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奴小説  作者: 奴
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二月の蝿

 ツイッターをしていて、ムキになった事がある人はどれくらいいるだろうか。恐らくそんなに多くはいないはずだ。恥ずかしい話だが、奴botを動かし始めてからムキになってしまったことは何度かある。そして毎回、落ち着いた頃になってから「なんでこんな事で必死になってたんだろう」とか「あのツイートはまずかったな」というような後悔の念に苛まれる。

 改めて書く事でもない周知の事実だが、これを読んでいる方々には、ツイッターでイラつく事があっても、落ち着いて対処出来る心の広さを身につけて頂きたい。身につけた心の広さは、所謂スルースキルという、ネット上で発言したり、他者の意見を見たりするうえでとても重要な能力へと昇華する。それを装備しているだけで、面倒事となる争いは大概避けられるはずだし、後になって「ああやっぱりあの件はスルーしておいて正解だったな」という経験値になるはずだ。ドラクエで言うところの「みかわしのふく」と、ポケモンで言うところの「がくしゅうそうち」の効果をかけ合わせた素晴らしいスキルと言える。実際、ツイッターでの言い争いは、基本的にゴミみたいなツイートしか生まない。当事者にとっては必死こいて考えて送り合っているであろう煽りも、第三者から見ればゴリラがウンコ投げ合ってるようにしか見えないというのが事実だ。しかし時折、

「スルースキルなんてもんは親の腹の中に置いてきた。どうせ普段からゴミみたいなツイートしかしてないし煽り合いも望むところだぜ」

 的なとてつもない開き直り方をしている(ように見える)人がいる。奴botはそういう人を「バーサーカー」と呼んでいる。冷静な人たちは他でもない「そういう奴ら」に対して、スルースキルを発揮しているのだろう。

 今回は、奴botが最低限持つべき冷静さを欠いて、ムキになってしまった時の話を書こうと思う。恥をしのんでここへ記すことで、今後こういった事をしでかさないようにという自省と、今これを読んでいる方々への反面教師として、書いていきます。


 傍から見ていて笑えるメンヘラと、笑えないメンヘラが存在する、と思う。

 メンヘラである自分に愚かさを抱いており、そんな自分の情緒不安定さを逆手にとって、時に支離滅裂で、時に自虐的なネタに走ることが出来るメンヘラが、前者にあたる。知り合いのメンヘラが今年の初頭に突然放った「2017年って何? きもい」という名言に、誇張ではなく三分弱笑い転げた記憶がある。本人は大真面目な口調だったのが尚更笑えた。これを書くにあたって彼女に改めて聞いてみたところ「確かに思い出すとウケる」との返事が返ってきたので、多分大真面目な発言だったのだろう。笑える。

 打って変わって後者は、メンヘラである自分に誇りのようなものを抱いているフシがある。具体的な例を挙げると「親うざい」「また切っちゃった」「薬飲んで寝よ」「楽しかった思い出なんてひとつもない」的な、たぐり寄せれば結局全部「死にたい」に繋がってるような(なお実際に死ぬ確率は限りなくゼロに近い)クソしょーもないクソゲロキショツイートしかしないくせに自己顕示欲だけは一丁前で、bioに自分が患っている病名を羅列したり、突如として自傷した写真を全世界に向けて発信したり、身内にしか賛同者がいないような、メンヘラを正当化したヘッタクソなゴミクソ漫画に「◯◯と繋がりたい」的なタグを散りばめてドヤ顔でアップロードしたりと、枚挙にいとまがない。別に病みツイートを連発して構ってちゃんすることが悪いとは言っていないし、自分が少しでも当てはまってるビョーキをbioに列挙してお仲間からのペラッペラな同情を買うことが悪いとは言っていないし、きったねぇ腕とか手首を晒すことが悪いとは言っていないし(最悪死んでくれても構わない)、目の前に差し出されたらビリッビリに破り捨てたくなるような漫画を描いてアップすることが悪いことだとも言っていない。そういう連中の悪いところはただ一つ、それを鍵のかかってないアカウントでやることだ。自分のお仲間よりも圧倒的に多く存在する第三者が傍から見てまったく笑えない、むしろ不愉快になるようなものをなぜ自信満々にツイートできるのか、なぜ受け入れてもらえると勘違いしてしまうのか、理解に苦しむ。

