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王の鏡と廻る時計  作者: 蒼井のあ
第1章 何度目の桜だろう
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春月夜の祈り



ちょうど剣をおろしたタイミングで、僕は彼の名前を呼んだ。



「ルイス先輩!」



「…ソラ様!?どうしてここに」



「学校内を歩いていたらルイス先輩を見かけたので、来ちゃいました」



「そうでしたか…!わざわざありがとうございます」



「いえいえ、僕がルイス先輩と話したかったので。先輩、僕が頭を打って寝込んでいたことは知っていますか?」



「はい。それで…記憶喪失になられたんですよね?」



「そうなんです。だから、僕、ルイス先輩のこともあまり覚えてなくて…1度お話したいなと思って」



「そうでしたか…こちらからご挨拶に伺えず、申し訳ございません。改めまして、俺はルイス・ヴィオラと申します」



「全然大丈夫ですよ。多分、レザン様から僕に近づくなと言われていたんでしょう?」



「え、どうしてそれを…」



「ふふ、勘ですかね?」



ルイス先輩は僕の言葉にかなりショックを受けた様子だ。



「ソラ様、本当に申し訳ございませんでした」



「そんな、謝らないでください。僕がルイス先輩の立場だったら絶対レザン様に逆らえないですもん」



きっと、ルイス先輩の立場では何を言っても跳ね除けられてしまうだろう。



「ですが…」



「じゃあ、僕のお願いを1つきいてくれませんか?」



「お願い、ですか?」



―――――――――――――――――――――――



僕は帰りの馬車に揺られていた。シアンはまだ使い魔ではないので、一緒に家には帰れなかった。とても残念だ。



「ソラ、学校は慣れたか?」



「はい、だいぶ慣れました。」



「そうか、それは良かった」



お兄様が安心したように微笑む。



「ソラ、次の生徒会の集まりは出席できそうなの?」



お姉様が僕に問いかける。



「はい、今のところは出席する予定です」



生徒会って具体的には何をするんだろう?今度先生に聞いてみよう。



「そういえば6月には副生徒会長の選挙があるな。ソラ、まだまだ先だが、頑張れよ」



僕が副会長に立候補するのは確定事項のようだ。なんでお姉様ではなく、僕なのだろうか?



「ありがとうございます、頑張ります」



「5月には中間テストもありますね。ソラは記憶喪失だけど、大丈夫なの?」



「大丈夫です、先生に色々教えていただいていますし、家でも勉強しているので。元通りとは言い難いですが…」



「まあ、成績が落ちても気にしなくて良い。お前のせいではないからな」



そのとき、馬車の動きが止まった。



「皆様、王宮に到着いたしました。」



僕らはそれぞれの部屋に戻る。長い廊下を歩き、僕は部屋に入った。



「ソラ様、夕食をお持ちしましょうか?」



ツバキが僕の部屋まで尋ねてきた。



「うん、お願い」



「畏まりました、直ぐにお持ちします」



ソラの家族は朝食を一緒に、夕食を別々に食べている。夕食は食堂で食べても良いらしいが、僕はレザン様の機嫌を損ねないよう、いつも部屋まで持ってきてもらっている。



今日は金曜日か。今のところ、まだ会っていない攻略対象は…



「ケネス先輩だけだな」



僕はメモを見ながら呟いた。一応、このメモは誰かに見られても内容が分からないように、文字を反対から書いている。



コルチカム学園は月曜日から土曜日まで授業がある。できるなら、明日までに会っておきたい。



「ケネス先輩、どんな人かな?」



窓の外はすっかり暗くなっている。空には満月が金色にふんわりと輝いていて、僕はあまりの美しさに見惚れてしまった。



…無事に元の世界に帰れますようにと、僕は月に願った。


本日は水瓶座の満月、スタージョンムーンだそうです!スタージョンムーンは自立や友情、個性などにまつわる願いが叶うとされています。蒼井のあも願い事をしてみます…!良ければ皆様も月に願い事をしてみてくださいね

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