第3話 船の旅
《最東の国》《最後の街》――《漁港》
ついて行くと、いつの間にか漁港についていた。
うわ~。なんだあのでけぇ船。海賊船のように大きい。
「うぬらに用意したのがこの船じゃ。大きさは中ぐらいかの」
「いいんですか?」
「構わぬ。あの島は珍も知りたい秘密などが隠されてるゆえな。このくらいの投資は当り前じゃ」
まじかぁ、船操作したことないんだが。
見るからに船頭員がいない。
「これ自分らで動かせてことですか?」
「無論じゃ。この船はいささか特殊での、動力になっておる魔石に魔力を流し込むと目的の島まで勝手に連れてってくれるのじゃ。無論その逆もじゃが」
「すご...。一体いくらするんだこれ」
自動運転付きの船てそんなのあったのか。
自動運転があれば色々便利になりそうだが、その分仕事がなくなる人が多くなるんだろうな。
「では、うぬらの旅に幸運があらんことを」
「ああ、どうも」
《最東の国》《船内》
というわれてもなぁ、何が何だかさっぱりだ。
フリィはここに連れて枯れてから無言のままだし。
「なぁ。フリィ?」
「...」
頭撫でとこ。
「えへへ」
「あの島に何かあるのか知っているのか?」
「まぁ、ちょっとね」
何かを隠しているように思える。
ん? フリィの後ろにある壁にはまった魔石がこいつの動力源か?
「フリィ。ちょっと後ろ通るぞ」
「うん」
よし。この魔石に触れればいいんだよな。
触れてみたものの、何かが吸われているような感じがする。
しかし、どうしてこんな違和感を感じるんだ?
「あ、光の魔石に魔力入ってきてる。あともうちょっとだと思うよ?」
「お、了解」
両手で触れてみる。
お、一気に魔力が吸われているみたいだ。
まだ平気だが、これを何時間はさすがにきつい。
ガガガ...ゴゴ。
なんか変な音がしたな。
まぁいい。集中だ。
『魔力補給を確認しました。自動運行システムを起動します』
船内にアナウンスが流れる。
お、行けたみたいだな。
てか、フリィに連れててもらった方が早いような気もするが。
まぁいい。
「お疲れ様。異常はない感じ?」
「ああ、そうだな」
「そっか。数十年前の代物らしいから起動するのに心配だった」
「数十年前て...。帝国が領土拡大してた当たりだったか?」
「そそ、確かその時に造られた船らしいよ」
すげえなぁ。
高度な魔道具を作っていた古代文明なら納得がいく。
しかし、これを数十年前の誰かが作ったのもすごい。
でもなんで自動運転システムが広まらなかったんだろうか。
不思議で仕方ない。
波に揺れれながら時速20㎞ぐらいのスピードで進むこの船は、甲板に出ると潮風が吹いてくる。
従来の船とは違い。
めっちゃ早い。
これなら目的の島にすぐ着くのではないかと思う。
ゆうがに船の中でバカンスをたのしんでいると突然アナウンスがなり初めた。
『あと1分ほどで到着いたします』
お、ついにか。
スゥ。
ん? なにかいま通り抜けなかったか?
いや気のせいか?
でもあの人たちがこの島に近づけない事の原因かもしれないな。
「もう着いたの?」
「お、おかえり。甲板どうだった?」
「暇だよ? 日差し強いから日焼け止め欲しいくらいかな」
「そんなのないだろ」
「う~ん。あとで買ってこようかな」
あるのかよ!
たしかに国によって文明レベルは異なるが。
あ、島がどんな様子か聞くの忘れてた。
まぁいいや。
「あとは、こいつか。フリィ。ほかに持ってくもんあるか?」
「え? あ~あとはこれぐらいかな?」
船の操縦席の下床に食糧庫があった。
食料には困っていないが、もらっておくとしよう。
「なにじっと肉観てるんだ?」
「み、見てないもん!」
「はいはい。島に上がったら焼肉しような」
「いいの?」
「いいのいいの。こんだけあっても腐るだけ」
マジックポーチに5個くらい肉の塊を残しておこう。
一応マジックポーチの中は時間の概念がないらしい。
なので一生腐らないという。
「あとはこれ」
「きゃ」
大きな揺れと共に、フリィが俺の方に倒れ込んでくる。
すかさずキャッチ。
『目的地到着しました。システムを終了します』
「大丈夫だったか?」
「なんとか」
「そっか」
フリィがなぜか船室から毛布を持ち出し、島に上がっていった。
俺も上がって準備するか!
《最東の国》《神々の島》――《最後の街から東に5㎞》《砂浜》
あの船波に打たれてもびくともしない。
いかりでも降ろしているのだろうか。
しかし、この島。見るからに一個の遺跡の島だ。
お宝の臭いがプンプンしそうだが、拠点を作らなければ。
「フリィ? 何してんだ。俺にしがみついて」
背中に違和感を感じた多分フリィだろう。
「お兄さんひどい。あのフェニックスじゃないよ?」
どっかで見たことある子供だ。
なぜ水着。しかもスクール水着とかいう種類のものだ。
「まさか、こんなとこに神様がいるわけないよなぁ。あはははは」
「お兄さん現実逃避よくないよ?」
う、この子供恐ろしい。
フリィは布団持っててどこか行ってしまうし。
どうしよう。
「まいったなぁ」
「いいこと教えてあげよっか?」
「何か見返り欲しそうな顔だな」
「ばれた? 見返りはただこの島の真相を人に漏らさないことでどう?」
な、各国の君主が気になっているのにその真相すら教えてはいけないのか。
まいったなぁ。
「各国の君主にこの島の調査頼まれてるんだが」
「それなら問題ないよ? 神々を祀った古代人が作り上げた遺跡の島ていえば」
「なるほど、たしかに見た目がこれだもんな」
「それにここには資格を持つ者しか入れないから、外部に情報が漏れないよ」
「なら問題ないか」
実際この島には遺跡がいくつもあるように見える。
この島の大きさは、全長15㎞ほどだ。
大きい部類に入るのだろか?
しかし、建造物が多い。
どこか一つの遺跡を家にすればかなり楽なのでは?
でも、見るからにダンジョン群だが。
「あ、いいことはね。この遺跡群は元々古代人が作ったもの。
それぞれの遺跡には神の器と呼ばれているお宝があるんだけど、
ここにはほとんどの神達の器があるから恩恵を受けたいとこの神の遺跡に行けば、
いい住処見つかるかもよ?」
「まじかぁ。いい物件探しつつフリィ探しかな?」
「うん。多分あの子なら中央の一番大きな遺跡にいると思うよ」
「まじか、情報ありがとな」
「お兄さんだけだからね。こんなことしてあげるの」
「ああ」