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第40話 神界と母親

「マスターみーつけた」


部屋の扉が空いた音が聞こえた途端、フリィが俺を抱きしめていた。

例の件以来、城から出ることが出来なくなっている。

一時的にもこの島の結界が消えたことにより、世界のバランスが崩壊しかけているようだ。


「あ、居ましたわ。」


金髪で赤いドレスを身にまとった少女が勝手に部屋を開け、俺たちを指さしながら言った。

どぅみてもフリィの知り合いだろうと思った俺らは抱きしめられた手を強制的にどかそうとするが、フリィの力により元に戻される。


「マスター。ごめんなさい。ちょっとお姉様借りますね」

「いやぁぁぁぁ!!! もうあんな書類地獄いやぁぁぁぁ!!」


ぎっしり掴まれていた手がすっと抜けてほっとする。

フリィが忙しいのに抜け出してきたのだろうとわかる。


「俺も手伝おうか?」

「え?」



神々のテラス、そこはあらゆる神々が集う場所だ。

しかし今は、各神々は書類に追われていた。

なんでも、俺とフリィがやらかしたことが主で、ミリアの復活も含まれているとか。

俺が関係あることを他の人にやらせるのは悪いと思い、手伝うと言い出したものの、書類が簡単すぎて笑ってしまった。

フリィが、すねてくるので頭を撫でているとミリアがお茶を入れてくれていた。


「楽な書類ばっかだったなぁ」

「でしょ。お姉様たらそんなのもやれないのよ」

「むー」


まだフリィは拗ねている。

なんでも、先日のことを気にしているようだった。


「まぁこれぐらいの書類ならうちでやった方が早いか」

「そうだね。帰ろ〜」


俺が帰ろうとした時、ミリアにフリィと俺の手を掴まれてしまった。


「その書類、ここでやらないと意味ないですよ」

「いや何その特殊書類」


ミリアに止められ、書類を改めて見ると少し薄くなっていたものの、すぐ元に戻っていた。

神界の書類特殊すぎるなこれ。


「まぁフリィは寝てていいぞ」

「うん。ありがと………」


フリィに膝を貸しながらそのまま書類を減らして行った。

寝てるフリィを起こさずこなす書類はかなり困難を極めたものの、何事もなく全てを終えた。


「起きて、マスター。起きないとイタズラするけど?」


フリィが俺の上に乗りながら言っていた。

どこでこんなこと覚えたのだろうと考えている間に、フリィがイタズラしかけていたので、すぐ起きた。


「なぁ、なんで家に戻ってんだ」

「あ〜これね。書類を全て処理したからミッション達成扱いになって、それぞれのセーブポイントに強制転移させられたて言えばわかる?」

「ああ、ダンジョンのBOSS撃退のあれか」

「そそ、あれ作るの大変だったから。こんな時にまで使っちゃった。」


フリィが何かを持ちながら乗っていた。

ミリアが心配して部屋に入ってきた。

フリィが、俺の上に乗っている状況を見た途端、ミリアが猛ダッシュでフリィの隣で同じように乗った。


「お姉様はほんと、目が離せないんだから」

「それ私に言う。みりあも人のこと言えないじゃん」


なんかいつの間にか姉妹喧嘩を初め出した二人から俺は解放されていた。

俺は久しぶりに島の中をグルグルの回ることにした。

大半が森におおわれているこの島は、1回迷子になるとなかなか目的地にたどりつけない。フリィはいつも迷子になるため森を焼き尽くしていた。

自然破壊はダメな俺は、木の上を歩く。

森が裂けた場所を飛び越え、俺は島の反対側にある砂浜に向かった。


ザー、ザー。


潮風と共に波の音が聞こえだした頃、誰かが呼んでいる声が聞こえた。


『みーつけた』


何かが頭の中で囁く。頭が割れるかのような頭痛に襲われ砂浜に倒れ込む。


『大丈夫。今日は何もしないよ』


俺の前には黒いドレスを身にまとい、黒い髪をし、ミリアによく似た年上のお姉さんが立っていた。

お姉さんを見た途端、体が動かなくなる。


『あ、そうそう。妹達元気にしてた?』


妹達、フリィとミリアのことだろう。

しかし、あの二人に年上の姉がいた事を覚えていない。そんな人いた記憶が無い。


『ふーん。元気ならいいや。またね〇〇くん』


お姉さんが消え去った途端、身体の自由が元に戻っていた。

ミリアによく似たお姉さんからは、深い闇の気配を感じた。

なぜ前の世界の名前を最後に行ったのか謎だ。


「いたいた。マスター」


フリィが城から飛んできて俺を見つけた。

倒れ込んでいた俺を起こし、砂をはらいながら抱きしめてくれた。


「なぁフリィ。お前姉いるだろ」


キョトンとしたような顔でこっちを見る。

いなかったようだ。

俺の勘違いだと思い、その場から立ち上がろうとする。


『ふーん。やっぱりお姉ちゃんのこと覚えてないんだ』


またあのお姉さんの声が頭の中に聞こえる。

激しい頭痛に堪えながら、フリィを強く抱きしめた。


「フリィ、貴方にはまだ早いわ。やめなさい」

「いいえ、私は〇〇に告白します。断られてもいい。彼が好きだってこと伝えたいから。お願いママ」


抱きしめた途端、フリィの記憶が頭の中に流れ込んできた。

フリィと、ミリアの母親はミリアによく似ていた。黒髪のお姉さん。先程ビーチで見たお姉さんとよく似ていた。


「分かりました。でも条件があります」

「ママ」

「ミリアを連れていきなさい」

「はい」


そういえばフリィが俺に初めて告白した時、ミリアが木の後ろに隠れながらじっと見ていたけ。俺が後で声をかけるもミリアがびっくりしていたなぁ。


『どお? これで思い出してくれた?』


俺達の目の前には、禍々しい姿のフリィとミリアの母親が立っていた。

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