第7話 終焉の炎
《最東の国》《神々の島》――《創造神の遺跡》
ここは、この前来た場所か?
始めてきたはずなのに覚えている。
どういうことだ?
「今のところ問題ないみたい。アルバード。探索魔法使える?」
「もちろんですとも。そうおっしゃると思いまして先ほどからかけております」
「なら安心ね」
探索魔法いわゆるサーチというやつだ。
実力に応じて探索範囲が大きくなる。
遺跡やダンジョンなどではモンスターの位置やトラップなどが確認することができる。
俺達が以前《修羅の門》では使っていなかった魔法だ。
「トラップはほんとごめんだ」
「その通り。連れてきてよかったかも」
「お役に立てて何よりです」
安心だなぁ。
《修羅の門》ではトラップに引っかかりまくったからなぁ。
死なないけど、死ぬかと思ったわ。
「マスター。補助お願い」
「お、了解」
覚えたての補助魔法をフリィに掛けるとそのままフリィの姿が消えた。
相変わらずのスピードだ。
一家に一台フリィが欲しいて思うほどの実力を持ち、馬車やドラゴン顔負けのスピード。
気付いたら最後、死んでいる。
ダンジョン内では大体はこれの繰り返しだ。
「ふむ。彼女に補助魔法をかけるだけで何もしないのですか?」
「いや、戦えないので大半は任せてます」
「なるほど、そちらに腰付いている剣は」
「ああ、これですか? 魔王倒した際に、宝物庫で見つけた魔剣です。呪いなのか知りませんがマジックポーチにいれてもこうやって出てくるんです」
「なるほど意思のある武器でしたか」
意思のある武器か。
たしか、古代ドワーフ族が作った武器だったかな。
ある素材を使うことで、その武器に意思を宿らせ、持ち主を選ぶ武器。
そんな高価なものだったなんて。
「マスタ~片付いたよ」
返り血が付いた顔でこっちにフリィが近づいてくる。
こわい。
しかし、前のことより返り血が多い。
「ここのモンスター硬いのか?」
「うん。強度ならミスリル以上かな」
「マジかよ」
ミスリル世界三大金属の一つ。
主に武器に使用されており、希少金属だ。
他にはアダマンタイト。イリジウムが存在する。
一番固く希少なのはイリジウムだ。
例外は、聖剣や魔剣。
「一撃で倒せたのか?」
「う~ん。大きいやつだと二発かなぁ。あと少し炎使うぐらい」
「なるほど」
あちこち遺跡をぶらぶらしているが会うのはモンスターのみ。
目的の場所にはまだまだ遠いらしい。
しかし、しびれを切らしたのか。
フリィが...。
「これ壊していい?」
「いや待て!」
フリィが石像のようなものにパンチすると石像が粉々に砕けた。
やばいな。
ん? 隠し階段だよなこれ。
「ラッキー。ぐるぐる飽きてたし。早く行こ?」
「お、おう」
「怪しいですが、まぁ道もないわけですし仕方ありませんね」
階段を下りた先には、待っていたと言わんばかりの、身長15メートルほどあるミノタウロスが立っていた。
ただの肉だるまだといいが...。
「運。いいのか悪いのかわからんくなってくるな」
「だね。ちょっと本気で行くよ」
とフリィが言った途端彼女はミノタウロスの後ろに立っていた。
背中に炎の翼が見える。
やる気らしい。
しかし、フリィがそこまでするということは相当強いということだ。
うぉおおおおん!
突然フリィにミノタウロスが殴り掛かる。
フリィがそれを受け止めている。
ん? つらそうな顔してないか?
「まさか、かなり強い? こいつ」
「のようですね。私は援護に参ります。君はどこか安全なところへ」
「お、おう」
アルバードがフリィの近くで魔法を詠唱する中。
俺は岩陰に隠れていた。
ミノタウロスの攻撃方法は単純であるが、その破壊力と重さは相当なものだ。
フリィいる場所の地面が、ミノタウロスの力で地面が崩壊しかけている。
不味いな。
あのままじゃ、巻き込まれるな。
仕方ない。やるかぁ~。
鞘から魔剣を取り出し構える。
『システム。マスターの魔力を検知。裏コード:漆黒覚醒に入ります』
『覚醒には10秒ほど時間を要します。よろしいでしょうか?』
目のまえに《Yes/No》が現れる。
その画面をおれはYesを押した。
『受理を受諾しました。本プログラムを起動します』
魔王よりも嫌な予感するんだよなぁこいつ。
背筋が凍るていうかなんていうか。
かなり強い相手だ。
『システム起動完了しました。対象ミノタウロスを排除にかかります』
あ、不味いな。
「フリィ、一撃いれるからそのすきに逃げろ」
「え、ちょっとまって!」
自動的に俺の体が動き出す。
今までとは考えられないほどの動き、剣の使い方、魔法。
それらすべてが得られる。
しかし、一撃いれてもフリィを押しつぶそうとする力が緩まない。
困った。
『対象残りHP約9割と判定。プロセス2を起動します』
突然動きが変わると、手に持っていた魔剣の形状が変化し始めた。
その見た目はまさに巨大な剣。
何もかもを包み込むような黒い剣だ。
剣が変わったせいなのか、すっぱすっぱ斬れる。
斬り落としたはずの腕がすぐ再生する。
まいったなぁ。
『プロセス5を起動します。召喚獣フェニックスのスキルを使用。討伐に移ります』
嫌な予感しかしない。
「フリィ。結界はっておけ!」
即座にフリィが何十も重なった結界を展開させた。
話が分かるのですごく助かる。
血を噴き出しているミノタウロスは俺を狙うが、すばやく回避していく。
さっきからいちげきすらもらっていない。
すると、身体全体が突然暑くなる。
なるほどな。
これがフリィの力か。
『スキル解放。終焉の炎の詠唱に移行。プロセスを10に引き上げます』
どんどんプロセスが上がっていく。
一体どうなってるんだ。
ん? なんか背中にすごい熱気を感じる。
『ミノタウロスの心肺停止を確認。プロセスを終了します。お疲れ様でした』
急に力が抜ける。
ああ、勝ったのか。




