18、お兄様と町デート
なんとか更新!!
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数日後。
過保護な大人達からやっとこさ解放された私は、学園が休みのお兄様と遊ぶ約束をしていた。
せっかくだから、ちょっと町に出て買い物をしようと誘ってくれたのだ。
これはもしや、デートでは!?
「んー、およふく、まよう」
「こちらはどうでしょう?」
マーサが薄緑色のワンピースを取り出し、リーリアは綺麗な紫色のリボンを合わせてくれる。おお、髪色と合うやつだ。
「いつのまにか、およふく、たくさんある……」
「旦那様が取り寄せたものと、恐れ多くも国王陛下が王女様のおさがりを送ってくださったのですよ」
「え、なんで?」
「王宮で怖い思いをしただろうからと、お詫びの品だそうです」
「ベルとうしゃまは?」
「お嬢様の好きにするように、と」
マーサの言葉に、私はムムッとなる。これはちゃんとお礼を言わないとじゃない?
「こんど、おうきゅうで、おれいをゆう」
「はい。それがよろしいかと」
栄養が行き届いたのか、しっとりツヤツヤになった蜂蜜色の髪をゆるく結ってもらって、半分はそのまま背中に流してもらう。
子どもだから結い上げなくてもいいのだ。それにあんまりきつく結うと、頭が痛くなっちゃうからね。
すると、ノックが聞こえてくる。お兄様だ。
ちょうど準備ができたので、マーサに言って部屋に入ってもらう。
「ユリアーナ、準備はできたか?」
「あい、おにいしゃま」
「ぐっ……ん、似合うぞ」
お兄様も、ゆったりとした白いシャツと黒のズボンとブーツが素敵すぎますぞ。
目を細めているお兄様に見惚れていた私は、ふと気づく。
「おにいしゃま、おそろい?」
「ああ、さきほどセバスがすすめてくれた……なるほど」
紫色のアスコットタイをつけているお兄様が、私の髪を結っているリボンを見て口元を緩ませる。
なんか、すごく、仲良し兄妹っぽい!
さすがセバスさん! さすセバ!
「旦那様には内緒にしておきます」
「頼む」
そしていつの間に部屋にいたのか、苦笑するセバスさんとお兄様。
えー? なんで内緒なのー?
「次回はアイスブルーのリボンとタイを取り寄せておきましょう」
「それがいい」
お父様は、そんな子どもみたいな理由で怒らないと思うけど。
でも、お父様色のリボンは欲しいから、ぜひよろしくお願いします! お金が気になるから安いのでいいです!
すると、お兄様が少し眉間にシワをよせて私を見る。こうしていると、お兄様はお父様にそっくりだ。
「ユリアーナ、貴族は良いものを身につける必要がある。それが義務だからだ」
「ぎむ? おかね、たくさんつかうと、まわるから?」
「そうだ。ユリアーナは賢いな」
「ふへへ」
「では、町へ行こうか。私たちは貴族だから、たくさん買い物をしなければな」
「あい!」
あれ? なんで今お金の話になったんだっけ?
ま、いっか。
馬車にゆられて町に到着。
そんなに長い時間じゃなかったけれど、お兄様に支えてもらえないとぐらんぐらん揺れる幼児の頭部で、あやうく酔うところでした。
朝市は終わっていたけれど、食堂などのお店はお昼の準備で賑わっているし、雑貨屋さんとかお菓子屋さんとかが開店するのが昼からなんだって。
王宮と屋敷の馬車移動以外で、ユリアーナが外に出たことはない。すべてが初めての経験だし、前世の私もまさか自分の世界をリアルに見ることができるとは……と、二つの意味でドキドキしている。
道幅が狭いため、大通りの一角で馬車から降りた私たちは、てくてくと商店街のような場所を歩いている。
はぐれないようにと、お兄様と手をつないでいるのが嬉しい。えへへ。
ここは治安がいいらしく、護衛をつけている貴族はほとんどいないそうだ。王族くらいなんだって。
特殊な結界が組まれているって、お師匠様が教えてくれた。そしてその「すごい結界」は俺が作ったのだと自慢もされた。オッサンのドヤ顔がうざかわいい件。
「おにいしゃま、なにかうの?」
「ユリアーナは何が見たい?」
「ええと、ええと……おかし!」
「そうか。ならばまずは、菓子を売っている店に行こうか」
「やいてあって、かたいのがいいの」
「ユリアーナはパウンドケーキのような、やわらかい菓子が好きだろう?」
確かにフワフワなお菓子は大好きだ。
妹の好みをしっかりと把握しているお兄様に驚いたけど、今回は違う目的があるのです。
「おみやげ、しゅるから」
「土産? それは帰りでも……」
「きょーかい、いってみたいの」
「……教会、か」
一瞬、お兄様は眉をひそめたけれど、思い直したかのように頭を軽く振る。
「おにいしゃま?」
「わかった。行こうユリアーナ」
「あい!」
ダメかと思ったけれど、貴族の嗜みとして「教会で寄付をする」というものがある。
しかしそれはあくまでも大人で爵位を持つ者の話で、私のような幼女がお金を出すのはあまり良くないことだとされているけど、お菓子は別だ。
質素倹約をモットーとしている教会の人たちは、あまり甘味を食すことがない。
そこで、貴族たちが寄付するプラスアルファで子どもにお菓子を包ませるという、あざとい裏技が成立するのである。
お兄様が眉をひそめた理由は、たぶん貴族の慣習を知っているからだろう。
それでも許されたのは、子どもがコインの代わりにクッキーを渡すというのは一般的なことだからだろう。
ごめんなさい、お兄様。
ユリアーナは、どうしても聖女と呼ばれる人の話が聞きたいのです。てへぺろ。
外にいても分かるほど、甘い香りが漂うお店へ入る。
最初はクッキーにしようかと思ったけど、目の前にずらりと並ぶマドレーヌを見て、秒で気が変わった。
「おにいしゃま、これがとてもすきです!」
「確かにこれも焼いてある菓子だが、クッキーに比べて日持ちはしない」
そうだよね。教会へのお土産なら日持ちするほうがいいよね。
でも、この濃厚なバターと、ほのかに柑橘系の香りを前に君は耐えることができるのかって話ですよ!!
マドレーヌを包む紙を剥がして食べる時の、あの感覚はもう……もう、これぞ至高って感じなのですよ!!
「おにいしゃま、これをたべたいのです!」
「……わかった。屋敷に届けておこう」
店員さんに声をかけて、マドレーヌを送るよう指示するお兄様。
その肩が、ちょっとだけ震えているように見えるけど……気のせいかな?
振り返ったお兄様はいつもどおり無表情だったし、たぶん気のせいだね。うむうむ。
「おにいしゃま、ありがとござまっしゅ」
「気にしなくていい。それよりも、教会へは何を持っていく?」
「はっ! そうでした!」
クッキーもたくさんの種類があるから、色々な種類を持っていきたい。
お金は気にするなって言われたけど、そこはきっちりとしようと思います。
早く冒険者になって、お金を稼げるようにならないと……だね!!
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