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プロローグ③ ダンジョンクリア

 目のまえに現れたのは体長15メートルほどの、全身赤と金色の炎に包まれた鳥だった。


 ピク...ピク...


「息できないいいい! どこなのよここは!」


 あ、はまってるよなこれ...。


『どうやら成功したようじゃの。じゃそゆことで』


 ちょま...。


 頭の中に聞こえてきた声は聞こえなくなった。

 声を出そうとするが、微かな声しか出ねぇ。


「ち...い...く...な...れ...な...い...のか?」

「小さくなれないか? あ! そゆこと」


 何かに気づいたのか、みるみると巨大な体系が人の形に変わっていった。

 炎の様な腰のあたりまである赤髪。なぜか尻尾の様なものが和服についている。


「あれ、どこ~?」

「ここ...だ...」

「お?」


 彼女がこっちの声に気づいたのかこっちを振り向いてくれた。

 あれ、そういえばモンスターたちどこ行ったし。


「あ! マスターじゃん!」


 突然抱き着いてきやがった!

 ほんわりいい匂い? 美味しそうな匂いがする。いやこれ何か焦げて...ん?


 ジュ~。


「ひ...つく...な...服...燃えた...じゃ...ないか」

「あ、忘れてた」

「なん...だ...と」


 変えの服持ってきてないんだよなぁ。

 まさか()()()(召喚獣)に抱きしめられ、燃えてしまうとは...。


「あ、それよりこれ飲んで」

「なん...だ...それ」

「いいから!」


 ムグ...。


 強引に何かを口に入れられた。

 味は、なんかほんのり甘くすこししょぱい。

 なんだこれ?


「あとは...これを、痛いけど我慢我慢...」


 彼女は和服の尻尾のようなところから一枚の羽根を渡してきた。


「うう...いたい...。でもマスターのために頑張るんだから!」


 張り切ってくれるのはありがたいが、自分を犠牲にしてないか?


「あんまり無茶すんな」


 ん? 思わず声が出てしまった。

 彼女が、俺に自分の羽根を数枚わたしてきた時、苦しそうと思ったからかもしれない。


「あ、声戻ったみたい? じゃああとは体の蘇生だね」

「え? ちょまて!」


 自分の羽根を俺の両足。心臓当たり、両腕、頭にさしてきた。

 いでぇ...ん?

 なんか、入っててないかこれ?


「これ大丈夫なのかよ」

「問題ないよ。体の蘇生と精神の蘇生。あと()()()()かな」


 ん? なんか今やばい言葉が聞こえたぞ。

 不老不死とかなんとかこうたら。

 羽根が体に吸い込まれると、傷が勝手に治り始め折れた腕は元に戻り、前より体が軽くなっていた。


「はい。終わり。マスターのカスタマイズ終わったよぉ」

「カスタマイズて...俺はロボットじゃないぞ」

「ふーん。まぁいいやとにかくステータス画面見てみて!」

「お、おう」


 動かなかった右腕を動かし、ステータス画面を開いてみた。


「ん? なぁこれおかしくないか?」

「普通じゃないの?」

「いやいや、絶対おかしい!」


 ―――――――――――――

【名前】    『本名』櫟原兵間 『偽名』シャルク

【種族】    人間?  

【年齢】    17   「不老のため固定」

【職業】    召喚士 「条件解放:不死鳥召喚」

【レベル】   1000 

【称号】    つよつよお兄さん 神獣召喚士 伝説の召喚士 不死鳥の主

        勇者パーティー追放 死にかけ 不老不死


【HP】     185186/∞

【MP】     531/58999


【攻撃力】   240

【防御力】   1550

【物理攻撃力】 20

【魔法攻撃力】 1500000

【すばやさ】  200

【魅力】    1

【運】     測定不能 「条件解放:神の祝福」


【スキル】

 召喚士の伝説

 最東炎神の加護

 神の祝福

 魔法 召喚魔法α

 テレパシー 「神との会話可能」

 全種族言語翻訳

 同時召喚可能「上限なし」

 自動回復


【召喚できるモンスター】

 ゴールデンスライムα 

 キングゴブリンα

 ケットシーα

 ケルベロスα

 雪だるマン 「冬限定召喚」

 変なお姉さん?(変態)

 不死鳥 フェニックス (相棒?)

 ―――――――――――――


 変わりすぎだろ! なんだよレベル1000とか、みたことねぇぞ!

 いやそのまえになんで召喚できるモンスターまで進化してんだよ!

 こわいわ!


「どお? 結構変わったでしょ」

「変わりすぎて怖いです」

「相変わらず戦闘には参加できないけどね」


 ぐふ...。

 どうにかして、魔法覚えなければ。


「そういえば忘れてたんだが、俺を囲んでたモンスターたちは」

「あーあの雑魚と箱? ほらあれ」


 彼女が指さしたのは灰の上にドロップ品が置かれている山だった。

 もう倒してたんだ...。さすがだなぁ...


