表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】氷の侯爵様に甘やかされたいっ!~シリアス展開しかない幼女に転生してしまった私の奮闘記〜  作者: もちだもちこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/147

73、自立を考える幼女



「おにいさま! ただいまもどりました!」


「おかえりユリアーナ」


 屋敷に戻ったお父様と私を、玄関で迎えてくれたのはお兄様とセバスさんだ。

 最近よく微笑むようになったお兄様に駆け寄ろうとするも、お父様に抱っこされている状態では身動きがとれず。

 そんな私の葛藤を知ってか知らずか、お兄様はお父様に向かって優雅に一礼する。


「ご無事で何よりです、父上」


「うむ。学園の許可は?」


「休学届を出してきました。学園の総会運営も……何とかなるでしょう」


「そうか」


 学園でも家でも働いているなんて、有能すぎるお兄様が可哀想すぎると思う。

 お父様を見上げた私は、その整った顔をジッと見る。


「……」


 ジッと見る。


「……領地経営は、手を貸す」


「父上、ありがとうございます!」


 目をキラキラさせたお兄様。

 でも、お父様は当主の座を譲ったのを言い訳にして、これからもサボる気満々だった気がするよ?

 アロイス君だった時のお父様、けっこう楽しそうだったし。

 お兄様の後ろで控えているセバスさんもコクコク頷いている。


 あ、そうだ。


「おとうさま、にわ、いきたいです」


「庭に?」


「何をするんだ?」


 お父様とお兄様に問われて、ちょっとドヤ顔になる私。


「じゅんびをするのです」







 以前、市場で購入した色々なハーブ系の種ですが。

 私のやりたいことを察したセバスさん指示の元、庭師かげさんたちがいい感じに育ててくれました。ありがたい。


 侯爵家の広すぎる庭の一角に、畑がひとつ入るくらいの大きさはあるハーブ園。

 私もしばらく来れてなかったから、ここまでたくさんのハーブが群生しているとは思ってなかったよ。

 庭師かげさんたちが庭師ほんぎょうで活躍してくれた件。


「これは、ユリアが作ってくれた『お守り』の花か?」


「はい。せいれいかいには、ひとのつくったものは、もちこめないとききました」


「なるほど。植物なら……ということか」


「父上、ユリアーナの作ったブーケは指示通り身につけるようにしておりますが、学園でもかなり助けられております」


「そうか。さすがだな、ユリア」


「えへへ?」


 いや、以前のスケルトン大量発生の騒ぎならともかく、お兄様が学園で助けられてるって……何があったの? 大丈夫なの?

 あの時、セージをはじめとした魔除けの植物だけじゃなくて、唐辛子とかスパイス系も盛り込んだものも作った。

 ブローチくらいの大きさのから部屋に飾るリーフまで、私ひとりじゃ手が回らないからと、マーサたちも手伝ってくれたっけ。


「おにいさま、ごぶじでなによりです」


「ああ、前は女生徒の申し出を聞いていると仕事が出来ず困っていたが、それがなくなった」


「もうしで、ですか?」


「よく分からないのだが『あなたの孤独を癒してあげる』だの『家族のあたたかさを教えたい』だのと言われ……たぶん、人違いだと思うが」


 それを聞いたお父様の眉間に、思いきりシワが寄る。

 そしてちょっと肌寒いからお怒りモードですね、分かります。ユリアーナも同じ気持ちですから。ぷんすこ。


「ヨハンは……孤独なのか?」


「いえ、そんなことはありません!」


 父上もユリアーナもいるから孤独でも何でもない、と、頬を染めるお兄様が可愛い。

 お父様も口元を緩めてお兄様の頭をポンポンするから、さらに顔が赤くなっている。あらあらうふふ。


 それにしても、謎の女生徒は気になる。

 学園に通える年齢でもないし、せめて漢字で話せるようにならないと何もできなさそう。

 そういう女子には口で負かされそうだからね。こわいこわい。


「じゃあ、おまもり、もっとつくらないと!」


「ありがとう、ユリアーナ」


 何かあった時用に、激辛スパイスをふんだんに入れた目つぶしとかどうだろう?







 ハーブ園は、屋敷内の人たちにも好評だった。

 私が「自由に使っていい」と伝えていたのもあって、料理人さんたちが調理に使っていたのだ。

 肉料理や魚料理、スープにサラダ、お菓子にも使えるからね。万能だよね。


 庭から部屋に戻った私たちは、各自精霊界へ向かうための準備に取りかかる。

 とはいえ、私の準備はマーサたちの手をかりることになるから、お兄様みたいにひとりで出来ないことが多くてちょっと落ち込む。


 当たり前のように、お父様の膝抱っこを堪能しつつティータイム。

 ハーブを採ってすぐにお茶として出す「フレッシュハーブティー」は、心も体もすっきりした感じになるから好き。


「ハーブを練り込んだクッキーやパウンドケーキ、ハーブ入りの茶葉と、ハーブの入った調味料も入れておきます。保存食ばかりでなく、ちゃんと温かい料理を食べる場所があればよいのですが……」


 料理長とマーサが、あれもこれもと荷物袋に入れている。すごい重さになりそう。

 これを持つの、たぶんお父様になると思うのだけど。


「お嬢様、こちらはペンドラゴン様に『負荷軽減』の魔法陣を入れてもらった荷袋です。ご心配なく」


「さすが、おししょ」


 そういえば、お気に入りのポンチョがダメになってしまったんだっけ。

 新しいのどうしようと思っていたら、セバスさんがスッと差し出してくれたものは。


「あたらしいポンチョ!」


「旦那様がご用意されたものです」


「ありがとうベルとうさま!」


「……あの時に裂けてしまったからな。それに、大きくなったようだから、前よりも大きめに作ってある」


「おおきく?」


 自分の体を見下ろしても、どこが成長したのか分からない。

 魔力暴走がらみで成長が遅いと聞いていたから、なおさらだ。


「ゆっくりだが、ちゃんと成長をしている。ゆっくり大きくなればいい」


「はい、ベルとうさま」


 壊れた魔法陣の影響とはいえ、膝抱っこされてもあまり気にならないのは、この小さな体のおかげだ。

 いずれ巣立つ身ではある。でも今はまだ、このぬるま湯のような生活を満喫したい。


「ところで、ベルとうさまのじゅんびは?」


「セバスに任せてある」


 なるほど。

 もしかしてだけど、この中で一番自立しているのは……お兄様かもしれない。




お読みいただき、ありがとうございます!


新作、「男になれたので異世界を満喫します!」も、よろしくお願いします!

細マッチョ男子が色々する話です!(言いかた)

 ↓ ↓ ↓

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