第2話 エルフの勘
お待たせ致しましたー
ドォンと倒れて行く守護ゴーレムだったのを背景に、ジェフさんは涼しい表情で僕らの方に戻ってきた。
「大した技じゃねぇよ?」
「そうですの??」
「そうは思えないんですが……」
やっぱり、ベテラン冒険者は格が違う。
背負っているフランツからテレパシーはないが、僕の心の中を読んだかもしれない。思念体で何かしてくることもなかった。
「……大丈夫そうですの」
とりあえず、ゴーレムが完全に動かなくなったのがわかってから……上の時と同じく、マシュさんがゴーレムの核を回収。
ただ、肩に乗ったままのクダウサギがいきなり声を上げたのだ。
『きゅぅううううう!!』
どうしたんだろうと、僕らはクダウサギに振り返えれば……ジェフさんから今度は声が上がった。
「はぁ!?」
「ジェフさん??」
「あれ、見ろ!!?」
「え?」
「まあ!!」
マシュさんも声を上げたので、僕にはよくわからなかった。だけど、ジェフさんが指を向けた方向を見ると。
「……え??」
ゴーレムの体が……崩れていく。
僕やジェフさんが切り付けなければ、倒せなかった守護ゴーレムの体が……砂のようにさらさらと。
そして、完全に崩れたら……光の粒となって消えていった。さっきはこんなことにならなかったのに!!?
『きゅぅ?』
変わった理由があるとしたら……マシュさんの肩に相変わらず乗っているクダウサギ。僕が近いても、こてんと首を傾げているだけだった。
「……お前かあ?」
ジェフさんもこっちに来ると、ちょいちょいってクダウサギの頭を撫でてやった。けど、クダウサギは気持ち良さそうに鳴くだけ。
本当にこの子がきっかけなのだろうか??
【……探ってはおるけど、なーんも反応せんなあ?? 聖槍はんの方もなんも返事ないわ】
フランツは聖槍さんと、テレパシーとかでやり取りしてしていたらしい。けど、何も反応がないと言うことは……このクダウサギはやっぱり敵ではないと思っていればいいのかな??
「大丈夫ですの」
マシュさんが、唐突にその言葉を口にした。
「この子は大丈夫ですの」
マシュさんは、静かに僕らに告げてきた。あの子供っぽい表情とかではなく……エルフらしい容姿に相まって、凛とした美しい表情でいた。
思わず、僕は心臓がドキッとしてしまう。
「……エルフの勘か?」
「ですの」
森の一族とも言えるエルフには……美貌と長命種以外に、魔法だけでなく特殊な能力を持っているらしい。
それが、ジェフさんが口にした『エルフの勘』。善悪の判別だけでなく、相手の敵意などを見抜くこととか。他にも色々あるらしいけど……僕はそこまで詳しくはない。
ジェフさんは僕を見てきたが、僕はマシュさんがそこまで言うのなら……と首を縦に振った。
「……わーった。けど、なんかありゃ……そん時はそれなりの対処はするぞ??」
これは、熟練の冒険者としての言葉だ。僕は強く首を縦に振ると、マシュさんも『わかりましたの』と首を縦に振ってくれた。
そして、次へのフロアへの階段が出現したので全員で降りて行くことに!!
次回はまた明日〜




