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第5話 フリィの涙

「意味わからん」

「同感。取りに行くのめんどくなっちゃってるし」


フリィは以前来たことがあるのか?

しかし、あの忠告してきた人は一体。


「あ、マスター」

「ん?」

「食材とか他の荷物とかどこに置いてきたの?」

「...あ」


砂浜に置きっぱなしのことを思い出す。

さすがに腐ってないだろう。


「...取りに行っても無駄だよ?」


部屋を出ようとした瞬間、フリィに止められた。


「どういう事なんだ?」

「簡単。人が住んでいる世界と神々が住む世界では時間列が違うからね」

「は? ここ神の世界なのか?」

「一応ね。向こうでは此処の一時間があっちの一日になってるから」

「いや待てよ? 砂浜においてったはずだが」


ここが神の住まう島なら、島全体の時系列が異なっているはず。

なら問題ないだろ。


「あ、そっか。島の中だから問題ないか」

「だろ? じゃ取りに行ってくるわ」

「ちょっと待って」


フリィが俺の右手に何かを握らせてきた。

袋か?


「マジックポーチ。旅館に置いてったでしょ?」


俺が荷物を運んでた理由。

旅館で休んでいるときマジックポーチや貨幣を部屋に置いて行ってしまった。

助かる。


「悪いな」

「いいの。それよりあと三十分で日が落ちるから急いでよ?」

「どういうことだ」

「まぁ。急がなかったら分かるかな」


意味深なこと言ってた。

フリィてやっぱ俺より何でも知ってるよな。

外見若いし、ステータス見た時同年代だったし。

一体彼女は何者なんだ。


《最東の国》《神々の島》――《砂浜》


やっと着いた。

来た道を降りるだけだったが、なぜかトラップのようなものを踏んで散々な目にあった。

さてと、回収回収。


カジカジ。


ん? なにかがかじってる音がする。

袋を回収と。

あとは、こいつだな。


目のまえの船をどうしよう。

台風とか、津波、災害級モンスターきたら終わるしな。


ガルルルル。


ん? 見た目オオカミだが、あの毛並みフェンリルか?

召喚した記憶はないが。


後ろを振り返る。

あれ? いつの間にか大量のフェンリルに囲まれてる。

う~ん。逃げるか。


《最東の国》《神々の島》――《ジャングル内》


「ここなら追ってこられないだろう」


中央の遺跡前。

さすがにここに来たら追ってこなくなっていた。

しかし、あちこちかまれたな

痛い。

戻るか。


「あ、おかえり。どお? かわいいフェンリルの歓迎は」

「先に言っておいてほしかった」

「言ったよ? 三十分で戻ってきてって」

「無理だろあのジャングルを三十分でとか」

「私なら五分でいけるけど?」


そういえばフリィはジャングル一直線に燃やして道造ってたもんな。

なぜかその道消えてたんだがな。


「さすがに無理ですはい。」

「まぁ、そこまでできるようになるまでここに滞在した方が身のためだよ?」

「どういうことだ?」

「...見れば分かるよ?」


フリィが分厚い本を差し出してきた。

この島のモンスター一覧本。

なにこれ。

まぁ開いてみよう。


「...。ドラゴンているんですね~」

「その反応になると思った」


フリィはクスクス笑っている。

ほんの一ページ目にしてこの島に住む10種類のドラゴン。

以前倒したのは中ぐらいらしい。

この島には一撃で世界を滅ぼすドラゴンが封じられてるらしい。

こわ。


「やばいな。てかこの島たいていのモンスターそろってるよな?」

「そうだよ? 神獣と呼ばれてるフェンリルも大勢ね」

「てことは、フリィの仲間もいるんじゃ?」


フリィが黙り込む。

どうしたんだろう?

ん? 涙?


「あ、ごめん」

「別に...謝らなくていい。そもそもこっちの世界なんかに私の仲間なんていないから」


謝らなくていい。の後から小声で何か言っているのは分かったが、よく聞き取れなかった。

突然フリィが俺に抱きついてくる。

まだ泣いてるみたいだ。


「ちょっと...このまま...にしてて。お願い」

「あ、ああ」

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