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王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
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送る花言葉


馬車の外は日本では見られない街並みが広がっていた。



「わー、すごい景色…!」



「記憶を無くして、初めての外ですね」



「うん、ちょっと感動してる」



「よかったです。…ソラ様は、病み上がりですので、今回の外出は少しの時間しか出来ないのですが」



「ああ、もちろん構わないよ。無理を言って外出させてもらったんだし」



「ありがとうございます」



「あ、そうです。今から行くニゲラ協会のニゲラという名前は、花の名前から取っているそうですよ」



「へえ、そうなんだ」



「ちなみに、ニゲラの花言葉は未来です。」



未来か。子供たちにぴったりの花言葉だな。



「そういえば、今日の護衛の方は……」



その後も僕は馬車に揺られながらロイドと話した。




「着きました、ここがニゲラ教会です。」



こじんまりとした建物だ。…いや、王宮と比べたら、そりゃあこじんまりとして見えるか。教会にしては大きい方かな?



「僕、教会なんて初めて来るな」



「え…?あ、そうですよね。記憶を無くしてから外出していなかったですもんね」



「え?…ああ、そうだね」



危ない、思わず口に出していた。この世界では教会に行ったことがあるのは当たり前なのかもしれない。



ロイドが教会のドアをコンコンと叩く。



「すみません、ロイドですが」



「はい、ロイドさんね。あ…ソラ様。ご無沙汰しております。」



ツバキくらいの年齢にみえる女性が出てきた。



「こんにちは」



どうしよう、彼女の名前がわからないな。



「こちらへどうぞ」



「彼女はこの教会のシスターです。ソラ様は1度だけ会ったことがあります。」



ロイドが小声で教えてくれた。



「そっか、ありがとうロイド」



僕らは女性について行く。



「わ、お兄ちゃん誰ー?」



5歳くらいの少女が僕に話しかける。



「こら、そんな風にしちゃダメよ」



「いえいえ、大丈夫ですよ」



「いや、でも……」



「お兄ちゃん、かっこいい!一緒に遊ぼーよ」



「ダメだよ。この人は王子様なんだから」



僕と同じくらいの年齢の少年が言った。僕くらいの歳の人もいるみたいだ。



「そうよ、ソラ様は王子様ですから。一緒には遊べません」



「えー、でも遊びたい」



「じゃあ、一緒に遊ぼうか」



「ソラ様……すみません」



「全然大丈夫ですよ、むしろ嬉しいです」



「わーロイドだー!ねえねえ、このお兄ちゃんはだれなの?」



幼い少年がロイドに問いかける。



「ソラ様はこの国の第2王子でいらっしゃいますよ」



「みんな、こんにちは。僕と一緒に遊んでくれる?」



「うん、遊ぶー!」



「ありがとうございます、ソラ様」



僕くらいの年齢に見える彼が言った。



「ふふ、こちらこそ」



子供たちは20人くらい居た。



「ねえねえお兄ちゃん、この絵本読んで」



「わかった、良いよ」



「むかしむかし、人間は魔法を使えました。人間たちは……」



その後も僕は長い時間、本を読み続けた。



「ソラ様、今度は鬼ごっこしよー」



この世界にも鬼ごっこあるんだ…!



「ちょっと、ソラ様は忙しいからもう遊べないわよ」



「えー、ソラ様ともっと遊びたいのに」



「ありがとう。じゃあ、また今度来たときに遊んでくれるかな?」



「わーい!待ってるからね!」



「ソラ様、ありがとうございます」



「いえ、こちらこそ」



ふと、僕を見つめる視線に気がついた。



あれは…?白髪(はくはつ)の少女が僕のことをじっと見ている。



「ソラ様、そろそろ戻りましょう」



「ああ、わかった。みんな、またね」



「ソラ様、ありがとうございました!また本読んでください!」



「ぜったいぜったい、また来てねー!」



「うん、じゃあね」



僕は彼らに手を振った。





一体、あの少女は何者だ?と思いながら。



実は、ニゲラの花言葉には他にも「夢で逢えたら」「戸惑い」があります。Love in a mist(霧の中の恋)という英名が由来とされているそうです。もしかしたら、この後の物語にも関わってくるかもしれません。

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