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34話 新たなる冒険

桁外れのステータスに絶望する中、フリィが擦り寄ってきた。

いい匂いと暖かいからいいのだが、無性に抱きついてくる。

その上膝にはミリアが座っている。


「どうしてこうなったんだ?」

「ダンジョン攻略したせいでしょ? クロも連れてきたし」


フリィの問いかけに疑問を感じた。

ダンジョンを出た途端いつもなるアナウンスがなっていなかった。おかしいと思っていたものの気にもせずいた。


「そういえば、ミリアの封印いい加減解かないとな」

「ほんと?」

「当たり前だろ」

「えへへ」


フリィがその様子を見た途端、腕を抓ってきた。

痛い

どこにあるんだろうなぁ、封印の場所って…。


「なぁミリア、他に魔王てどこいるんだ?」

「う〜ん。あとは西と南かな」

「ということは、ケルベロン王国、イリミリオン共和国か」


早速地図を開くが、どちらもここからかなり遠い。

天界経由の方が早そうだ。


「という訳だ。フリィ。転移頼めるか?」

「え? なんで?」

「移動距離がすごいことになるからだが、」

「う〜ん。無理」


断られてしまった。

なんでもふたつの国には、フリィを信仰する教会が少なく転移できないという。


「めんどいなぁ。飛べば早いか」

「多分。私たちなら南の国で3時間。西の国で7時間かな」

「うえ〜。そんなに飛べね」

「まぁ、船を使えば一日で着くけど、」

「なら、それだな。」


手当り次第、使うものをリビングの机に集め出す。

しかし、圧倒的食糧不足が分かる。

今夜の夕食がないことに気づき、すぐさま東の国へ。

自給自足ができるようにするために島を改良しているが、かなり大変であり、なかなか作物などが育たない。シーフードには飽きてしまい、獣はフリィと俺が怖いのか近寄ってくる気配すらないのだ。