「とりあえず、ドロップ品回収して下の層いくよ!」

「ちょ、待ってくれぇえ!」


 あれ、そういえば彼女を召喚してからMP消費がない。

 というか、そもそも回復している。

 普通召喚獣はMPで構成されているはずだから召喚士からMPを常時消費するはずだが、


「あ、これマスターがつけてて。私には必要ないから」

「なんだそれ」


 魔法道具の様なブレスレットだ。


「いいから、一応レアみたいだし」

「ほぉほぉ~」

「じゃいくよ」


 ブレスレットを左腕につけドロップ品を回収しながら彼女の後を追う。

 まぁ彼女のおかげか、モンスターすら会わなかった。


 《最東の国》《最後の街》――《修羅の門》《第五層》


 ここまで四層は、全くて言っていいほど何も出てこない。

 ただ彼女についていくお仕事になっている。

 移動してる間彼女は無口だ。

 俺が、なにか話題をふると「そうだね」としか返事してくれない。

 終わったかもなぁ...。


「マスター」

「ん? どうかしたのか?」


 急に足を止めた。

 目のまえには、禍々しい大きな扉がある。

 あ、ここボス部屋じゃねぇか!


「いけるか? ボス部屋だぞ」

「雑魚にしか変わりないから、マスターはここにいて」

「お、おう」


 ボス部屋に彼女が入って数秒後。


 ドーンドン、ぐちゃ、ぐちゃ。


 なにしてんのかすげぇ気になる音がするが気にしないでおこう。


「お待たせ~。マスター養分せっしゅ~」


 血まみれの姿でボス部屋から出てきた彼女は、抱き着いてきた。

 う~ん。悪くない。


「俺養分てなんだよ...。それより倒したのか?」

「もちろん! 最初に炎で遊んでたら勝手に息絶えちゃって締めに二発殴っただけだよ」

「通りで服が血まみれなわけか」

「えへへ~。マスター。なでなでしてぇ~」


 いきなりおねだり...。

 さっきまでの彼女とは違う。

 一体何があったんだ。


「お、おう」


 胸板辺りにある頭を撫でてみた。

 いいシャンプー使っているのかほんわり匂ってくる。

 うれしそうにしているので、もっとなでてあげた。


『フェニックスの()()()が10上がった』

『ゴブリンロードをフェニックスが一撃で倒した』

『ミスリル鉱石を手に入れた』

『ゴブリンスレイヤーの称号を手に入れた』


 最後は俺じゃなくて彼女の称号じゃね?

 あ、魔石出てこないな。


「赤い変な石でなかったか?」

「あ、あれ? 美味しそうだったから食べたけど、ダメだった?」


 なでなで中に顔を見上げてくる。

 か、かわえええ...。


「いや、あれを冒険者ギルドに持っていけばお金と交換できたんだ」

「あ~、なんか悪いことをしちゃったみたいだね。ごめん」

「いやいいって」


『フェニックスがご機嫌斜めのようだ』

『フェニックスが魔石を取り込んだことにより、フェニックスのステータスが上がった』


 ん? 召喚獣て魔石取り込むとステータス上がるのかよ!

 てか、感情ログもあるし。


「なんか、ログにフェニックスのステータスが上がったて書いてあるんだが」

「むぅ~。フェニックスじゃないもん! フリィだもん!」


 まさか、ご機嫌斜めだったのて、名前のせいか?

 語尾だもんとかかわよい


「ごめんごめん。魔石を取り込んだおかげで、フリィのステータスが上がったみたいなんだ」

「え? 強くなったの?」

「多分な。自分のステータス観れるか?」

「どうだろ? 何も出てこないよ」

「うーん。ちょっといいか」

「え?」


 彼女の左手に触れてみた。

 お、ステータス出てきたわ


 ――――――――――――

【名前】    フリィ

【種族】    不死鳥

【年齢】    17 「不老不死であるため固定」

【レベル】   25999

【称号】    お兄さんと再会!ムカつく! 恋敵 神の守護獣

        マスターに愛されし者 一族最後の生き残り


【HP】     ∞/∞ 「自動回復により∞」

【MP】     24506/30000


【攻撃力】   100000

【防御力】   9999

【物理攻撃力】 100000

【魔法攻撃力】 100000

【すばやさ】  999  「光速」

【魅力】    98.5

【運】     100 


【スキル】

 不老不死

 自動回復

 召喚MP消費不要

 常時MP供給不要

 獄炎回

 ブレス

 炎の着物

 擬人化

 神の祝福

 ――――――――――――


 やばいなこれ。

 チートというレベルじゃねぇ。

 反則だろ。


「マ、マスター。そろそろ離して」

「あ、悪い」


 抱きついていたフリィの手から離すと、フリィは熱があるように顔が赤い。

 大丈夫だよな?


「大丈夫か? 顔赤いぞ」

「はぁわわ、い、いいから先行くよ!」

「へいへい」


 なんか恥ずかしいことでもしたか?


