問おう魔将軍。あなたがそんなことをするのはなぜなのか?
「下手な演技で俺を惑わし殺そうとする作戦か…無意味だったな」
そう俺はミニミ軽機関銃のリロードをしながら言う。過去の経験が今活かせたからできたことだろう。活かせていなかったら死んでいてもおかしくは無い。
「なんでわかったの…なんでわかったのよ!」
必死にして回復魔法を少女は少女自身にかけながらそう言った。ミニミ軽機関銃がもたらした5.56x45mm NATO弾は殺傷には向いていない、そのため断片をクラスター弾と同様に散らばせることによって軟組織に刺せることによって相手にダメージを与えるのだが彼はそんなことを知らない。
そして魔将軍からすれば配置した魔族の体の作りがこんな悲劇をもたらしたと言う事実さえ受け入れなかった。
魔族の体は比較的人間に比べて柔らかい。そのため断片がものすごく深いところに刺さり致命傷となって死んでいったのだ。
「経験だ…お前らは卑怯なことをして大虐殺を起こすことを何度でも繰り返す」
俺はそう一瞬過去を脳内で振り返りながら短く言った。俺の家族も同じような戦略…卑怯な手によって消えて行ったからこそ分かる。
「だが…なんで同じ戦略を使うのかが俺には分からない。卑怯なことしかできないのはわかっているがなぜだ教えろ」
俺は少女の額に銃口を向けながらそう問いかけた。その理由さえわかれば救われる命だってあるだろうし、何より俺の様な人を出さなくなる未来に近づけるだろう。
「そうじゃ無いと生きていけないからだ。我々は人肉を食することでしか生きていけないし、何よりお前らはすぐ冒険者や勇者たちに助けを乞い応援を呼ぶからだ」
そう魔将軍である少女はため息をつくと話した。
(彼女からすればそうしないと生きていけないのだろうが俺からすればなぜだ)と思う。
(我々が助けを求めたくなるのは当然だ。武器もマスケット銃もない我々からすれば武器と呼べるのは桑とか農作に使われるそんなものくらいだ。強大で魔法とか使って来る奴…無差別で殺戮してくる奴とかと真っ当に戦ったところで勝てるわけがない。だから助けを求めるのに)
そして俺は怒りに怒り狂い、普通の冷静なる判断も取れないまま怒りに任せて引き金を引いた。
空冷式によって冷却された銃身に熱が灯りそして使い手の意思に沿うように放たれた銃弾は先ほどよりもターゲットが少ないためか大量に命中した。
そして三脚を今回は使用し撃っているためか反動が少なく何より命中しやすい。そして魔将軍である少女の形をした者は負傷しているためか動けない。
そのためこのミニミ軽機関銃の長所がさらに生かされ…冷静になった頃には跡形もなく死骸が残っているだけだった。