クルエン教創世神話
●創世記
世界が始まる前のこと。天高い場所に七柱の神がお生まれになった。
初めにお生まれた神の名は、アメノヌス・ヌ・ミル。この神はこの世界のありとあらゆるものの根源となった神である。
次にお生まれたのはアメノホル・ヌ・ミル。この神は星を司る神である。
次にお生まれになった神の名はタンタケサ・ヌ・ミル。この神は地を踏み固め、大地を生んだ神である。
次にお生まれになった神の名はルシケサ・ヌ・ミル。この神は雨を降らせ、海を創った神である。
次にお生まれになった神の名はカンフロケサ・ヌ・.ミル。この神は自らの吐く息から風と大気を創り出した神である。
次にお生まれになった神の名はココトケサ・ヌ・ミル。この神はこの世の理を創った神である。
最後にお生まれになった神の名はハツセルシ・ヌ・ミル。この神は生命の神でありこの世の始まりを告げた神でもある。この神がこの世の誕生を告げた笛を吹くと海に脂とも泡ともつかないものが無数に浮かび上がった。これが全ての生物の元となった。
以上が、この世界の成り立ちについてである。
これら七柱を創世の七神と呼び、地上に現れた神とは別の特別な神であり、我々の前にその御姿を表さない神である。
一週間が七日なのは創世神話に由来している。
●生命と神々の誕生
海に浮かぶ脂とも泡ともつかぬものは最初、単純な姿へと変わり、そこから植物や魚、鳥、トカゲなどへと姿を変えていった。
それからしばらく経ち、地上が様々な種の生き物で満たされた頃、最初の地上の王である龍が生まれた。しかし、その後、神の怒りを買ってしまい僅かな種だけ残して滅ぼされてしまった。その時に一つの大きな島であった地上は、六つの大陸と数多の島に分けられた。
それからしばらく後、長細い島(今のルネベネリア大陸)に二柱の神がお生まれになった。
まず初めにお生まれになったのはオ・クニノカレル・ヌ・ミロト。これは、生命の根源を司る男神である。
次にお生まれになったのはメ・クニノムブ・ヌ・ミロト。これは、生命の根源を司る女神で、オ・クニノカレル・ヌ・ミロトの妻であり、妹であった。
この二柱な神は木と泥と葦で作った家で性交を行い、夜明けと共に多くの神を産んだ。
この時に生まれたのは天を統べる神であるオ・ウピケヌス・ヌ・ミロト、地上の神であるオ・クニノピケヌス・ヌ・ミロト、冥界の神であるオ・ヨモピケヌス・ヌ・ミロトの三柱の男神であった。
メ・クニノカレル・ヌ・ミロトは、この三柱の神を産むとき、痛みに耐えきれず泣き叫んだ。その声から三柱の神が生まれた。
まず、初めにメ・ムク・ヌ・ミル。これは、金属と鉱山の神である。
次にオ・ウイトス・ヌ・ミル。これは、穀物の神である。
最後にオ・タガス・ヌ・ミル。これは、畑の神であり、農耕神である。
オ・ヨモピケヌス・ヌ・ミロトは、身体が腐っていたので、メ・クニノカレル・ヌ・ミロトは、この神を産んだ直後に亡くなった。
オ・クニノカレル・ヌ・ミロトは、嘆き悲しみ、その悲しみから三柱の神が生まれた。
まず初めにオ・ラヤ・ヌ・ミル。これは、山の神である。
次にメ・ヤルウ・ヌ・ミル。これは、声を司る神である。
最後にオ・ホ・ヌ・ミル。これは、炎を司る神で、メ・ムク・ヌ・ミルの夫である。
やがて、神々は地上に石と金属と水晶で出来た楽園を築いた。しかし、楽園は新しき神であり破壊神であるメ・ヤマニア・ヌ・ミロトによって滅ぼされた。
●人間の誕生
オ・クニノピケヌス・ヌ・ミロトは、自らのために自らの姿に似せてミルサランクの祖先であるアルセムとエハンというつがいの人間を作った。
それを見たオ・ヨモピケヌス・ヌ・ミロトは、真似をしてつがいの人間を作ったが上手くいかず、不完全な姿となった。このつがいの人間がヲサンクの祖先であるクラムスとマハンである。
やがて、地上はアルセムとエハン、クラムスとマハンの子孫により満たされた。
それから時が流れ、託宣によりオ・アルセムとメ・エハンの子孫であるクルエンが、楽園のあった場所にヒユマス最初の国を築いた。その国の名をミル・カ・サールという。