第3話『厚切りチャーシュードン』②
お待たせ致しましたー
もぐっと口に入れた途端……柔らかいお肉と脂身の食感がまず歯に伝わり、そこから舌に行くと甘辛いソースの味わいが!!
ショーガヤキドンのような、ジンジャーの強い味はあんまり感じられないけど。ニンニクのパンチ、ショーユの強い塩気にコク……って言うのかな??
タレってソースを作る意味がよくわかるくらい、お肉と脂身に染み込んだ味だけでなく、タレのお陰で……お米にも味が染み渡って、次……次と口に入れるのを止められない!!
ショーガヤキドンも僕大好きだけど、こっちのチャーシュードンって言うのも……僕は大好きになった!!
「「おかわり!!」」
ジェフさんも黙々と食べていたけれど、おかわりはほぼ同時だった。
【あいよー? もう一杯ずつしかないけど】
「「え!?」」
【米がそんだけやしなあ?】
「「……あー」」
お米は単純に煮炊きするだけでなく、つけ置きって工程がないと美味しく出来ないから。今は冬近いから、フランツ曰く一時間は漬けておかなきゃいけないんだって。流石に、僕もジェフさんも待てないので……もう一杯で我慢することにした。
今度は勢いよく食べずに、味わって食べる。
「しっかし、あれだな? フランツ……お前さん、人間だったら食堂とか酒場で働いても重宝されただろうな?」
【おおきに】
ジェフさんはチャーシューを少し残してお米を口に入れながら、フランツのことを褒めてくれた。
フランツは当然だと言わんばかりに、パンの部分で胸を反らすようにしならせていたが。
「……失礼ですけど、アークさんはそう言うのないんですか?」
「アークか?」
僕がふと感じた疑問を口にしても……アークさんは黙ったままだ。と言うか、アークさんはあんまりしゃべらない。
出会った時の、自己紹介以降あんまり声を聞いた覚えがないんだよね?
じーっと、ジェフさんの後ろで横になっているアークさんを見ても、全然動かない。すると、ジェフさんがアークさんを軽く小突いた。
『…………なんですか、我が主』
すごく機嫌悪いように、声を出したんだけど!!?
「トラディスが呼んでんだ。返事してやれよ?」
『……寝ていましたのに』
「いつでも寝てんだろ?」
「…………寝てた??」
「こいつの趣味は惰眠貪ることだ」
上品そうに見えたアークさんって……実はおサボりさんなのかな??
『……トラディス殿が私に何か?』
「なんも聞いてなかったのかよ?」
『…………』
「フランツみたいに、お前さんになんか特技あるかってさ?」
『……技能と言う程度はともかく、特技はこれと言って』
「だよなあ? フランツみたいに出来る奴の方が珍しいし」
『……もういいですか?』
「ったく」
と言って、アークさんはまた黙り込んじゃった……。
次回は金曜日〜