 《最東の国》《最後の街》――《修羅の門》《第二十五層》


 二十層あたりまでは、フリィのおかげかでモンスターすら会わなかった。

 途中他の冒険者と出会い、ブレスレットのことを聞いてみた。


「こ、これは珍しい! お前これ何処で手に入れた!」

「い、いや、一層にいたミミックを倒したらドロップした」

「ほほぉ、ずるいなぁそいつ反則級アイテムだぞ。売れば白金貨50枚はくだらん」

「え? えええええ!?」

「運がよかったな。そいつの性能聞きたきゃそこの嬢ちゃんとともにここに来てくれ」


 メモ書きを渡され、彼らは、上の階層につながっている階段の方へ行ってしまった。

 これが白金貨50枚か...一体何なんだこれ


「マスター。先行こ?」

「あ、ああ」


 《最東の国》《最後の街》――《修羅の門》《第九十四層》

 最奥を目指すこと一時間

 本当は一時間では来れない場所だが、

 途中テレポートの石碑を見つけ九十四層に飛ぶことができた。


 ここには、命知らずなモンスターだらけだ。

 フリィはまだ本気すら出さずに、平手打ちでモンスターを倒してしまう。


 階層を探索すること三十分後

 宝部屋を見つけた。


 うわ~なんじゃこりゃあああ!


 周りは黄金、宝石、宝箱だらけだ。


 フリィもこの部屋を見つけた途端テンションが上がっていた

 うん。分かるぞその気持ち


「マスター。これら全部売ってお城買お!」

「さすがに買えねぇだろ」

「えええ、そんなぁ~」

「どうやってこんな部屋一面にある宝を地上に運ぶんだ?」

「あ、それはねぇ~。これ」


 フリィが複数の宝箱から取り出したのは何も変哲もないポーチだ。

 いや、絶対入らんだろ。マジックポーチならわからんが...。


「見てみて、マスター! どんどん入っていくよ!」


 フリィが宝箱をポーチの中に()()()()()()()()のが見えてしまった。


「まじか! それマジックポーチじゃん!」

「これでお城買おうね!」

「せめて屋敷にしてくれ...」

「え~。いいけど」

「いいのかよ!」


 よし、これで最後だな。

 特大な宝箱をマジックポーチに収納完了!

 あとは百層にいるボス倒して転移の石碑で帰ればいいか。


「お、ここだここ! お宝だ! しゃほーい!!!」

「「あ...」」

「ああああああ!」


 俺たちは、見つけた宝物庫に入ってきたのは俺を追放した勇者パーティーだった。


「な、なんでお前がこんなとこいるんだよ! てかここにあった宝は!」

「ああ、全部もらったぞ? ごちそうさん。んじゃ」


 フリィの手を左手握り、右手でマジックポーチを腰のベルトに付け替えた。


『ブーブー、侵入者を確認しました。モンスターハウスに移行します』


 ダンジョン内にアナウンスが響き渡る。

 俺はそんなことを無視し、フリィの手を引っ張って九十五層への階段を降りて行った。


「おいおい、まじかよ! あの()()()野郎めええええ!」とダンジョン内に声が響き渡った。


 何も言わずに走り逃げてきたとはいえ、さすがにきつい。

 モンスターをかわしながら逃げるのはもうやりたくねぇ~。


「あいつら? マスターを追放したていうくそ人間パーティー」

「...ああ、そうだ」


 確かにくそ人間の集まりだ。

 俺がいたときはいつも俺のことをいじめ、傷つけ、人質にしてくれた。

 まぁさすがに人質にされたときは逃げたが...。


「ふ~ん。やっていい?」

「やめてくれ、さすがに犯罪者にさせたくない」

「そっか、やっぱりマスター優しい」

「そうか?」

「そうだよ。私よりずっと...」


 また無言の時間になってしまった。

 フリィは、俺の方をちょくちょく振り向きながら向かってきたモンスター達を倒していた。

 もちろん。ドロップ品は回収している。

 冒険者ギルドで換金すると魔石よりは安いがかなりの金額がもらえる。

 なかなかおいしい


 《最東の国》《最後の街》――《修羅の門》《第百層》《ボス部屋》


 結果から先に言おう。

 ()()で終わった。


 フリィが、火の塊をボスに投げつけると体内から爆発した。

 このダンジョンで一回も本気を出していないほんと、そこが知れない


「はい終わり。う~んおいひぃ」

「食べながら話すな」

「ふぁ~い」


 大きな魔石を丸ごと飲み込もうとしていたフリィだがさすが最後のボス。

 ブラッドドラゴンだったことはある。


 ブラッドドラゴンはいわゆる赤いドラゴンだ。

 血を主な食料としている不思議なドラゴン。


 さすがにでかすぎたようで、久しぶりのもとの姿のフリィを見た。


「ごちそうさま~」

「お粗末様」


『フェニックスがブラッドドラゴンを倒した』

『フェニックスの好感度が5上がった』

『ブラッドドラゴンの肉×16を手に入れた』

『ブラッドドラゴンの骨×56を手に入れた』

『ブラッドドラゴンの鱗×356を手に入れた』

『フェニックスのレベルが1上がった』

『レベルが5上がった』

()()()()()を手に入れた』

『称号 ドラゴン殺し』

『称号 上半身裸の変態』

『本メッセージより、強制転移を行います』

『ダンジョンクリア』


 俺達はいつの間にかその場から消えていた。


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