソガキィ!お前らッ!サイレントナイトだなぁ〜!?」


 さっき蹴っ飛ばした底辺配信者がなにやら電車の下で喚いている。このクソ忙しいときに……。


「ああ、なんだお前?チャンネル登録と高評価よろしくな」

「誰がするかぁ〜ッ!?ダンジョンの外で許可なくダンジョンスキルを使うのは法律違反なんだぞぉ〜!?お前達の犯罪行為を全世界に配信してやるゥウ〜ッ!!ヒィ〜っヒッヒッヒ!トレダカァ〜!!バズリマクリクリクリィ〜!!」


「邪魔だどけバカ!!」

「ギャバブッ!?」

「シャチホコ!!」

「どえりゃああっ!?」


 道を塞いでいた底辺配信者がこかされて踏んづけられる。どうやら気を失ったようだ。


 いやそんなことより!!

 現れた二人の姿を見て、俺は目を見開いた。


「ユリ……それにアビスも!?」

「状況はどうなってる、シーフッ!!」

「ひっくり返った車内に怪我人が取り残されてる!俺たちじゃ下手に車体を壊せない!!」

「了解だ──【天舞の剣】ッ!!」


 ────ユリのスキル発動!【天舞の剣】!!

 車両の壁が切り裂かれた!!


「【でらヒール】ッ!!」


 ────アビスのスキル発動!【でらヒール】!!

 乗客達の怪我が瞬時に回復した!!

 乗客達は脱出していった!!


「ユリ、アビス……お前達、なんでここに……!?」

「無事でよかった、シーフ!……しかし、かなりの惨状だな」

「……ああ」


 俺はユリ達と、お互いに把握している状況を共有した。

 ダンジョンのスタンピードのような現象が起きていること。

 小物のモンスターは国の軍隊が倒したが、あのアルティメットバーサーカードラゴン達には戦闘機の攻撃は通じなかったこと。


 ドラゴン達は今は上空で旋回し火の玉を放っている。もしあれが全部地上に降りてきたり、ハラジュクから遠く離れてこの国中に広がってしまったら、手はつけられない。


「今しかない。俺達でやるしかない。あの空飛ぶクソトカゲどもを一匹残らず撃ち落としてやるッ!!」

「もちろんだ──指示を頼む、リーダー!!」

「ッわかった!聞き逃すんじゃねえぞ!!」


 ────リーダースキル【超新星】発動!!

 仲間になったユリ・ノーパン・デスワ・アビスの潜在能力が極限まで引き出される!!


 女子大生女騎士ユリ。

 魔族の武闘家ノーパン。

 JK悪役令嬢デスワ。

 実家がナゴヤの聖女アビス。

 そしてこの俺、自称勇者のシーフ。

 全員、ネット評価Sランクの冒険者だ。


 俺達【聖雀の騎士(サイレント・ナイト)】は、アルティメットバーサーカードラゴンの群れなんかに絶対に負けたりしないッッッ!!!

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