第32話 殺意
「多分これでいいと思うよ?」
「なにしてんだ...」
魔法で魔法陣の中心に会った人骨を風呂敷に包み、そのまま机のいぇに置かれていた。
あとは、魔法陣に手を当てて何かを唱えている。
わけがわからない。
「魔法陣の開通だけど?」
そういうと、魔法陣が突然光だしフリィの姿が消えた。
まずいと思い走り出し、魔法陣に飛んだ。
《暗黒の迷宮》《最下層》
転移が完了すると俺の目の前には、黒い巨大なドラゴンの上にフリィが上品に座っていた。
多分魔法陣の転送で襲ってきたのだろう。
しかし、一撃で仕留められたのか手なずけられている。
なんでだ...。
「ふ~ん。そっか黒くんも大変だね」
「うむ。お主が着ていたのだとしたら突然襲わんわ」
「だよね」
なんか親しげにフリィと話している。
なんだこいつ...。
腹には焦げた跡がある。
間違いなく返り討ちにされたらしい。
しかし、生きている...。
「ふむ。やっときたかマスター」
突然背中から抱きしめられた。
ミリアだ。
てことは、ここが最後の部屋らしい。
「黒。お主もそれぐらいにしろ」
「ふん。誰が貴様などの命令を聞くか」
黒いドラゴンの反応が全然違う。
どういうことだ...。
「あの忌々しい魔王はどこだ! 見つけ次第殺してやる!」
「ダメだよ? 殺すのは私達だから」
フリィが笑顔でこっちをみてくる。
どんだけ怒り狂ってるんだよ。
「たく、さっさとここから出るぞ」
「あれ、マスターいつの間にここに来たの?」
俺はなぜかフリィの後ろに立っていた。
しかもそこはドラゴンの背中だ。
まぁいい。とにかく帰りたい
「さっさと帰るあんた馬鹿でしょ? ここは《暗黒の迷宮》なのよ?」
なんかうざい声が聞こえてきたなぁ
あーめんどくせ。
ミリアに抱きついている魔王をみつけた。
あ、これまずくね
すると、乗っていたドラゴンが突然黒い炎を放ち部屋が炎に包まれた。
「よく出てこれたな小娘」
「ふん、また負けるだけよ?」
「ほざけ! 貴様のような魔王など」
「そっか、じゃあ死んで」
魔王が一気に間合いを詰めるとドラゴンを一撃で吹き飛ばした。
俺はなんなくフリィに助けられ上空から観戦中。
戦闘狂なフリィはご機嫌斜めのようだ。
「はい終わり。邪神様~わたしえらいですか?」
「うん」
なんかあっちは百合になってるが...。
こういうのも悪くない。
すると、フリィが急に飛ぶのをやめ地面に着地した。
その頃俺は、いつの間にか一人で飛べている。
これもフェニックスのおかげなのだろう。
すると、周りに金色の炎がそこら中に広がった。
「なに? あんたもいたの? 焼き鳥ちゃん」
「待って...そんなこと言っちゃ」
「いいじゃん。どうせ炎を纏った焼き鳥でしょ?」
「...」
あ~。ダメだな。
完全にフリィのプライドぶち壊しにした。
ありゃああいつ死ぬな。
何回も...。
「ねぇ...今から死にたい?」
「え?」
フリィが左手で黒い炎のようなものを握りつぶした。
すると魔王が倒れた。
今のまさか、命そのものを壊したのか。
「あれ? 生きてる?」
魔王がまた立ち上がる。
一度死んだはずだ。
多分フリィの能力だな。
命さえも思いのまま。
「じゃあ次。やきにくになろっか?」
「いやあああああ!」
叫んでいるすきにフリィが魔王の口に金色の炎を入れた瞬間、全身が一瞬で灰になった。
そしてまた一に戻る。
この繰り返しを殺し方は違えど、100回以上は続いた。
そして断末魔がトラウマになるぐらい聞こえてきたのだ。
「うん。これぐらいかな。あとは蘇生できないようにするだけ」
「ひぃいいい! 邪神様~!」
「はいはい。妹に手を出した罰ね?」
「お助け...」
フリィが彼女を炎の剣で刺そうとした瞬間俺は気付いたらそこにいた。
俺は魔王をいつの間にかかばっていた。
「どいてマスター...そいつは殺さないと」
「ああ、そうだ」
「じゃあなんで? なんで邪魔するの?」
「あのなぁこいつは俺の獲物だからだ」
「そう、じゃあ死んで」
炎の剣が腹に何十本も突き刺さった。
金色の炎でできたこの剣を受け止めない限り、フリィは戻らない。
俺はそう感じた。
「馬鹿だな。お前もトラウマに入り込んでどうする」
「え...?」
「いいか、一人で抱え込むな。フリィ、もうお前のそんな顔見たくねぇんだ」
フリィの瞳から、涙がこぼれている。
その涙は、炎に蒸発されずそのまま俺の肩についていた。
「どうして...」
「決まってるだろ。お前が好きだからだ」
「...そっか」
それからの記憶は俺にはない。
後から聞いたのだが、魔王によってこの《暗黒の迷宮》のゴールを作り無事帰ってこれたらしい。
しかも、あのドラゴンも一緒にだ
魔王は、今はミリアに連行され魔界に戻っているらしい。
俺が目覚めたのは家に帰ってから一週間後だったという。




