26、森で真の何かを知る幼女
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セバスさんお墨付きの、安全な小鳥。
ぱっちりと目が開いているし、震えも止まっている。
「げんきになった?」
「きっと、ユリアーナお嬢様の子守唄(笑)が効いたのでしょう」
なぜか子守唄の後に何か付いたような気がするけれど、微笑みを絶やさないセバスさんは黙して語らずだ。
とりあえずへらりと笑顔を返した私は、ふたたび膝の上にいる大福……もとい、小鳥に目を向ける。
「ことりしゃ、げんきになったのねー」
「クル……ルルル……」
かわいらしい鳴き声?をあげて、こくりと頷く小鳥さん。
あれ? もしやこの小鳥、言葉が分かる?
「セバシュ!」
「なんでしょう、ユリアーナお嬢様」
「このことりしゃ、てんさいでは!」
「ぶほっ、ん、さ、さようでございますね」
なぜかセバスさんがそっぽ向いて震えているけれど、今はそれどころではないのです!
この白い小鳥さんは、珍しい小鳥さんである可能性が高いと思うのですよ!
「おにいしゃま! オルしゃま!」
「どうしたユリアーナ! ……む?」
「お嬢様、その鳥は……」
ふたたび膝の上で震え出す白い小鳥。
もちもちの羽毛が膨らんで、ますます大福っぽく見えてしまう。
すると、つかつかと私の側にきたお兄様が、膝の上から大福……小鳥を取り上げてしまった。
「ことりしゃ!」
「だめだユリアーナ。これは小鳥ではない」
大福(仮名)は、お兄様の手の中で暴れることなく静かにしている。
これはもしや、お兄様の飼っている小鳥だったとか?
「落ち着け坊っちゃま、森で何かあったのかもしれないぞ」
「坊っちゃまと呼ぶな……そうだな、今は状況を把握する必要があるか」
お父様譲りの銀髪を揺らしたお兄様は、不敵に微笑んでみせた。
はう、かっこいいですよ! でも今はそういう場合じゃない気がしますよ!
「森で、何かあったか?」
お兄様の問いかけに、こくりと頷く白い小鳥さん。
「お前が魔力不足になるまで……魔獣か?」
首を振る小鳥さん。
「しかし、お前が魔力不足で倒れるほどの存在か?」
こくりと頷く小鳥さん。
なるほど、森に魔獣じゃない強い何かが現れた……と。
あれ? それってヤバくない?
お父様もお師匠様も不在の時に事件が起きるなんて……。まさか、二人の留守を狙ったとか?
「ユリアーナは屋敷に……」
「おにいしゃまと、いっしょにいきましゅ!」
「坊っちゃま、ここに残すほうが危険だ。俺が必ず守るから連れて行ったほうがいい」
「坊っちゃまじゃない、ヨハンと呼べ」
「了解、ヨハン様」
「それに、お前に言われなくても、ユリアーナは私が守る」
「了解」
あれ? お留守番かと思ったら、違うのね?
「ユリアーナお嬢様は、隙あらばひとりで森に行ってしまうでしょうね」
ん? おてんば認定されている?
そんなことないよ。ちょっと魔力を練ってちょちょいのちょいってやるだけだよ。
「セバスも来てくれ。ユリアーナを見ているように」
「かしこまりました。暴走しないようしっかりと見ておきます」
暴走なんてしないよ! ちょっとだけだよ!
白い小鳥さんは、オルフェウス君の頭に乗っている。
確かに鳥の巣みたいに黒髪があっちこっちに跳ねているけれど、さっきみたいに膝の上に乗っててくれてもいいのになぁ。
「ユリアーナ、疲れていないか?」
「あい」
「いつでも兄が背負ってやろう」
「あい」
そして私は、セバスさんに子ども抱っこしてもらっているのです。
疲れるわけがないよね! ハハッ!
庭から入る森は、最初はまばらだった木々も徐々に多くなって、緑も濃くなっていった。
生えている草花も、シダのような日陰でも育つ植物へと変わっていき、樹木ひとつひとつが大きくなっていくのを感じる。
前世で旅行した、巨大な杉の木がポコポコある島を思い出すよ。森の精っぽいものがいても不思議じゃないよ。まぁ、確実に魔獣はいるけど。
「ここらへんは、まだ人の気配がするな」
「うちで雇っている獣人たちが、定期的に魔獣を駆除している」
「ああ、そういや大規模な人身売買組織が壊滅したとか聞いたな。なるほど」
「ユリアーナの功績だ」
ふぇっ!?
お兄様から突然お褒めの言葉をもらって、思わずアワアワ慌ててしまう。
いや、アレは私じゃなくて、前世の知識というか原作者チートというか……ともかく、褒められることではないのは確かだ。うむ、よきにはからえ。
「なるほど……それで、希少種の獣人が人族に従っているのか」
「ペンドラゴン殿の奥方もいる」
そう言ったお兄様の言葉に、オルフェウス君の頭にいる小鳥さんが「クルルル……」と鳴く。
「ことりしゃ、げんきになった?」
「んー、まだ自力じゃ飛べないっぽいぜ」
「……まったく、困ったものだ」
なぜか呆れ顔で小鳥さんを見ているお兄様に首を傾げていると、不意に視界が開けた。
「わぁ……すごい……」
木の高さは変わっていないけれど、地面がぐんと下がっている。崖のようになった地形の下から生えている巨大な木々、大きく広がる枝を生かして作られたツリーハウスが至る所にある。
「森で仕事をしている、獣人たちの居住区だ」
「圧巻だなぁ」
お屋敷から見える森は広いけど平坦な感じだったのに、まさかこういう地形になっていたとは……。
崖の下は暗くて、覗いてみればお尻がゾゾッとする。
「ユリアーナお嬢様、ご安心くださいませ。我らがおりますから」
「ありがと、セバシュ」
ぶるった(死語)のがバレるのは恥ずかしいけれど、セバスさんの抱っこはお父様の次に安定感抜群なので怖くないですよ。
ほっこりしていると、遠くの木々の間を縫うように、白い塊が飛んで……こっちに向かってくるよ!?
なんだアレは! 鳥だ! 飛行機だ!
いや、やっぱり鳥だ!
たがしかし! 鳥だけどなんか変だぞ!
なんかすごく、めちゃくちゃでかい鳥がキタコレ!
「クルルルル! クルッポー!」
でかくて真っ白な、鳩ぽっぽーっ!!!!
お読みいただき、ありがとうございます!
悲しみと怒りに潜む何かを知った幼女は、果たして……
ろーと!ろーとろーーーと!(クルッポー!)←合いの手
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