第11話 日常
数日後......
重い。
目が覚めると同時に感じたのがそれだった。
布団がたまに重く感じることはあるがそういう類ではないらしい。
「あ、起きた?」
布団上からフリィが乗っかっていた。
久しぶりに寝たせいで大分疲れが取れたようだった。
てか、病室寝床にしてないか?
「ああ、おはよう」
「おはよ。今日ちょっと用事あるから」
「ん」
「じゃ、行ってくる~」
「うい~」
重さがなくなる。
フリィは相変わらず街をぶらつくことが好きなのかよく抜け出している。
「起きるか...」
ベットから抜け出し、病室の外に出る。
あくびをしながら診察室に向かった。
「おや。今日はおはやいですね」
「まぁなぁ。起こされたせいだけど」
「なるほど、取り敢えず座ってください。話はそれからです」
木の椅子に腰を掛ける。
この椅子ギーギーいうのであまり好きではない。
「では、これを右手で握ってください」
「はい」
この怪しい人は、この病院の院長。
明野 誠人と名札に書いてある。
どうやってこんなの作ったのか謎だがまぁいい。
「ふむ。基礎値20オーバーですか、何か悩み事でも?」
「いいえ何も」
「そうですか。ではあと二日はここにいてください」
「分かりました」
「ではお大事に」
毎朝診察を受けることが義務図けられている。
仕方ないのは分かっているつもりなのだが、体にはどこも異常がないため早く出たいのだが。
毎日やることがないため、最近は《魔道具士・ユルスティア》に通っている。
魔道具の点検したり、試しに使ってみたりしたいる。
ほとんど宝物庫で手に入れた品だが。
「試さねぇと値段付けれねぇ!」とか言われるので一つ一つ試しているのである。
たまにはこんなの存在しててのかよ!てやつや、自動的に掃除するやつもある。
これらを生産して売れば莫大な利益を生み出せると思うが、さすがにそこまで馬鹿ではない。
全て道具に頼ると、人の仕事がなくなって経済が回らなくなってしまう。
そんなわけで、やばい物は俺が預かることにした。
「こいつはどうだ? 火の魔石に備蓄魔力を流し込むだけで火が付くてのは」
「いやいや、それならこの液体使った方が早い」
カウンターの横に置いてある黒い液体を指さす。
「あんなもん使えんだろ。ただの黒い水だろ?」
「そんなわけ...」
なんとなく、火の魔石を取り出し液体に近づけてみた。
液体は忽ち燃え上がり、店全体を包むかのような炎にまで膨れ上がった。
やべぇ。
こいつで何とかなるはず。
懐中電灯の魔道具を手に取り、針を戻すことで時間を操る魔道具だ。
「まぁこんなとこだ」
「いやいや、危うく師匠からの譲り物焼くとこだった...」
「まぁまぁ。これで分かったろ?」
「ああ、しかしその液体をこいつ中に入れるとして、どうやって火をおこすんだ?」
「それはだな」
魔道具にある魔石を使ったライターを参考に設計してみた。
燃料を入れる場所はアルミなどの軽い金属。
火を起こすのは、火打石と鉄で高速に当てることで火花を出させる。
あとは、紐を燃料のとこから火を起こすとこまで引っ張ればつくはずだ。
「いやいや、無理だろ」
「無理はやってみればわかるはずだ」
「う~ん。お、嬢ちゃんか」
フリィが店に入ってきた。
何か探しているような様子で。
「マスター借りてっていい?」
「いいが、どうした」
「お偉いさんにお呼ばれ」
「なるほど、いってこい兄ちゃん」
フリィに強引に腕を掴まれ引っ張り出される。
「ま、待ってくれえええ!」
引っ張られたまま、街中を通り何故か港に来ていた。
帰る気なのか?
「ええ、そう。今からそっちに向かうから向けの準備お願い。うん、じゃ」
「念話か?」
「うん。今からちょっと落ちるかもだから気おつけてね?」
「え?」
突然足元がそれの雲の上になっており、いつの間にか俺とフリィは《神々のテラス》に来ていた。




