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奴小説  作者: 奴
9/18

56410-(ん)

  アホでもネット上で有名人になれる方法。爆破予告か殺害予告をする。これだ。

 ここは「小説家になろう」であって「犯罪者になろう」ではないので、爆破や殺害の予告を示唆するようなことは書かない。というか書いたらヤバイ。

 今回記すのは、相手がどれだけ憎くても、自ら犯罪というリスクを背負ってまで糾弾する必要はないという、聞こえは良いが中身はいつも通りくだらない話。Twitterでもどこでも、爆破予告や殺害予告はやったらダメ、絶対。たとえその相手が調子に乗ったクソみたいなbotだとしても。




 二◯一五年十月十五日、ドラゲナイ騒動で調子に乗りまくっていた奴botに対し「帝X」と呼ばれる謎の勢力のリーダー格であった「幸ちぇる」という人物が、

「奴botの住所を割り出して必ず殺す」

 という旨の殺害予告を、林檎の皮むきもままならないほどちっちゃいナイフの写真と共に表明した。幸ちぇるを筆頭とする「帝X」のバックボーンが「LINE@」であることから、彼らの総称を「LINE民」といった。

 殺害予告が投稿されると、そのツイートは瞬く間に拡散され、

「とうとう奴botが殺害予告された」

 という驚きの声と、

「奴botに殺害予告とかwww」

 という嘲笑の声が多数上がった。

 当時、LINE民という存在についてまったく知識がなかった奴botは(今もよくわかっていないが)

「殺害予告してくるってことは奴botとそのフォロワーより民度の低い連中ってことだな」

 と適当に決め打ち、幸ちぇる本人だけでは飽き足らず、帝X及びLINE民を全力で馬鹿にした。

 botに殺害予告――この一文をシンプルに二文字で表すなら「アホ」である。例えるなら掃除機とか電子レンジに絵本を読み聞かせるくらい謎の行動である。それでも奴botが幸ちぇるの殺害予告に応えたのは、

「こんなbotのために自分の人生を懸けて殺害予告に及んでるんだからせめてネタにしてあげなきゃ」

 という同情の気持ちもあった。奴botなんかよりもフォロワーが多くて、テレビとかに出てる芸能人に予告したら良いのに(絶対にしないでください)、数あるTwitterユーザーの中で奴botを選んでくれたんだから、それに応えないわけにはいかなかった。幸ちぇるも多分「奴botなら相手になってくれるだろう」と考えての殺害予告だったのだろう。多分。

 そんな幸ちぇるの思惑(?)通り「奴bot」と「帝X」はトレンド入りを果たし、幸ちぇるは一躍時の人となった。なんて平和なTwitter。こうして、日本一ほのぼのとした殺害予告が行われた夜は更けていった。

 ところがその三日後、事態は急変する。

 Twitterアカウントが凍結し、自らの巣であるLINE@に逃げ帰った幸ちぇるの投稿が、有志の方から送られてきた。そのスクリーンショットを見て驚いた。

「家にパトカー停まってんだけど」

 えっマジで警察動いたの? あんなしょーもない事で? その投稿には、家の庭にパトカーが停車している写真も添付されていた。いやいや、警察もそこまで暇じゃねーだろ、いやでも殺害予告には変わらないし……。


 色々と考えたが、結局、幸ちぇるが警察のお世話になったのかどうか、今も真偽はわかっていない。

 幸ちぇるとはその後、彼がTwitterのアカウントを作り直した際に和解し、DMでやりとりをするくらいの仲になったにも関わらず、その事については一度も訊かなかった。所詮過去の事だし、和解できたならそれで良いかと考え、訊く必要はないだろうと思っていたが。今この話を書いていたら、めちゃくちゃ気になってきた。ただ、現在の幸ちぇるのアカウントがどれだかわからないのが難点だ。彼っぽいアカウントはフォローバックしているのだが、人違いの可能性もある。あなたアカウント変えすぎですよ。

 どなたかご存知の方がいたら教えてください、幸ちぇる本人でも構いません。そして本当に警察に怒られたのかどうか、是非教えてください、二年と五ヶ月、奴botは幸ちぇるに釣られ続けてます。

 最後に、今回の話は「予告」がテーマなので、奴botもひとつ予告をして終わろうと思う。奴botスタンプ第二弾、もうちょいで完成します。年内には発売できます。三つくらい出すかもしれません。凍結されなかったらね。第九話はこれで終わり。

気が向いたらまた書きます

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