俺はダンジョン(連載するか分からん版)
俺はダンジョン。
よくダンジョンマスターだとか言われる、ダンジョンの主人だとか言う、アレではない。
ダンジョンと言えば塔だったり、洞窟だったりを想像すると思うが、つまりそれ自身に意思がある。という類の話だと思って欲しい。
巨大人型ロボに変形できる宇宙戦艦のマザーコンピュータ(自我あり)と思ってくれてもいい。
変形できる。と例えたが、実際変形出来る。俺は不思議なタイプのダンジョンなのだ。
さて、ここまで読んだ所で読者諸君は思うだろう。
「どうやって生まれたのか。つまりダンジョンの親や子があるのか、それとも造られた一代限りの存在なのか」
「糧や繁殖、戦いや娯楽、要するに目的はあるのか?」
はっきり答えよう、知らん。俺は俺にも不思議なタイプのダンジョンなのだ。
体内で聞いた話だが、読者諸君である人間は俺の様なダンジョンを、
人間を食う伏魔殿だとか、
資源を齎す宝物庫だとか、
なんかそんな風に言うがそんな事は無い。
死体を食ってる事は認めるが、そこはつまりアレだ。
人間が胃で消化してる食べ物の事を気に掛けるのか、みたいな話だ。
別に美味いとかそういうのは無いし、俺はダンジョンだ。満腹とか空腹とかも無い。
モンスターや宝を産んでるのも認めるが、それはつまりアレだ。
血でも垢でも何でもいいが、体内の事を制御なんて出来ない、みたいな話だ。
俺は変形出来るだけなのだ。
何というか、俺はただのダンジョンなのだ。
なんか、心?があるだけなのだ。
と、ここまでを自己紹介とする。
さて。ダンジョンである俺が、入り口にこのような立て札を立てている理由を説明させて貰うと、俺の存在する目的を考えて欲しいからだ。
はっきり言おう。暇なのだ。
俺がダンジョンでなければとっくに狂っているだろう。という勢いで目的が無く、何というか孤独なのだ…」
「…」
「と、そう書かれた看板のある洞窟があったんだ。だから私はそこにナイフで書き込んでみたんだ」
「ああ、内容は?」
「うん、皆に好かれて感謝されるようなダンジョンになれ。って」
「その結果が?」
「なんか、テーマパーク兼ショッピングモール付き地下鉄とかいう、街みたいのが出来た」