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王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
20/28

4月17日



「君は…」



白い髪に桜のような色の瞳を持つ少女が立っていた。…この子、珍しい髪色をしているな。



「あの、私1年生のネリネ・リナリアというんですけど」



聞いたことない名前だ。まあ、まだ1年が入学して間もないし、当たり前か。



「そう、俺に何か用?」



「あの…ソラ先輩って生徒会にいますか?」



「ああ、いるけど?」



「…そうですか、ありがとうございました。失礼します」



「え?」



なんだったんだあの子…ソラ、もう1年のファンが居るのか、流石だな。



―――――――――――――――――――――――



「失礼します…」



僕は職員室の扉を開けた。



「リーマ先生いますか?」



「ああ、ソラくん」



奥の方からリーマ先生が出てきた。



「先生、少し相談があるのですが…」



「生徒会のことですね。場所を移しましょうか」



僕らは面談室に移動した。



「それで…なんの相談でしょうか?」



「アイビーから聞いたのですが、明日、1年生に向けて生徒会の見学会を行うんですよね?僕は何をすれば良いのでしょうか…?」



「そのことですか。見学会ではわたくしとソラくんは一緒に行動する予定です。ですから、1年生への説明はわたくしに任せてください。ソラくんは1年生とともに生徒会について知ってくれれば嬉しいです」



「ありがとうございます…!何から何まですみません」



リーマ先生、なんて頼りがいがあるんだ…



「いえいえ、一緒に頑張りましょう。ああ、わたくし、今日の放課後は忙しいので、申し訳ないですが補習はなしにします。ごめんなさいね」



「全然大丈夫です!お忙しい中、ありがとうございました。それでは失礼します」



「あ、ソラくん!…お誕生日おめでとうございます」



「えっ」



まさかリーマ先生にもお祝いされるとは…



「…ありがとうございます!」



そう言って僕は面談室を出た。





…あ!先生の誕生日、聞けば良かったな。



―――――――――――――――――――――――



ーー結局昼休みはすぐに終わってしまった。ご飯を食べられなかったまま、僕は午後の授業を受けた。





「お腹空いたなあ…」



午後の授業が終わった後、僕は誰もいない廊下を歩いていた。とりあえず、早く何か食べたい。



「おい、そら」



「…あ、シアン。ここに居たんだ」



「ああ。…そら、誕生日おめでとう」



「え!?…なんで僕の誕生日知ってるの?」



「いろんな奴が話してたから。今日はどこいっても、そらの誕生日の話が聞こえてきてた」



凄いな…流石、王子様だ。



「そうだったんだ…お祝いしてくれてありがとう。てかさ、シアンの誕生日はいつなの?」



「え?ボクの誕生日は…」



なんだかシアン、困ってるような?



…そういえばいつも喋っているから忘れてたけど、シアンは猫だった。猫だから誕生日を覚えていないんだろう。



「ボクの誕生日は8月4日だ。」




…あ、普通に覚えてたんだ。



―――――――――――――――――――――――



まだ何も食べていないまま、僕は家に帰った。



「ソラ様、到着いたしました」



「ありがとう、お疲れ様。」



僕はいつものように家の中に入る。すると、エントランスにソラの家族と多くの使用人たちが並んでいた。



え…これは、どういう状況?



「ソラ、誕生日おめでとう」



お父様が1番に口を切った。



「あ、ありがとうございます」



状況が飲み込みきれていないが…みんな、僕のために集まってくれたということかな?



「お誕生日おめでとう」



みんなが口々に言ってくれた。



「今日はみんなで夕食を食べましょう?」



「ソラの好きなものを作ってもらっているぞ」



お兄様やロイド…レザン様でさえ、僕の誕生日を祝ってくれている。…少し、この家族の温かさに触れられたような気がした。



感動で泣きそうだ。この世界に来てから、涙腺が緩んでいるな…



「…ありがとうございます」



僕は涙を堪え、震えた声でそう言った。




…ああ、僕も早く家族に逢いたいな。



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