 今めちゃくちゃデカいブーメランを投げたような気がするが、この話を書き終わるまで戻って来ないくらいの勢いで投げたのでご安心ください。

 話を戻すが、そういったツイートを何かの拍子に見てしまった時に役立つのが、冒頭で記したスルースキルである。それが身についていれば、後述するあのツイートを見た時も「頭のおかしいメンヘラがなんかやってら」で済ませられたはずだった。しかしその内容に、奴botとしての自分が大暴れし始めた。それが、約三日間に渡るゴミ同士の喧嘩の引き金となってしまったのだ。


 二〇一七年二月五日、ツイッター上にて一人のメンヘラ(以下生ゴミと表記します)が「メンヘラは一般人より頑張っている」といった旨のちゃんちゃらおかしい漫画を、例に漏れずアカウントを全体に公開した状態で投稿した。その生ゴミは、前述した二種類のメンヘラのうち、典型的な「後者」にあたるメンヘラだった。それを引用RTし、盛大にぶっ叩いたのが奴bot(以下燃えるゴミと表記します)だった。クソみたいな内容の漫画は瞬く間に拡散され、リプライ欄が荒れに荒れた事と、通知が止まらなくなった事によって生ゴミはそのツイートを慌てて削除したが、燃えるゴミがすかさず「なに削除してんだよ、大勢の人に可哀想なワタシを見てもらえてよかったじゃねーか」「手首は切れるくせに通知は切れないんだな」といった旨のツイートと共に、その漫画を自らの手でアップロードし直した(事実上の無断転載、現在そのツイートは削除済)。

 ここで言い訳をさせて頂きたいが、燃えるゴミがそのツイートを発見した時点で、その漫画のRT数は二千RTほどされており、仮に燃えるゴミが言及しなかったとしても生ゴミの炎上は不可避だったと思われる。

 その時点で生ゴミのアカウントは非公開になり、一件落着かと思われたが、生ゴミの漫画に賛同していたアホ共(以下ハエと表記します)が、燃えるゴミのリプライ欄に一斉に群がり始めた。地獄絵図の完成である。よせば良いのに燃えるゴミも「やってやろうじゃねえかよこの野郎」と、左打席に立つように促された某プロ野球選手のような意気込みでハエ共を迎え撃った。完全にムキになっていた。改めて書くが後悔はしている。

「奴bot好きだったけど嫌いになった」

 とかなんとかブンブン喚いてくるハエ共に対し「元々嫌いだったくせに何言ってんだこいつら、奴botはテメーらの元カレじゃねーんじゃ●すぞ」と心の中で悪態をつきつつ、仕事は早いが性格の悪いフォロワーがDMで送ってきてくださった(くだん)の漫画のトレース画像(作中に登場する女が「メンヘラを恨むくらいなら社会を恨め」という迷ゼリフを吐いているコマを奴botに改変したもの)をファンアートと称してアイコンに設定し、更なる煽りツイートを重ねて応戦した。もうめちゃくちゃである。

 そんな調子でハエ共と目を覆いたくなるような泥仕合を繰り広げているうちに、その中でもひときわイキの良いアホ(以下ゴキブリと表記します)が、

「テメーDMしてこいや、タイマンで話そうぜ」

 的なリプライを送ってきた。面白そうだったのでそれに応じた。どうやらそいつは、日頃から生ゴミにたかっているオスのゴキブリらしかった。男のメンヘラとかとっとと人生辞めちまえ。ゴキブリに失礼だ。

 ここからはDMでの会話を思い出せる限り記していこうと思う。イキの良いゴキブリを「G」燃えるゴミのことを「奴」と表記します(便宜的にお互い馴れ馴れしい口調で書いていますが、やりとりは終始敬語で行われました)。


