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異世界クルドゥリア設定資料集  作者: フルビルタス太郎
宗教
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クルエン教について

◎クルエン教(ルネベネリア派)(単一神教)

 記録に残る上では、世界最古の宗教とされている。元々は多神教であったが、ルネベネリア共和国に於いて大統領の権威を高める目的で単一神教として再編された。その為、後者はクルエン教ルネベネリア派と呼ばれている。ここでは、ルネベネリア派について記す。

 現在の教義に於いて最重要視され、かつ、絶対的な崇拝対象とされているのは、太陽神カルイ・ヌ・ミロトである。(メ・カルイ・ヌ・ミロトと同一神である)

 この他にも世界を作った七柱の創世神や天と地と冥界の三つの世界を支配する三柱の神(内、天を統べる神はカルイ・ヌ・ミロトの父である)、その三柱の神の両親である万物の根源を司る二柱の神がおり、これら一二柱の神は、カルイ・ヌ・ミロトよりも上位の神である。

 崇拝対象はカルイ・ヌ・ミロトの名を縦に記したミルヌヌサと呼ばれる紙、或いは大統領の肖像画である。前者は神が降り立つ依代であるとされ、その大きさは神の等身大である縦一六〇センチ、幅三六.八センチと決められている。

 

 クルエン教は、今から約三千年前にミル・カ・サール王国を建国したクルエン一世が託宣に従い精霊信仰から発展した土着の宗教や神話などを整理、体系化する形で成立し、同王国の国教でもあった。その後、王国の崩壊と共に衰退し、以来、細々と信仰と教義が伝えられて来た。現在は、ルネベネリア共和国の国教に定められている。

 最高指導者の称号は神子で、その下に大神官と神官、司祭がいる。神子の主な役割は神の言葉を信徒に伝えることで、大神官は宗教的儀式を行う役割を担う。神子は王家の者が就くことになっており、共和制になってからは大統領が神子としての役割を担うようになった。

 神子は神によって地上の統治権を委ねられた存在であるとされているが、王国時代は神の言葉を伝えるためのメッセンジャーに過ぎなかった。しかし、共和制移行後に大統領の権威を高める目的で神の化身であると再定義され、それに伴い、クルエン教(ルネベネリア派)は、多神教から単一神教へと信仰形態を変えていった。

 教義は、神の言葉に従い行動する事を基本としている。そのため教典というものは存在しない。

 クルエンが書き記したとされる創世から始まる創世記は、教典ではなく歴史書として扱われている。

 毎年八月には先祖供養の祭りが開催されている。

 

【クルエン教教義】

 太陽神にして我らの祖先を導いた偉大なる神であるカルイ・ヌ・ミロトは、世界の中心であり、天と地を統べる王であり、天に住まう数多の神々の代弁者である。

 その神子であり、地上の統治を委任された大統領閣下の言葉は神の言葉であり、地上に再臨する神の慈悲に溢れた平和で美しい楽園への導であり、守るべき戒めである。

 我々は、神に祈り、戒めを守り、行動しなければならない。これは神が望まれていることでもある。


【ウアリ(戒律)】

 神の言葉を疑ってはならない。

 神の言葉に背いてはならない。

 神の存在を否定してはならない。

 人々は神に奉仕しなければならない。

 神のために働かなければならない。

 他の神を奉ってはならない。

 争いを起こしてはならない。

 無駄な殺生をしてはならない……他。


【礼拝の仕方】

 ミルヌヌサを壁に掛け、手前に供物として大麦、水、野菜(果実)、肉(魚)を供えたあと、香を焚き、ミルヌヌサの前に座って、二拍手、一礼、祈りの言葉、一礼、一拍手の順で礼拝をする。

 最初の二拍手は神を呼ぶためのもので、祈りの言葉の前後の一礼は神に仕える者であることの意思を示し、最後の一拍手は、礼拝が終わった事を伝えるためのものである。


【宗教儀式】

 神殿に於いて巫女が太陽神メ・カルイ・ヌ・ミロトと交信し、神託を得て信者に伝えるという伝達の儀(しかし、現在は文明の進歩により送声機を介して行われる。ちなみに月初の大統領演説とは別である)の他、一歳になる子供の顔に三重の円と呼ばれる神の祝福を示す模様を墨で描く祝福の儀という儀式や年末に神への祈りと感謝を示す感謝祭が存在する。

 結婚式は神官立ち合いのもと、神殿でミルヌヌサの前で神への祈りと誓いの言葉を述べたあと、神前に備えた供物で料理を作って、親族や友人などの近しい人達に振る舞い、彼らの前で結婚を報告する。と、いうものである。

 また、葬儀はミルヌヌサに結んだ麻糸を死者の手に結び、細かくした香木を香炉に入れ焚いた後、祈りの言葉(死後の世界での掟)を唱えて、四拍手、二拍手、七拍手の順で死者の魂を送り出し、個人の氏名を書いた紙と共にお金と生活必需品を燃やして死者のもとに送り届ける。その後、遺体は墓地に埋葬される。(香を焚くのは魂をあの世に送るための道標を作るためである)

 

【補足説明】

 クルエン教のもとになった宗教や神話は、ルネベネリア大陸で農耕文化と共に誕生した精霊信仰が基盤となっています。その後、コミュニティが発展するにつれて神の数も増えていったと考えられています。

 教義の上で重要視されているのは太陽神であり、それは、太陽神が巫女の体を借りて他の神の言葉を伝えるという祭祀からも見てとることができます。

 なお、クルエン教を信奉していたミル・カ・サール古王国は、高度な文明を有していたことで知られており、現存する遺跡はいづれも高度な建築技術で建てられており、特に祭祀跡は非常に高度な天文学的な知識によって建造されていて、夏至や冬至の太陽の動きに併せて機能するように設計されているそうです。

 また、噂では、クルエン教の聖地であり禁足地でもあるラーヴァ島にはミル・カ・サール古王国よりもさらに古い超古代文明の遺産が眠っているといわれており、ミル・カ・サール王家に伝わっていた神聖文字は、超古代文明で使われていた文字であるといわれています。

 現在のクルエン教の崇拝対象である神体は神名を紙に書いたものになりますが、これは、精霊信仰の名残であるとも云われています。

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