127、己の偽者に好奇心旺盛な幼女
隙間時間にちまちま書いております……なかなか更新できずにすみません。
〜前回までのあらすじ〜
お祭りでネガティブな流れを変えちゃおう作戦を、ビアン国で実行したユリアーナと愉快な仲間達(ビアン国王族を含む)。
大成功の裏側で、お屋敷にいる兄ヨハンたちのもとにユリアーナのニセモノが現れて……?
どうなるどうする氷の侯爵御一家!?
「おやしきに、わたしがいる?」
「正しくは、お嬢様の名を騙る侵入者にございます」
「ヨハンに任せることにしたが、ユリアが不快ならば即日消すようにする」
私の言葉を柔らかく訂正してくれるセバスさんの横で、お父様が物騒な発言をかましてらっしゃる。
王宮近辺にて、急きょ盛大に行われた(なぜか筋肉マシマシだった)お祭りの翌日、私たちはセバスさんからとんでもない報告を受けていた。
お兄様と鳥の息子さんのもとに、私の偽物が現れたというのだ。
あと、お父様が不在で良かったし、お兄様と一緒に鳥の息子さんがいてくれたのは強い。
このような時、氷の親子(お父様とお兄様)は氷のような冷静さを時空の彼方へと飛ばしてしまう。それを止められる人間は、限られているのだ。
「にせもの、きになります」
「消すか?」
「みてみたいです」
隙あらば消そうとするお父様に思いとどまってもらい、私は己の好奇心を全開させることにした。この流れなら大丈夫、な、はず。
「……そうか。セバス」
「はっ、ヨハン様は鳥の御子様と共に結界を張られております。かの者はそのまま滞在しているようです」
「うむ。ならばよい」
ビアン国王宮内にある離れで、朝の報告会兼お茶会を開いている。
お父様とセバスさんとの会話に登場した『私のニセモノ』には驚いたけど、私は内心冷静だった。
自分のことで周りの人たちが騒いでいると、当の本人は冷静になれるんだなぁと思ったりしているよ。
「お嬢サマのニセモノかぁ……それってどうなんだ?」
「侯爵閣下は断固拒否という感じですね」
オルフェウス君とティアは、のんびりとお茶を楽しんでいる。
私もそうだけど、けっこう気持ちの余裕があるみたい???
「閣下や師匠のニセモノならともかく、だよなぁ」
「ユリちゃんだと、ほのぼのしちゃいそうですよね。そのニセモノさんも」
私だと警戒しなくてもよさそうだと言いたいのですね!?
はい! その通りだと思います!
「よりにもよってユリアを選ぶとは、愚かな者どもよ」
おや? お父様の意見は違うようですね?
「天より使わされた愛らしさの権化であるユリアは、我が国の宮廷画家でも描けなかったのだぞ?」
「ですが旦那様、お嬢様を知らぬ者達にとっては効果的かと」
「……やはり消すか」
落ち着いてください。そして冷静になってください、お父様。
それにしても、私のニセモノを作った? のは、一体何者なのだろうか。
お兄様と鳥の息子さんも、そんな得体の知れないモノと一緒にいて大丈夫なのかなぁ……ちょっぴり心配です。
「ペンドラゴンと奥方が屋敷の様子を見ると言って、今朝早くに出発した」
「おししょと、とりのおくさまが?」
「かの施設については引き続き調査を続けるが、ペンドラゴンは興味があることに突き進むきらいがあるからな」
「あー……おししょ、そういうとこある」
突き進んで行くのは結構なんだけど、私の成長についてもう少し聞きたいことがあったんだよね。
私の中にある魔力が体の成長を阻害しているのなら、たくさん魔法を発動させたりすればいいのかなぁとかとか。
お師匠様なら効率よく魔力を使う方法とか、色々と知っているだろうし……。
「ユリア、私は冒険者としてギルドへ赴くが、一緒に行くか?」
「え? ベルとうさまが?」
ビアン国には冒険者アロイスとして来ていたはずのお父様。王宮では普段通りだったから、てっきり冒険者としての活動はしないのかと思っていたよ。
「一応俺も高ランクの冒険者だから、定期的にギルドに顔を出している、ます」
「私もギルドで神官として活動することもあるので、定期的に通っていますよ」
「オルさまと、ティアも?」
えっと、それは私も一緒に行っていいのでしょうか。
セバスさんを見れば、にっこり微笑みを返してくれる。
「お嬢様とよく似た髪色で、魔法使いのユーリ様という冒険者がおられるとか」
はっ! そういうことでしたか!
ならば私も……じゃなくて、冒険者ユーリも出動する必要がありますね!
「アケト殿には伝えてある。古代遺跡の魔獣駆除の依頼でも受けるとしよう」
「あい!」
古代遺跡! 夢広がるね!
しっかり魔力を発散(?)させて、ムキムキ成長してみせますよ!
そう思っていた時が、私にもありました。
「魔獣駆除の依頼がない!?」
「ええ、王宮から筋肉ゲホゲホッ、近衛隊が派遣されてきまして。大規模な祭りを開催するにあたり、あらかじめ魔獣を駆除しておくと……申し訳ございません」
「そうでしたか……」
ビアン国の王宮近くになる冒険者ギルドに来た私たちは、依頼票の少なさに疑問を持った。
受付の男性に問い合わせたところ、原因は私たちが企画した「お祭り」のせいだったという……。
受付の男性が申し訳なさそうにしているのが、私たち(というよりも私)の心を抉ってくる。
謝るのはこちらのほうですよ。お兄さんのせいではないですよ。お気になさらず。むしろ私たちが発案したことですからー。
その中でも通常モードのお父様とセバスさんは、それならばと残り少ない依頼票を見ている。
ん? セバスさんもいる、だと?
「お気になさらず、気配は消しておりますので」
そっかそっか。気配を消しているなら大丈夫だね。さすがセバスさん、さすセバ。
「なぁ、気配を消しているのに、俺らだけは師匠を認識できるってどういうことだ?」
「神官の私に聞かないでください。オルリーダーのお師匠様でしょう?」
何やらコソコソと言い合うオルフェウス君とティアについては、私はスルーさせていただくよ。
何はなくとも、さすセバなのよ。(悟りの境地を開く幼女)
お読みいただき、ありがとうございます。
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