「らっしゃい。おや? 久しいな!」

ここの店主が声をかけてきた。

以前、鑑定でお世話になり、色々島に物資を送って貰っている。

《魔道具士・ユルスティア》


「ああ、久しぶり」

「おじゃましまーす」


2人が中に入ると店主は表情を変えた。


「それで、何の用だ?」

「ああ、食料を売ってくれ」

「は? いや待て2日前に送っただろ」

「あー悪い。その時ダンジョンいたんだわ」

「なるほど、ならこっちに戻ってくるわけか」


店主は店の奥に行くと、何やら箱を持ってきた。

そこには数々の食品、調味料。種や水が入っていた。


「ほらよ」

「すまない」

「いいてこった」


マジックポーチに全て入れ、店を出ようとすると店主が声をかけてきた。


「また、魔王でも倒しに行くのか?」

「まぁな」

「大丈夫なのか」

「ああ、問題ない。じゃあな」


店を出るな兵間の後をフリィが追う。

フリィは、魔王を倒しミリアの封印を特に連れて、兵間の中に眠る異世界の邪神のことを考えていた。


「あとは、これでよし」

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

「ああ、問題ない」


『漆黒システム起動します。現段階のシステム仕様枠数35%』


頭の中で聴こえるアナウンスと共に胸が焼けるかのような痛みに襲われる。

先の戦闘の傷でなく、封印されている邪神が暴れているのだと気づく。


「ふーん。まぁいいや。ちょっと用事あるから先行ってて。」

「あ、ああ。」


船内は俺1人。ミリアは先に魔王と話をつけに行くといい。東の国に行く前に姿を消した。1人は寂しいと思いながら、船を自動運転に切り替え、寝室で眠ることにした。


ゴゴゴゴゴ。


エンジン音が響く中、目を覚ます。

到着したのか、船が止まっていた。

結局フリィは帰ってこず、一人で上陸する。

背伸びをし、当たりを伺う。しかし、周りは完全にジャングルだった。

どこか光の島に似ている。

島を探索するも、何も見つからず船に戻る。


くしゃみの音が船から聞こえ振り向くと、そこには濡れた格好をしたフリィが居た。


「海にでもダイブしたのか?」

「そ、そそんなわけないじゃん」

「へー」


天界から戻る際、間違って座標を海の上にしたのだろう。

ジャングルから木を集め、魔法で着火する。

暖かい炎を2人で囲む。


「ねぇ」

「ん?」

「なんで、食料もらったの? 私たち不死鳥にはいらないよ?」

「あー、人間て思ってもらわないと困るからな」

「へぇー」


フリィが、バスタオル姿で俺に近づく。

なにもせず、ずっと火を見つめる中、突如森の奥から悲鳴が聞こえた。


「こんな島に人いるのか?」

「あー。人じゃないけどいるよ? 多分あいつ」

「あいつ?」


向かった先には神々しい姿をした少年がミリアに抱きつかれていた。

なにしてんだ…。


「やっぱり……。」

「あ、マスター。魔王見つけてきたよ」


神々しい少年を地面に引きづりながら俺の方向にミリアが近づいてきた。

魔王なのになんでこんな神々しいんだ?


「お、おう……。」


撫でて欲しそうな目でこっちを見ていたので優しく撫でる。

その間神々しい魔王は、フリィを見た途端口から泡を吐いて気絶した。


「おいおい。そいつが魔王なんだろ。気絶させてどうするフリィ」

「え? あ、あールシファーね。裏切り者だから後で殺そうて思って下界に逃がしたのだけど、まさかこんなとこにいるなんて…。」

「ルシファーねぇ。」


『漆黒システム。魔王ルシファーを感知。段階を再度計算。現状勝率45%と推定』

『漆黒モード。勝率95%と推定。対象を殺害の可能性あり』

『現状、邪神の封印は解けることはありません。また邪神に対抗するためには10万の壁を突破する必要があります。』


なんか色々と言われたがよく分からん。

とにかくこのルシファーとか言うやつが目を覚ますまで待つか……。

焚き火の場所までルシファーを運び、そこで3人はゆったりと過ごす。


「そういえば、ミリア」

「ん? どうした?」

「貴方の封印解いても本当に問題ないんでしょうね?」

「もちろんだよ。マスターに誓ってもいい」

「なら問題ないわね」


ミリアが襲ってこないならそれで問題ない。

こんな仲がいい2人が敵対し合うとこなんて見たくもない。

ルシファーの容態を確認しつつ、マジックポーチから魔王のドロップ品を出す。一つ一つをルシファーに取り付け、そのまま魔法で拘束した。


「なにしてるの?」

「いや、この鎧呪いのせいか、家の倉庫に入れてたはずなのにいつの間にかポーチの中にあるから、とりあえず魔王のこいつに着けてみた。」

「あー。あの呪われた鎧ね。確かにそれならこいつに着けて火葬した方が良さそう」

「まてまて、そいつ殺すのか?」

「え、うん。だって1度斬りかかってきた男だし。それに仲間の始末はつけないといけないしね」


フリィは、魔法で縛りあげた魔王ルシファーを、ジャングルの木で囲み中で火を起こした。


数分後


ガタガタとうるさくなり、様子を伺うと、ルシファーが目を覚ませ火をどうにかしようとしていた。


「だずげでぐれー」


呼び声が聞こえるが無視。

心配になり向かおうとする俺をフリィが止めた。


「ばいばい。ルシファーくん」


フリィがルシファーの方へ笑顔を見せた途端、暴れている音が消えた。

何をしたのかよく分からない。


数時間がたち、魔王ルシファーは骨になっていた。

フリィは、ルシファーを甦らせ、またルシファーに火をつけた。

この繰り返しが残り1000回に渡って続いた。

何も言わなくなったルシファーを最後には海に捨てたフリィ。

どれだけ怒っていたのかよくわかる光景だった。

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