第21話 楽園を作りたい
「しかし、なんでお前ら擬人化してるんだ?」
「それは...」
よくわからん。
以前は俺がレベル上がりすぎたのもあるのだが、今回はまったくもって違う。
確かにレベルが上がっているが、ここまでの成長するだろうか。
しかし、彼らからはどこかフリィと同じような気がして仕方ない。
それに俺のスキル 召喚神という謎のスキルも。
「きゅぴぴぴ、きゅ?」
「なるほど、そゆことか」
「え?」
スラ君が話したのは自分たちがいつの間にか世界の神の人柱になっていたことだった。
それは同時に神々のテラスにいたことにも納得が付く。
しかし、なぜモンスターがここまで成長してしまったのかが謎だ。
フリィは例外だが......。
「可能性ならここらへんか?」
以前この部屋で見つけた古代文字で書かれた書物を机に置いた。
そこにはこの世界に住まう、数々のモンスター達の情報が載っている。
もちろん、ドラゴンもだ。
しかし、この本にはドラゴンが友好的であると書いてある。
大半俺が出会ったのは、大抵殺しにかかってくるものしかいない。
「ふーん。全く読めないよ?」
猫耳娘が頭をふらふらしながら言ってきた。
無理もない。俺でさえスキルでやっと読めるほどだ。
「シャルク君、これどこで手に入れたの?」
ゴスロリのこが聞いてきた。
一番彼女が謎だ。
見た目がどう見てもアバルードによく似ている。
もとはおねぇ属性のおっさんだったのだが、今やその面影さえない。
「この部屋にあったんだ。フリィが以前読んでいてね」
「ふ~ん」
興味津々にこの本を見ている。
読めるのだろうか?
「ほぇ~。マスターだ~。ぎゅ~」
突然背中から誰かに抱きつかれた。
さっきまで寝室で寝ていたフリィが寝ぼけてきたのだろう。
「すりすり、すぅ...」
「ねたか...」
寝言なのか寝ぼけているのかよくわからん。
またこんなことも起きると思い、リビングのソファーに寝かしつけてきた。
「で、これからお前たちはどうしたいんだ? 本音で答えてくれ」
「私はのんびりしたい!」
さすが猫だ。自由な性格
のんびりしたい分かるよ!
「きゅぴぴ!きゅぴ」
「何か不要なものあったら食べたい? なんでだ?」
「きゅぴ、きゅぴぴ」
「なるほど」
スライムはいわゆる雑食だ。
廃棄物やダンジョンごみをいつもきれいにしてくれているのが彼らだという。
仲間を呼んでこの遺跡を掃除してもらうことにした。
「俺はこのジャングルに住む仲間とこの島を守る」
「さすがに俺ら襲わないでくれよ?」
「襲われたのかよ...だらしねぇ~」
「仕方ないだろ! 戦えないんだから!」
一応戦えない。
いつもはアバルードがしてくれているらしい、彼女いわく。
というわけでフェンリルたちの統治任せた!
「僕はマスターの仕事とか力がいるときに役に立ちたいんだな」
「この島開拓するきか?」
「違うのです?」
「計画してなかった」
気が弱そうだけど結構な力持ち。
うん。島に旅館でも作るか。
風呂入りたい!
ん? 待てよ《楽園》作ればよくね?
「楽園!! さすがシャルク君。やるわね」
「即効反応してくんな! てか心読むな!」
リリアン。
彼女は多分この部屋に居候してるか、俺に付きまとってそうだな。
護衛てことにしておこう。
なんか申し訳ないが...。
「よし、決めた!」
俺が椅子から立ち上がるとみんなこっちを見ていた。
「ここに《楽園》を作る!」
皆拍手してくれる中、ソファーでは気持ちよさそうにフリィがねむっていた。
俺も寝ないとやばいかもなぁ。
でも今朝だろ。




