咎人病
咎人病とは、青色圏で見られる奇病のことである。
この病に冒された者は、一〇日間、絶えず甘い言葉で囁かれ続けられ、声に返事をしたその瞬間に発症し、倦怠感などの自覚症状が現れ、二四時間以内に耳や鼻から黒い血を流して死亡する。(一〇日を過ぎると声は消える)
その致死率はほぼ一〇〇%と云われており、それだけでも恐ろしい病ではあるのだが、この病の最大の特徴は、その致死率の高さではなく患者の死亡後に起きるある変化にある。
その変化とは、死亡した患者の怪物化と《異端の力》と呼ばれる人智を超えた力の発現である。
通常、咎人病に感染した患者は二四時間以内に死亡するが、ごく稀に死後数時間以内にフェンゲと呼ばれる異形の怪物となって蘇る場合があり、この時に付与される力が《異端の力》と呼ばれる人智を超えた力である。
フェンゲは異端者を意味するフエチーホという言葉と変化を意味するエンゲという言葉を組み合わせた造語で、病名は死んでから復活する様やハルトアグの言葉に唆されることが神の理に叛いているようだという理由に由来する。
また、ゲセブ教ではフェンゲを神の理に叛いた罪人と認定しており、その罪は死を持って償わなければいけないほどの重罪であるとされており、これが卯下の猟犬がフェンゲを狩る理由の一つでもある。
また、フェンゲは異端の力の発現と同時に身体能力が大幅に強化されており、並の人間や兵器では太刀打ち出来ない。さらに強い殺人衝動を持っており、全てのフェンゲが必ずといっていいほど何かしらの事件を引き起こしている。
そのため、咎人病の感染者は死亡すると、速やかに火葬される決まりになっているが、そもそも咎人病の代表的な症例の殆どが死亡時、或いは死亡後のものであるため、実際に施行された例は少なく、フェンゲによる事件は増加の一途を辿っているというのが現状である。
唯一の救いはこの病が人を介して感染することがない、というものであるが、では、どのようにして感染しているのか、というと、それもまた不明である。




