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王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
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桜とともに


あっという間に学校へ行く日がやってきた。あの後何回寝ても、僕は元の世界に戻れなかった。



この3日間で、僕はソラの家族やこの世界について色々知った。



ツバキによると、僕のことを記憶喪失だと知っている者はほぼ居ないらしい。



仮にも第2王子なので「記憶喪失になりました」とは言えないみたいだ。変なことをしないように気をつけないと…



「こっちだよ、ソラ」



「お忙しい中ありがとうございます。お兄様、お姉様」



お兄様たちが学校までの道を案内してくれた。学校までの道は桜が舞っていて、僕のいた世界を思い出さずにはいられなかった。



「当たり前だろう。ソラ、困ったことがあれば俺に言うんだよ」



「そうですよ、私たちはきょうだいなんだから。」



「おふたりとも、ありがとうございます」



「ソラは…2年A組みたいね」



「俺とリーラは3年B組だな」



「じゃあ、ここで別れましょう」



「え、でもソラ、道が分からないんじゃないか?」



「学校内の地図は覚えてきたので大丈夫です。これ以上迷惑をかけられませんから」



「そうか…気をつけるんだぞ、ソラ」



「じゃあね、ソラ。また後で会いましょう」



「はい。お兄様お姉様、ありがとうございました」



僕は1人で学校の廊下を歩きながら、ツバキに教えてもらったことを思い出していた。



学園では地位は関係なく、全員の生徒が平等に扱われるらしい。つまり、僕の世界の高校と変わらないってことだよね。



曲がり角が見えてきた。多分、ここを曲がればいいはず。



ドアの上に2年A組と書いてある。無事、教室に辿り着けたみたいだ。



八割くらいの生徒がすでに座っていた。教室のドアを開けると全員の視線がこちらに向いた。



「ソラ!お前もA組だったのかよ」



茶髪に黄緑色の瞳の少年が話しかけてきた。彼はもちろんゲームには登場していない。



「俺の隣座りなよ」



「ああ、ありがとう。1年間よろしくね」



隣に座ると、彼は小さな声でこう言った。



「俺の名前はアイビー。マロン家の1人息子だ。お前、記憶喪失になったんだろ?大丈夫、俺がサポートするから」



「ありがとうアイビーくん。助かるよ」



「気にすんな。俺も昔、お前に助けられたことあるし。あと、名前呼び捨てでいいよ。今更くん付けされるの変な感じする」



ソラは一体彼に何をしてあげたんだろう?



「てかさ、入学式でお前の兄ちゃん代表挨拶するんだろ?すげーよな」



「ああ、そうみたいだね」



「流石、王子様だよなあ。あ、そういえばお前も王子様だったな」



正直、自分が王子なんて言われ慣れていないから違和感がある。



「来年はお前が代表挨拶やるのか?」



来年かあ。多分、来年には僕、この世界に居ないんじゃないかな?



「うーん、どうだろうね?」



僕は濁すことにした。



「はあ、俺も王子に産まれたかったわ」



「えー王子も意外と大変だと思うよ?」



「確かにな、めんどいのはやだわ」



アイビーは笑い飛ばしてくれた。僕、アイビーの話し方結構好きだ。フランクな感じが元の世界を思い出す。



「特に生徒会とかめんどすぎて無理だ」



この学園、生徒会があるんだ…?



僕がぽかんとしているのが分かったのだろう。アイビーは小声で説明してくれた。



「この学園には生徒会があって、王族の生徒は生徒会参加必須なんだよ。だから、今年の生徒会長はレグルス様ってわけ。」



「なるほど…教えてくれてありがとう、アイビー」



「別にいちいちありがとうって言わなくていいよ。今はお前が1番大変だろ?そういう相手を気遣って自分を疎かにするところは変わんねーな」



アイビーの言葉は刺があるようで愛に溢れている。僕に向けられた言葉じゃないのになんだか感動してしまった。



ソラは良い友達を持ったな。



「ありがと。感動で泣きそうだよ」



「はあ!?絶対泣くなよ!」



「冗談だよ」



「なんだよびっくりした。まあ、そんな冗談が言えるくらいになってんなら良かったわ」



どれくらい喋っただろうか?辺りを見ると、ほとんどの生徒が集まっているようだった。



教室にドアを開ける音が響き、全員がドアを開けた人物に目を遣る。



「おはようございます、皆様」





…ゲームの画面で見たことある人だ。




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