表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
19/28

共通点の多い僕たち



「4月17日…」



僕、佐藤そらの誕生日と同じ日付だ。僕とソラは誕生日まで一緒なのか…同一人物じゃないというのが信じられないレベルだ。



「ソラ?おーい、大丈夫か?」



「ああ、大丈夫。ごめん、ちょっと混乱しちゃって」



「ああ、俺のせいだよな。ごめん」



「いやいや、全然大丈夫だよ」



「…これ、プレゼント。良かったら使って」



そう言ってアイビーは僕に白い紙袋を差し出した。



「え…!」



「開けてみてよ」



袋の中には細長い箱が入っていた。箱には空色のリボンが綺麗に掛かっている。



箱を開けると、1本の万年筆が入っていた。空色の万年筆に、ところどころ桜の花びらが描いてある。キャップには小さくソラの名前が彫ってあった。



「可愛い…!ありがとうアイビー!」



「ソラ、最近勉強頑張ってるから、万年筆にしたんだ」



「そうだったんだ…ありがとう!大事にするね」



「喜んでもらえてよかった。王子様のお眼鏡にかなうか、不安だったからさ」



「すごく気に入ったよ!…あのさ、アイビーの誕生日っていつなの?」



「ん?俺の誕生日は10月27日だけど」



「10月27日…分かった、期待しててね」



「半年後だけどな。まあ楽しみにしとくわ」



―――――――――――――――――――――――



待ちに待った昼休みがやってきた。シアンに会うため、僕はご飯も食べず校内を歩いていた。



「ソラくん、久しぶり。」



中庭で後ろから急に声をかけられた。僕はすぐに振り返る。



「え…」



そこにいたのはヒロインだった。彼女は微笑みながら僕を見ていた。



「お誕生日おめでとう。17歳かあ…私と同い年だね」



…なんだか彼女の声を聞くと苦しくなってくるような感じがする。僕、緊張してるのかな?



「ありがとうございます」



僕はそれ以外、何も言えなかった。



「ふふ、じゃあまた明日」



そう言い残して、彼女はどこかへ行ってしまった。



…あれ、彼女、僕の記憶喪失について触れてこなかったよね?



「あの…!」



今度は知らない少女たちに呼び止められた。…待って、ほんとに誰かわかんない。ソラとなにか関わりがある人たちなのか?



「ソラ様、お誕生日おめでとうございます!これ受け取ってくれませんか?」



誰かわからない人からプレゼントを貰ったら、お返しできないよな…彼女たちの名前を聞きたいけど、記憶喪失だと思われてはいけない。…どうしよう。



「あーえっと…」



「ソラー!」



アイビーがこちらに走ってくる。



「お前、先生が…ってだれ?」



…僕も分からない。



「…ああ、隣のクラスのやつか。ソラになんか用?」



アイビーは僕が分からないことを察してくれたようだ。助かった…



「ソラ様に誕生日プレゼントを渡したくて」



「…君ら、ソラと面識あるの?」



「いえ、ないですけど…」



「ソラは王子なんだから、知らない人からのプレゼントなんて受け取れないだろ。王宮に送るならまだしも、直接渡されたら困るんじゃね?」



「…あ!そうですよね、すみません…」



「アイビー、強く言いすぎ。プレゼントありがとう。ここでは受け取れないから、王宮に送ってくれたら嬉しいな。わざわざごめんね」



アイビーが隣のクラスの人と言っていたし、多分彼女たちには敬語を使わなくても大丈夫だろう。



「わかりました…!絶対送ります!ありがとうございました」



彼女たちは校舎に戻っていった。



「…アイビー、ありがとう。助けてくれて」



「別にいいよ。…はあ、やっぱソラは、人気あるよな」



「…王子だからだよ」



「はいはい、そーですね。…あ、そうだ。ソラ、明日の放課後、生徒会の集まりがあるって。リーマ先生からの伝言。」



「そうなんだ…伝言ありがとう」



「なんか、明日は1年に向けて生徒会の見学会をするらしい」



「え、ほんとに?…やばい、生徒会のことほぼなんにも分からないんだけど」



「まあ、リーマ先生に助けてもらえよ。今は職員室に居るはずだぞ」



「行ってくる。ありがと、アイビー」



「おう、気をつけろよー」



―――――――――――――――――――――――



ソラは急いで職員室に走っていった。…そういえばあいつ、まだ昼食とってないよな?



「あと20分で昼休み終わるけど…大丈夫か?」



俺がソラの心配をしていると、後ろから誰かに話しかけられた。



「あの、すみません」



俺は声のする方に体を向ける。



「ん?君は…」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