第1話 レーザーソード
お待たせ致しましたー
思わず、鼻歌歌っちゃうくらい僕は上機嫌だった。
「るーんたった、るんたった!」
ただいま、今日の依頼を完了出来たので……まだ数時間も経っていないがギルドに戻ろうと野原を歩いていた。
まだまだ病み上がりの僕でもこなせる依頼中心に。弱いモンスターと適度な採取のものを。
魔剣であるフランツにもまずまずと言われたから、僕の気分は上機嫌! 途中、フランツから『ピザトースト』って例のフランスパンを使って、美味しいパン料理を食べさせてもらった。
それが美味し過ぎて、もっと食べたいと思うくらいに。
【マスター? ワイが検索しとるからって、油断はしてたらあかんで?】
「う……はーい」
たしかに。
魔法剣士に職業変更したからって、僕はまだまだフランツがいないとただの弱い冒険者に変わりない。
今はモンスターがいないからって、気を緩めていた時に死んだら意味もないのだ。
だから今度は、フランツの検索もだけど……自分の目で耳でわかる範囲で索敵してみる。とりあえず、近い位置にはいなかったけど。
【大丈夫だからって、油断してたらあかん。常に周囲を警戒し過ぎても、今のマスターやとまだ体調が万全ちゃうからなあ? ちょぉ、頑張るくらいはしとき?】
「ん、そだね?」
とりあえず、鼻歌はやめてゆっくり歩きつつ、少し索敵をする。その結果、ワーウルフと遭遇したので、フランツを振るって倒すことは出来たんだけど!?
【マスター、試運転や? 魔導具みたくやろうや?】
「どー言うこと?」
ワーウルフの鋭い爪をいなした後に、フランツがそう声をかけてきた。
【見とき?…………変換!】
フランツが何か叫んだ後に……フランツのパンの部分が白く光を帯びて……なんだか触るのが怖い剣になっちゃった!? 柄の部分がちょっと熱いんだけどぉ!?
「なにこれ!?」
【レーザーソードや!! このモンスターに当ててみ? おもろいことになるで??】
「面白い?」
楽しそうに言うから、なんとなく振るったら……ワーウルフの頭部に当てただけなのにそこが溶けて……いや、消えた!?
【成功や!! ワイのレーザーソード!!】
「なにこれ……!?」
凄いけど、ちょっと怖い!?
討伐対象だったとしても、これじゃ角とか爪とか溶けちゃうよ!?
僕は、ちょっとこれは……と、他のワーウルフも同様に倒してからフランツをお説教することにした。
【おん? どないしたん、マスター?】
「どーしたもないでしょ!? あんな危険な魔導具はダメだよ!? 討伐証拠とかも取りにくいんだし、よっぽどの敵じゃない限りやめよう!!」
【へ? 一部は残しとるやん?】
「とにかく、ダメ!!」
万能な魔剣と言えども、あれは危険過ぎる。万が一人間に向かって振るったら……僕は一生涯後悔するだろう。
エクレアさんに言われたように、無益な殺しはしないためだからね!!
とにかく、よっぽどの事がない限り、レーザーソードと言う技は封印となった。
次回はまた明日〜




