Story.2 黒の魔導師
昨日はすいません。めちゃくちゃ頭痛かったです。
と、名乗って見たのはいいのだが………どうすりゃいいんだこの状況。
俺、時雨 柚楽は『はんばーがー』なる食を求めて見慣れない学園都市を右往左往していた。
しかしその途中、獣人と人族の男の喧嘩を目撃してしたのだ。
正直面倒くさいながらも、一応死者が出る前にと思い止めに入ろうかと思った時だった。
今時珍しい刀を持った少女が目の前に立ちはだかり、火の玉を水の壁で防ぎながら喧嘩を仲裁しようとしていたのだ。
まぁあっさりと捕まっていたが
面倒くさいが仕方あるまい、そう思った俺は魔法で獣人と人族を氷漬けにしたのはいいのだが……………
「先輩?!」と聞き覚えのある驚いていた声が耳に届き、そちらに目を向ける。
そこには、かつて同じ学校に通っていたひとつ下の少女………………一条 千歳がいた。
「なんだ千歳?お前そういえばフロンティアの学生だったな。
喧嘩を止めに入る勇気があるのはいいと思うが刀と攻撃魔法以外使えないなら諦めたほうがいいぞ?
まぁ刀で腕を切り落とすくらい出来るなら別にいいと思うがお前人殺せない派だろ?と、ここまで長く語ったのはいいが本題はこれからだ。
俺は今から『はんばーがー』なるものを食べなければならないのだが如何せんこの学園都市は広くてな。
『まるけどなると』という店を探しているのだが知らないか?」と昔の後輩である千歳に忠告をする。
まぁ本題はまるけどなるとなのだが………
「えぇ?!やっぱり先輩ですよね!というかなんでこの都市にいるんですか?先輩、吾妻の王になる修行をするために残るって言ってませんでしたっけ?」
その言葉に、俺はチクッとした痛みが胸に起こるのが分かる。
しかしこれは、教えなければならないのだろう。
それが例え、故郷の壊滅の知らせだとしても。
「……………………滅んだよ。吾妻の国は。一人の王によってね」
「なっ?!ど、どういうことですか先輩!吾妻が滅んだって…………………うそ……ですよね………?」
「いや……………ホントのことだ。あの日………2ヶ月前、突然現れた王の魔族によって国が滅ぼされたんだ。破壊王『クラガ・ラタトス』によってね−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ーーー
極東に位置する、吾妻の国。
そこは人族と魔族が共存する、各国でも珍しい共和国だった。
米や野菜などを自国栽培。
畜産や漁業なども行っており国内生産率100%を誇る外交をしない国としても有名だった。
そして俺は、そんな吾妻の国の第一王子として生を受け、日々王になるための修行を行い心身ともに鍛え上げていた。
そんなある日のことだった。
城に怪しい男が現れ、突然『巫女を出せ』といった。
巫女とやらは知らないしそもそも怪しい男を城に上げる訳などなく門番が追い返そうとした。
しかし怪しい男が門番を刺し殺し、門を破壊した。
そこからが真の地獄の始まりだった。
暴れ始めた男が魔法を放ち、城下町を焼いた。
城にいた騎士たちや魔法師団もなすすべ無く殺されていった。
城下町の火は燃え盛り、ついには城をも焼いた。
その事件があり、人口の7割は死に絶え、生き残ったものもやけどなどの後遺症が残ったものも少なくなかった。
ーーー
「そんな………ひどい…………」と言って千歳は泣き崩れた。その目には涙が浮かんでいた。
「すまなかった……………俺が守れなかったから」と、気づいたら口にしていた。
「いぇ!先輩のせいじゃありませんよ!悪いのは全部破壊の王です!」と千歳が強く否定してくれる。
その言葉は、俺の心を癒やしてくれた。
『お前がもっと早く来れば!』『あなた達が弱いからこの子が!』
脳裏に響く、憎悪の言葉。それを全てかき消してくれる光に、俺は思わず抱きついていた。
「わ、わわ、先輩?!ちょっ、どうしたんですか?!」と言われるが、俺は更に強く抱きしめる。
すると俺の心情を察したのか頭を撫で、抱きしめ返してくれる。
俺は思わず泣きだしてしまい、千歳の胸に顔を埋めるのだった……………
ーーー
「お見苦しい姿をお見せしました!」
今俺は、全力で千歳に頭を下げていた。
理由は先ほど、感極まってしまった俺が千歳に泣きついてしまったことだ。
しかもそれが、面倒を見ていた後輩が相手だなんて羞恥心どころの話じゃない。
顔を真っ赤にしながら、俺は頭を下げていた。
「だ、大丈夫ですよ先輩!私、先輩と抱きしめあうと落ち着きますし……………そ、それに!私、先輩のことす「おい!よくも俺を氷漬けにしてくれたなぁ!ぶっ殺してやる!」へぁっ?!」
千歳と話していると、氷が割れたのか体を赤くした獣人が現れた。
その目は憎悪に汚れており、殺意がビシビシと伝わってくる。
「先輩!逃げてください!先輩は接近戦なんてできないでしょう!だから早く!」といって、刀を構える千歳。
だが……………だが、ここは俺に任せてもらおうかな?流石に名誉を挽回したいし。
そう思った俺は千歳の前に片手を置き制する。
「なぁ千歳、なんで故郷が滅んだのに俺が生きてると思う?何故、破壊の王は全員殺さなかったと思う?」と問いながら、俺は前に歩み出る。
「えっ、それは…………目的を達成したからとか?」
「違うさ、千歳。正解は達成不可能だったからさ」
「え?それってどういうことですか?」
「それはつまりな………………俺が殺したからさ。破壊の王を、な。」
「えぇ?!で、でも王は王にしか殺せないはずです!」
「あぁ…………だからそう言ってるのさ、俺は突然王になったイレギュラーにして初めての、100番目の王。
俺がこの都市に来たのは、あのババアに連れてこられたからだ!」
そう。時雨 柚楽は100番目の王である。
冒頭にも書きましたが昨日はすいませんでした!塾から帰ってきたらすごく頭が痛くてすぐ寝ました。
明日はエロゲのやつ更新します。もしかしたら違う作品も投稿するかもです。