奴「はい、どーぞ」

G「彼女の絵を悪く言うのだけはやめろ。あの子の絵は上手い」

奴「画力の良し悪しじゃなくて内容が問題で批判されてるのがわからないのか……そもそも先に一般人を見下す漫画を描いたのはあっちでしょ」

G「あの漫画を理解できないお前のレベルも低いけどな」

奴「あんなもん理解できるかバーカ。こっちがツイートしてなくても炎上不可避だわあんなもん」

G「もういいわお前、俺のキャス来いよ」

奴「お前がDMで一対一の話を求めてきたんだろうが、なんでこっちがお前のホームに移動しないとならないんだ」

G「ビビってないで来いよ」

奴「お前がおととい来やがれボケ。そうだ、名案なんだけどこのDMツイートしても良い?」

G「勝手にしろ」

奴「ヤッターありがとう」


 こうしてやりとりは終わり、イキの良いゴキブリは無事焼け死んだ。

 もう一つ、ハエ共の名誉のために記しておかなければならないことがある。生ゴミのフォロワーの中にも、あの漫画の内容が批判されたのも理解できる、という意見を持つ「半分人間で半分ハエ」のような方も数人いて(映画『ザ・フライ』を思い出した)、そういった方々からは、

「確かに生ゴミさんの方も悪いが、あなたも自分の影響力を考慮したツイートをしてください」

 的なDMを頂いた。「知るかそんなもん」と言いたいところをぐっとこらえて「はいわかりました。こちらもムキになっていたのは事実です」と返信した。

 そんな中、一人のハエ人間が「生ゴミさんにお伝えする事があったら私が伝えますよ」と、伝達係を名乗り出てくれた。一番最初に煽った時点で既に生ゴミ本人からはブロックされていたので、これは良い機会だと思い「ああいった漫画は今後アカウントに鍵をかけた状態で投稿した方が良いですよ」という旨の文章を、本人に伝えてもらった。数分後、伝達係から送られてきた返信を見て、背筋が凍った。


「なぜそこまでしてあなたは私を殺したいのですか?」


 あっ、こいつやばい奴だ。全てを察した。この人は、自分の漫画が批判されている理由が、本当にわかっていないのだ。

「あなたの漫画が理にかなっているものだったらこちらも言及しませんでしたし、批判もされなかったはずです」

 そう返信したが、それでもわかっていないようだった。元々おかしい頭が、自分よりおかしい奴のせいで更におかしくなってしまいそうだった。挙げ句の果てには、

「もっと私たちの世代に耳を傾けてください」

 などというアインシュタインでも首をかしげそうな謎の理論を押し付けてきたため、

「なんでお前がお前の世代代表みたいな口ぶりで喋ってんだよ。こっちはお前一人に異論を唱えてんだよわかってんのかマヌケ」

 と罵詈雑言を投げつけて伝達係の方とのやりとりを打ち切った。

 伝達係の方(名前忘れた)、多分これ読んでないと思うけど、その節はすみませんでした。


 メンヘラとウンコを投げ合った壮絶な三日間は、こうして幕を閉じた。めちゃくちゃしんどかったが、今回こうして文章を書くネタに出来た事を考えると、生ゴミと愉快なハエたちには感謝しなければならない。2%くらい。

 終わりに、今回記した話の教訓をまとめておこうと思う。わかりきった事だが、大事な事には変わりないので、よく覚えておくと良いだろう。

・ムキにならず、ネット上でも落ち着いた判断が出来るようになろう

・スルースキルを身につけ、自分から火の中に飛び込んでいくようなマネはやめよう

・メンヘラと同じレベルに落ちたくなかったら、極力関りを持たないようにしよう

 そして最後にもう一つ「大多数の人が見て不愉快になるようなツイートは、アカウントに鍵をかけて投稿しよう」という事だ。ブーメラン返ってきた。第七話はこれで終わり。

気が向いたらまた書きます

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