第18話 また死んだ
目が覚めるといつの間にか病室のような場所にいた。
「一体どこだよ、ここは...」
周りを見渡すと、机の上に何か手紙らしきものが置いてあった。
ベットから立ち上がり、その手紙を読んでみた。
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マスターへ
ちょっとケーキ買いに行ってきます。
身体は灰になるまで焼いておいたので完全復活できてると思うけどどお?
アバルードに事情聴いたから...その...ごめんね。
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さっきまでここにフリィがいたようだ。
まぁいったなぁ。暇で仕方ない。
さすがフリィの炎だ。傷ついても再生を繰り返す身体を灰にするんなんて.....。
永続的に炎を維持しないと無理な気がする。
コンコン...。
扉からノックが聞こえた。
「どうぞ」
というと、扉が開いただけで誰も入ってこなかった。
ホラーやん......。
「すまぬな、先ほどは」
後ろを振り返ると、アバルードがそこに立っていた。
気配を消していた?
いや、姿すら見えなかったぞ!
「い、いや別に......」
なんか気まずい。
「お主、魔王の魔剣持っているだろ? 少し貸せ」
あの宝物庫にあった魔剣のことだろう。
なぜか裏コード:漆黒を使っているときは、常時手に持っている代物だ。
かなりの切れ味があり、一振りで山を切り裂くほど。
俺以下の人間が持てば暴走してもおかしくない。
「大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫じゃ、貸せ」
右腰のポーチから魔剣を取り出した。
いつも俺から離れようとしない魔剣が、アバルードが触れた途端アバルードに吸い付くかのように移動した。
「なるほど、この魔剣たしかに魔王の武器じゃな。しかし、前の持ち主はお前になっておる。どういう事じゃ?」
「その剣、魔王城の宝物庫に置いてあった。なぜか台座に突き刺さっていたがな」
「ふむ? てことは魔王はこの剣を使っていなかったということか」
「そういうことになるな。使っていたのはこいつらだな」
魔王関係の装備をポーチから取り出した。
何故かこれらは俺が装備すると、すぐにはずれてしまう。
自我でもあるのだろうか?
「なるほどなるほど、まだまだ甘いな」
「どういう?」
「こいつは確かに魔王の品だ。しかしこの世界には我が肉体を守る三人の魔王がおる。こいつはやつらの一人じゃな」
「じゃあ人族を襲うのは」
「そんなこと考えるわけなかろう。人を襲う必要すらない、それに下のものをおそってなんになる」
さすがアバルードだ。
しかし他にもいるのか。
だがアバルードのいうとおり、魔王を倒した後、向こう側は賑わっていると聞いた。
普通王が殺されたのだからもっと活気がなくなるはずだ。
しかし、その逆ということは他にも魔王がいるということなのだろう。
「じゃあ、アバルードが俺の中にいた理由は」
「魔王を倒す際に何らかの形で入ったか、あるいは前々からお主の中にいたからかもな」
「つまりじぶんでもわかんないと」
「うむ。そういうことじゃ、そろそろあの女が返ってくるうえ、この剣返しておくぞ」
またすんなりこっちに戻ってきた。
以前より魔剣が持つ魔力が高くなっている気がする。




